音響機器事業説明会 質疑応答

Q1:4月から楽器事業・音響機器事業ごとの組織体制になり何が変わったのか、特に音響機器事業の中にモビリティソリューション事業を加えたことでどのようなシナジーを出していくのか教えてください。

新体制で変わったことが大きく二つあります。従来の組織は開発・生産・販売の機能が水平分業で分かれており、機能別視点では効率がよくても、事業視点で開発から販売まで一貫して迅速に動かすことが難しい面がありました。新しい組織で事業視点の戦略立案・遂行が迅速になったことが変化の一つです。
もう一つは、私(鳥羽)自身が車載オーディオのファブレスのビジネスに長く取り組んできたため、そこで得た知見、つまり素早く顧客の要求日程に合わせ、かつ高い品質で商品開発を進めるノウハウを、プロフェッショナルとコンシューマー事業へ横展開することが可能になったことです。生産のアウトソーシングやODM開発の活用などにより、開発期間を3分の2程度に短縮できた事例や、開発品目の拡充も進み、この半年で既に手応えを感じています。

Q2:収益性に関して、BtoBの事業では価格適正化を進めやすい一方、研究開発費はかかるように思います。エンタメPA用スピーカーや車載オーディオで、デジタルミキサーのような高収益性を実現できるのでしょうか。

デジタルミキサーの収益性が高いのはご認識の通りです。 開発コストの抑制は、設計のプラットフォーム化や、高価格帯から普及価格帯まで同じ開発プロセスを適用することなく、品質を担保しながら開発工数を圧縮することで実現します。
また、開発費を抑えつつトップラインを上げることも大切です。市場が成長しているうえ、シェア拡大の余地も大きい中、当社に足りないのは商品ラインアップですので、効率よく品番投入数を増やすことが重要です。そのため自社開発・自社生産だけでなくODM開発や生産アウトソーシングも活用し、特に普及価格帯のラインナップを強化していきます。また、魅力的な商品を開発するだけでなく、しっかりと業界のキーパーソンと関係を築くことで商品企画へのヒントをいただき、次の商品開発に活かすサイクルを確立いたします。

Q3:プロフェッショナル音響での成長は、過去の中期計画でも繰り返し目指してきたことかと思います。今回は何が違っているのか、ヤマハやNEXOの強みを含めて教えてください。

NEXOの強みは革新的な製品と開発能力にあり、NEXOブランドは世界中のオーディオシステム設計者を惹きつけることができます。一方、ヤマハの強みは技術と生産にあります。これまでとは異なる新たな取り組みとして、NEXOが開発し、ヤマハが生産する体制構築を進めています。新たな開発生産体制の構築とグローバル人材配置を進め、競争力ある価格と機能で製品ラインアップの拡充を加速させていきます。

Q4:プロフェッショナル音響の成長を牽引していく領域として、エンタメPAや設備音響のスピーカーを位置付ける背景についてご説明をお願いいたします。

この分野の成長が期待できる背景として、いわゆるグローバルサウスと呼ばれる中南米、中近東アフリカ、インド、東南アジア諸国といった新興国地域の好調があります。
また、例えばインドの宗教祭では、欧米におけるスタジアム等での音楽イベントとは全く異なり、複雑なミキシングシステムを必要とせず、非常に多くのスピーカーをデジタルミキサー1台で簡潔にコントロールする用途があります。このように、新興国における成長のポイントは、デジタルミキサーだけでなくスピーカーの需要をいかに取り込むかということにあり、この領域を我々の取り組みの中核に位置付けています。

Q5:プロフェッショナル音響でのスピーカーのシェア拡大に向けた差別化戦略についてご説明ください。

当社は楽器販売チャネルで強固な販売基盤を築いてきたため、特にインド・インドネシア・ブラジル等のグローバルサウスでは、競合他社にはない販売拠点を有しています。
また、デジタルミキサーとスピーカー間のシステム調整を容易にし、音質を向上させる付加価値を提供できることは、当社の技術面での大きな優位性です。そうしたハイエンド技術をボリュームゾーンの普及価格帯市場へ展開することで独自のポジショニングを築いていきます。

Q6:モビリティ音響に関して、開発段階から自動車メーカーと車両コンセプトに合った音を作っていくということですが、True Soundの演奏者の意図する音を目指すことと、どう両立しているのかを教えてください。

True Soundは我々が実現したいコアとなる音の価値観であり、楽器の音の正確な再現技術をベースとし、アーティストの想いや表現をありのままに届ける音を目指すコンセプトです。ヤマハブランドを冠した車載オーディオは、True Soundを逸脱することなく、それぞれの車両コンセプトに適合させるべくチューニングされます。また使用シーンごとの最適化も意識しており、例えば旅行に行く前と帰ってきたときなど、音楽を聴くシーンによって聴きたい音楽やその時の音のキャラクターが異なるといったことも、自動車メーカー様と一緒に議論しながら音作りを行なっています。

Q7:モビリティ音響の今後3年間の成長について、採用メーカー拡大の手応えと、収益性と開発コストのバランスについて教えていただけますか?

採用動向について詳細はお話しできませんが、多くの商談を進める中で手応えを感じています。また、現採用メーカー様での横展開も順調に進んでいます。同じ自動車メーカー様で複数車種に展開される場合には、一般的に大きな開発負担が発生しません。この事業に参入以降、技術のプラットフォーム化を進めることで開発コストを抑える工夫をしていますので、収益性が上げられると考えています。

Q8:モビリティ音響について、今後1~3年の成長エンジンについて教えてください。

自動車業界は進化が早く競争も激しいことから、これからの成長の鍵は提供価値だと考えています。自動車メーカー様はお客様にどういった新しい体験が提供できるかを常に考えており、我々がどのような魅力的な提案を発信できるかがポイントになってきます。ヤマハが提案するさまざまな最新機能は、いずれも自動車メーカー様各社に好意的に受け止められており、成長エンジンであると考えています。

Q9:車載オーディオの足元のシェアと、売上成長をどのように達成するのかお聞かせください。

車載オーディオ市場に参入して間もないこともあり、現時点での当社シェアはまだ数%にすぎません。今後、アジア、ASEAN市場を中心に採用案件を拡大し、販売数量とシェアを上げてまいります。

Q10:音響機器事業でM&Aのような非連続な成長を検討されていますか。

業務用音響機器におけるM&Aは、音を中心にライティングや映像等、周辺領域を含めて可能性を感じています。また、必ずしもM&Aにこだわらず、資本参加や協業の深掘りという形態も含めて検討しています。

Q11:コンシューマー音響の収益改善に時間がかかっている印象ですが、その背景と今後の取り組みについて教えてください。

ホームオーディオでは、主力のAVレシーバーをタイムリーに市場投入できておらず、現行モデルの競争力が低下し、値引きで収益性も下がってしまっています。まずは新商品を市場に投入すること、そしてヤマハの音や付加価値に興味を持っていただいている趣味層にフォーカスする方針のもと、新しい中高級ラインアップの開発を進めています。開発期間を圧縮してタイムリーに商品を市場投入すること、同時にお客様から期待されるヤマハらしい機能をしっかり提案することで、収益性を改善いたします。 また、欧米を中心に、ホームシアターの高級アンプやスピーカーを家の中にビルトインで施工するインストレーションオーディオ市場が着実に伸びており、施工業者との関係強化も併せて進めています。この市場は価格競争ではなく、いかに信頼性高く、お客様の要望をかなえられるかが求められます。ヤマハが得意とする音響空間技術の訴求と合わせ、ODM開発や生産アウトソーシングを活用し、低コスト・短期開発で商品数を増やすことで、今中計期間内で収益の正常化を果たします。

Q12:コンシューマー音響で固定費が課題となっている一方、ファブレスのモビリティ音響は自社工場で安定供給する方法もあるのではないかと思います。改めて工場についての考え方をご説明いただけますか?

音響機器事業は、自社工場とODM/OEMの使い分けがポイントになります。迅速に商品ラインアップを増やして成長の果実を得る目的では、生産だけでなく、開発リソースのアウトソース活用も進めます。ODM/OEM生産のメリットとして、顧客の指定する地域で供給できる点が挙げられます。自社工場で生産しグローバルに配送する楽器事業とは異なり、モビリティ事業では顧客の納入希望地に合わせたフレキシブルな運用が必要と考えています。
NEXOスピーカーをヤマハの自社工場で作ることで不用意に社外に技術を流出させないことも肝要です。製造過程でノウハウが必要な商品は自社工場で生産し、普及価格帯で商品サイクルを早めたいモデルはODM/OEMを活用するなど、最適な使い分けにより迅速に商品ラインアップを拡充してまいります。

Q13:ネットワーク機器は国内で強いポジションをお持ちですが、今後、海外展開の可能性があれば教えてください。

ネットワーク機器は、国内の事業パートナー様との関係を継続するなかで、同社の海外事業にも参画し事業を拡大していく方向です。
また、音響機器、映像機器が徐々にネットワーク化していますので、音響機器とネットワーク機器の両方を持つヤマハの強みを生かして、海外でのネットワーク・スイッチの事業を拡大していきます。プロフェッショナル音響領域においてライブ市場向けのラインアップは導入済みですが、さらに設備市場で使えるラインアップの拡充や営業体制の強化にも取り組んでまいります。