これまで需要の減少に呼応する形で構造改革を進めてきましたが、中国のアコースティックピアノ市場はこの3年ほどで一気に1/4程度に縮退し、将来の需要規模を見極めるのに時間を要してしまいました。中国アコースティックピアノ市場は、今後も長期にわたり回復は見込めないものの、最大市場であることには変わらないとの判断から、グローバルの生産規模を将来の需要見通しに合わせて最適化するため、インドネシア工場の閉鎖という決定に至りました。一連の構造改革費用の計上はこれで完了となり、今後この再編を迅速に進め、早急に損益の改善に取り組んでいきます。
2025年3月期 第3四半期 決算説明会 質疑応答
Q1:アコースティックピアノの生産構造改革に関する総括をお願いします。
Q2:アコースティックピアノの生産構造改革は、本当に今回で最後でしょうか。まだ相当量の製品や仕掛品在庫があると思いますが、評価減は発生しないのでしょうか。
アコースティックピアノは現在、日本、中国、インドネシアの4つの工場で生産していますが、将来の需要に対する生産規模は2工場が最適で、これ以上に工場や設備を減らす必要はなく、構造改革費用の計上はこれで完了と考えています。ライフサイクルや耐久性等を鑑みると、アコースティックピアノは1~2年で商品価値が著しく下がるような商品ではなく、在庫の評価減リスクはないと考えています。
Q3:生産を日本と中国に集約するという判断の背景を教えてください。中国は関税や地政学的なリスクがあるのではないでしょうか。
まず、日本は優れた技術力を持つ中核のマザー工場として、再度機能を強化していく方針です。中国は、今後も長期にわたり回復は見込めないものの、依然、最大市場であることには変わらないこと、また製造設備が充実しており、追加投資をせずにインドネシアからの移管が可能です。関税や地政学的なリスクに対しては、日本の工場でのラインナップを拡充していくことで対応できると考えています。
Q4:明るい兆しが見えてきたデジタルピアノ(DP)の状況を教えてください。流通在庫と利益率についてもコメントをお願いします。
マーケティング施策や価格調整、今期投入したClavinova新シリーズの高評価もあり、シェアを奪還しつつあります。ECの売れ筋ランキングで当社製品が上位にあがっており手応えを感じています。専門店チャネルでもしっかり価値訴求しており、ポジションが回復しています。流通在庫は、第1四半期をピークに全地域で低下傾向が続いています。利益率は、シェア奪還のための価格対応で一時的に低下しましたが、今後、戻していけると考えています。
Q5:ESSER終了後の北米の管楽器の状況と今後の見通しを教えてください。
流通在庫が少し高くなっており、小売店が仕入れを抑えている局面ですが、ESSERによって増えた個人需要があり、今後売上が大きく減っていくことは想定していません。
Q6:ギターの通期売上見通しが引き下げられていますが、背景を教えてください。
ヤマハブランドのギター本体は堅調ですが、ヤマハ以外のブランドのギター周辺機器で主力商品がモデルチェンジの端境期にあり、他社が新商品で攻勢をかける中、アメリカでの販売が少し苦戦しています。
Q7:ホームオーディオ(HA)の事業縮小に伴う一時処理費用として部材の評価減を見込むとのことですが、背景を説明してください。
HAはラインナップや販売地域を絞り込む方針で、今後はより趣味性の高い中高級品に注力し、主力市場である欧米を軸に展開していきます。これにより一部の部品在庫が余剰になる可能性が出てきており、現在、部品ごとに将来の製品での活用や他モデルへの転用の可能性を精査中ですが、リスクとして引当を見込みました。
Q8:部品・装置、その他の事業の通期見通しが下方修正されている理由を教えてください。
主に自動車用内装部品とゴルフ用品の苦戦によるものです。
Q9:来年度以降の売上成長分野と、利益の見方について可能な範囲で教えてください。
楽器で売上成長を期待しているのは、DPの回復とギターです。地域では、インドやフィリピンを中心にASEANなど新興国での成長に取り組んでいきます。音響機器は、好調が継続している法人向け、特にエンターテインメントPA機器や個人向けのPA機器も伸ばしていきます。また、車載オーディオも今後の成長を担う領域と捉えています。利益面では、アコースティックピアノの構造改革の効果出しが重要で、生産稼働を高めるとともに、固定費の低減にもしっかり取り組んでいきます。
Q10:ピアノ生産構造改革の効果が出る具体的な項目を確認させてください。
人件費と減価償却費の減少です。また今期は、中国工場で生産を一時停止しましたが、今後インドネシアからの生産移管で中国以外への輸出モデルも加わるため、稼働の改善に伴う効果もあるとみています。
Q11:今回の自己株式取得についての考え方をご解説願います。
今期のROEが2.7%と非常に低い予想です。対して株主資本コストは7.5%と認識しており、できるだけ早期にROEを同水準まで戻さなければいけないと考えています。業績の改善が第一ですが、同時に資本効率の向上を図りROEの改善に取り組んでいきます。