• [ 写真 ]「耳を守る」独自技術で、世界の若者が直面する難聴リスクに新しい価値を提案

「耳を守る」独自技術で、
世界の若者が直面する難聴リスクに新しい価値を提案
-「リスニングケア」機能搭載Bluetooth®イヤホン-

WHO(世界保健機関)によれば、現在、世界の若者(12~35歳)のおよそ半数にあたる11億人が、大音量の音楽を聴き続けることで難聴になるリスクを抱えています。そこで注目されているのが、耳に負担をかけずに音楽を楽しむ「Safe Listening(セーフリスニング)」の概念です。

ヤマハが新しく発売した、音量に応じて音のバランスを自動調整する独自技術「リスニングケア」を搭載したイヤホンは、「良い音」と「健康への配慮」を両立させた、新しい価値を創造する製品です。

[ アイコン ]3 すべての人に健康と福祉を

音楽の背後にひそむ「難聴リスク」に挑むヤマハの使命

[ ロゴ ]WHOの「Make Listening Safe」ロゴ(WHO公式HPより)
WHOの「Make Listening Safe」ロゴ(WHO公式HPより)

音楽はいまや生活の一部。それだけに、音との適切な付き合い方が問われるようになっています。2019年2月にWHO(世界保健機関)は、「世界の若者(12~35歳)のおよそ半数にあたる11億人が難聴になる危険性が高い」と警鐘を鳴らしました。スマートフォンや携帯音楽機器で大音量の音楽を長時間聴き続けたり、ライブハウスやクラブ、競技場などで大音量にさらされ続けることで、聴覚に過度な負担がかかり、難聴が生じてしまう可能性があるというのです。

こうした状況で注目されているのが、ヘッドホン・イヤホンで安全に音楽を楽しむために適正な音量や休憩時間に配慮する「Safe Listening(セーフリスニング)」という概念です。WHOとITU(国際電気通信連合)が進めてきたSafe Listening標準化に基づく安全利用の目安は、「音量80デシベル(子どもは75デシベル)、1週間に40時間まで」となっています。日本でも「セーフリスニング事務局」が啓発活動を行っています。

この世界共通の課題に対してヤマハが提示したのが、2019年11月に発表したイヤホンの新製品です。

この新製品の最大の特長は、耳への負担を軽減する独自技術「リスニングケア」機能を搭載したこと。人の聴覚特性上、音量を下げていくと低域と高域が聴こえにくくなるため、つい音量を上げて耳への負担を増してしまいがちですが、リスニングケアはそれを防ぐべく、どの音量でも適切な音のバランスに整える機能です。完全ワイヤレスBluetoothイヤホン『TW-E7A』など3モデル、Bluetoothイヤホン『EP-E50A』など2モデルで、同年12月から国内市場への投入が開始され、今後、順次全世界への展開を予定しています。

[ 写真 ]完全ワイヤレスBluetoothイヤホン『TW-E7A』
完全ワイヤレスBluetoothイヤホン『TW-E7A』
[ 写真 ]Bluetoothイヤホン『EP-E50A』
Bluetoothイヤホン『EP-E50A』
[ 写真 ]カラーバリエーションも豊富に展開
カラーバリエーションも豊富に展開

音質向上を追求するだけでなく「耳を守る」という新しい価値を提案

[ 写真 ]リスニングケアのイメージ
リスニングケアのイメージ

開発の背景には、ヤマハが独自に行ったユーザーインサイト(本質的欲求、深層心理)調査の中で浮かび上がった、WHOの勧告を裏打ちするようなデータがありました。毎日何時間も音楽を聴く生活も珍しくない10代の若者やミレニアル世代(※1)には、聴覚に悪影響が生じることに不安を感じ、耳を守りたいと考える傾向があったのです。

ヤマハは、音・音楽を事業の中核に据える企業の社会的使命として、こうした市場の声に応えるべく「良い音を楽しむ」ことと「健康への配慮」を両立させた製品の開発を目指しました。こうして生まれたのが、『TW-E7A』をはじめとした、音質向上を追求するだけでなく「耳を守る」という新しい価値を提案する、野心的なイヤホンだったのです。

もちろん、これらのイヤホンは、健康への配慮だけでなく、「音」へのこだわりも体現した製品です。低音を持ち上げた誇張したバランスの取り方ではなく、細部まで音楽がわかるように、それぞれの楽器本来の音がクリアに聴こえることにフォーカスしています。発売後、実際に手にとったお客さまからも、「音が自然で、長時間でも聴き疲れしない」といった声が多く寄せられています。

  • ※1 ミレニアル世代(Millennials):アメリカで生まれたマーケティング用語。定義には幅があるが、おおむね1980年代から2000年代初頭生まれの世代を指す。幼少からITになじんできたデジタルネイティブ。日本におけるミレニアル世代は、バブル世代や団塊ジュニア世代と異なる価値観や消費行動を示し、「消費・所有への執着のなさ」「上昇志向の稀薄さ」「コストパフォーマンス重視」「社会貢献への関心の高さ」などが特徴として挙げられることが多い

「良い音」と「健康への配慮」を両立させた、新しい価値を創造するイヤホン

ヤマハグループの新中期経営計画「Make Waves 1.0」では、AV機器の事業戦略の1つに、ワイヤレススピーカーやイヤホン・ヘッドホンなどの「パーソナルオーディオ領域での成長」を掲げています。そうそうたる顔ぶれの大手メーカーがひしめく激戦区で、ヤマハが独自のポジションを築くには、新たな付加価値の提案が不可欠です。

ヤマハの楽器・音響事業が、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」と結びつくというのは、従来なかなか想像できないことでした。しかし今回のリスニングケア機能を搭載したイヤホンは、新しい地平を切り拓くものです。ヤマハは「3年後、ヘッドホン・イヤホン製品の70%を耳の健康に配慮したものとする」という部門中期計画を掲げており、今後発売されるワイヤレスイヤホンには、すべてリスニングケア機能を搭載する予定であるほか、さらに研究開発を続けて技術の向上をはかります。今後も音・音楽を事業の中核に据える企業として、「良い音を楽しむ」ことと「健康への配慮」を両立させた、これからの時代に「なくてはならない」イヤホンで、唯一無二の価値創造を行っていきます。

― AV機器 ポートフォリオ転換 ―

パーソナルオーディオ領域で成長

  • ライフスタイルの変化に合わせ、ワイヤレススピーカーなどに商材シフト
[ 写真 ]Hi-Fi AVレシーバー
Hi-Fi AVレシーバー
[ 写真 ]サウンドバー
サウンドバー
[ 写真 ]ワイヤレススピーカー
ワイヤレススピーカー
[ 写真 ]ヘッドホン・イヤホン
ヘッドホン・イヤホン
[ 図 ]パーソナルオーディオ領域で成長

― AV機器の事業別戦略(中期経営計画より)

事業ポートフォリオの転換

  • ミレニアル世代をターゲットに、パーソナルオーディオ市場への製品投入強化
[ グラフ ]ヘッドホン市場、ワイヤレススピーカー市場

顧客接点を整備し、ブランド訴求強化

  • ミレニアル世代にヤマハブランドの世界観を訴求
  • ダイレクトマーケティングと店頭専用コーナー拡充
[ 写真 ]顧客接点を整備し、ブランド訴求強化

新価値提案で商品の競争力を向上

  • 圧倒的な没入感を体験できる“聴くVR”ヘッドホン投入
  • MusicCast*によるサラウンドシステムワイヤレス化
  • * MusicCast:ヤマハ独自のネットワーク機能
[ 写真 ]新価値提案で商品の競争力を向上

企業として、世の中にどのような社会価値を提示し、存在意義を示せるかが大切

モノや情報が社会にあふれ、お客さまも何を基準にブランドや製品を選べばよいか迷ってしまいがちなこの時代だからこそ、「企業が社会に対してどのような役割を果たし、いかなる還元ができるか」という存在意義が問われることを実感しています。今回ヤマハが、「聴覚ロス」というテーマに対して、啓発活動にとどまらず、「リスニングケア」搭載のイヤホンという具体的な答えを提示したことは大きな意味があると感じますし、今後のあらゆる可能性を予告するものでもあると思います。例えば、音が耳に与えるダメージについてケアが必要なのは、イヤホンを使うユーザーだけではありません。ステージ上で演奏するアーティストやミュージシャンもそうですし、裏方のエンジニアも同様です。ヤマハが提案できる製品や技術、ソリューションはまだまだ多様にあります。

[ 写真 ]音響事業本部 ホームオーディオ事業部 商品戦略グループ 湯山 雄太

音響事業本部 ホームオーディオ事業部
商品戦略グループ

湯山 雄太