2016年05月11日

人間同士の会話の特徴をヒントに開発

自然で心が感じられる音声対話システムの構築を支援する新技術

「自然応答技術」
[ 画像 ] HEARTalk™

- 本日より、技術の一部を利用できるライセンス提供を開始 -

ヤマハ株式会社は、音声対話システムにおいて人間らしい自然な対話を可能にする自然応答技術『HEARTalk(ハートーク)』を開発しました。本日より、同技術の一部を利用できるソフトウェアとハードウェアのライセンス提供を開始します。

機械やロボットに使われている音声対話システムは日々進化を続けており、さまざまな研究が世界中で数多くなされています。しかし、音声対話システムを搭載した機械やロボットと対話する際に、誰しもがその声を聞いただけですぐに機械の声とわかる不自然さを感じることが多いのも事実です。

通常、人間同士の会話では、呼びかける方の発話の声の強弱、長短、高低、間、抑揚などからなる「韻律」に合わせて、応答者も同じように発話の「韻律」を細かく変化させることで自然で心の通う会話を成立させています。一方、機械音声による対話システムでは、人間の発話の「韻律」に合わせることなく、応答を行なうため、どうしても不自然さが生じてしまいます。相手が嬉しそうに話しているのに暗い印象を与える低く抑揚のない声で返答したり、また、相手が悲しそうに話しているのに高く強い声で返答したりすると自然な会話は成立しません。

当社は、こうした点に着目し、音に携わるメーカーとして永年培ってきた高度な音声処理技術を用いてこの不自然さの問題点を解消する『HEARTalk』を開発しました。『HEARTalk』は、人間の呼びかけの「韻律」をリアルタイムに解析し、応答に適した自然な「韻律」を導出することができる、特許出願中の新技術です。主に既製の音声対話システムでの組み込み用途を想定しており、応答用の機械音声に自然な「韻律」を容易に付加することが可能となります。

いわば『HEARTalk』は、機械やロボットの応答音声に「心」が感じられるようになる、そんな可能性を秘めた技術です。当社は、今後も『HEARTalk』の普及を通じて、機械と人間との自然な会話の実現に貢献していきたいと考えています。

  • ※『HEARTalk』とは、“HEART+Talk”および“HEAR+Talk”のダブルミーニングからなる造語で、機械と心通った対話を目指すという想いが込められています。当社の登録商標です。

本日より、『HEARTalk』の技術の一部を利用したソフトウェアとハードウェアのライセンス提供を開始します。提供技術は、『HEARTalk』を「相槌」に特化させたもので、人間の問いかけ音声の入力に合わせて、自然な「韻律」で“うん”、“はい”といった相槌音声を返します。いずれも、人間の発話「内容」の解析は行わず「韻律」の解析処理のみで動作するため、少ない処理量で軽快に動作します。ソフトウェアライセンスは、主に音声対話システムを既に自社開発されている法人向けです。ハードウェアライセンスは、主に玩具向けを想定しており、実装面積の小さい低コストな基板モジュール(右図)、参考回路図、参考サンプルプログラムの3つが提供されます。

当社は、音声認識と音声合成からなる音声対話システムと『HEARTalk』が連動することでより高度な音声対話システムを構築できるものと考えています。こうした連動を実現するために、当社は『HEARTalk』の最初の協業事例として、株式会社フュートレック(以下、フュートレック)とNTTアイティ株式会社(以下、NTTアイティ)との共同研究に既に着手しています。フュートレックは、音声関連技術研究のパイオニアであるATR(株式会社国際電気通信基礎技術研究所)、NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構)との、共同研究・成果活用による高水準の音声認識エンジンを有しており、大手通信キャリアをはじめ多くの導入実績を持っています。NTTアイティは、NTT(日本電信電話株式会社)の研究所で研究開発された最先端技術を製品化・販売しており、その中で高精度の音声認識および高品質な音声合成製品も手掛けています。当社、フュートレック、NTTアイティの3社は、それぞれの強みを活かした協業により、『HEARTalk』を用いた新音声対話システムの年内の商品化を目指します。

こちらより『HEARTalk』の紹介動画をご覧いただけます。 https://www.youtube.com/watch?v=1tTaj_TqU6I

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