2024年3月期第3四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:中国での業績悪化について、構造的な変化要因もあるのではないでしょうか。

要因は二つあり、まずは全体的な景気悪化、次に教育政策の影響です。音楽・スポーツは対象外とのことで当初あまり影響はないと捉えていた双減政策ですが、習い事全般に需要が落ちており、当社の事業にも一定の影響が出ていると言わざるを得ません。


Q2:アメリカの個人消費自体は堅調だと思いますが、なぜ楽器は北米が弱いのでしょうか。

北米はデジタルピアノとギターを中心に、前回から売上を40億円ほど下方修正しましたが、市場では競合他社を含めてかなり在庫を抱えています。コロナ後の供給回復で、各社大量に商品を投入した一方、巣籠需要が沈静化して在庫が滞留している状況です。


Q3:デジタルピアノの需要と流通在庫の状況について、想定との違いを教えてください。

主力の欧米市場で販売回復が遅れています。欧州は、2Q時に南欧市場が良化しつつありましたが、ドイツの市況が悪化するなど、想定を下回りました。旧商品が市場に残り、競争力のある新商品を充分に投入できていないことも要因としてあります。


Q4:楽器の市場在庫が正常化するにはどれくらいかかるのでしょうか。

今後の市況次第ではありますが、ポイントは中国のピアノと、欧米を中心とするデジタルピアノです。中国は回復の兆しがまだ見えず、競合も含めてピアノの市場在庫はかなり高い状況で、工場の操業を一定程度維持しながら正常化させていくため、2年ほどかかるとみています。デジタルピアノは、サプライチェーンの混乱や半導体調達難が解消し、各社が供給を強めたことから市場在庫がいまだに過剰気味で、来期前半くらいまでは過剰感が続くとみています。


Q5:今回の修正で、4Qの生産高見通しはどう変わったのでしょうか。

前回との比較で、ピアノと電子楽器の生産高を減らしています。好調な管弦打楽器は増え、ギターはほぼ変わっていません。音響機器は、個人向けを下げますが、法人向けを同程度引き上げるため、全体としてほぼ前回並みです。


Q6:期末在庫の見通しが1,570億円と、来期も比較的高い在庫でのスタートになるようですが、今期と同じような減産リスクを避ける施策があればご紹介ください。

期末在庫は、為替の影響を除くと、前期末を下回る見通しです。今期は、コロナが解消し、それまでの高い需要に対して供給が不足した反省もあって、積極姿勢でスタートしたことが仇になりました。想定外のリスクは排除できませんが、来期は押さえた生産計画でスタートし、必要に応じて増強していくという考え方で進めます。


Q7:スライドP7の一時処理費用32億円の中身を教えてください。

一つは、ピアノのクレームの処理費用として約13億円。過去からの案件で、発生状況から引き当てが足りなそうなので、来期以降に持ち越さないように引き当てておきます。また、音響機器の電子部品で18億円程度の評価減を予定しています。半導体調達難の折に、将来分も含めて部品購入せざるを得ませんでしたが、ホームオーディオを中心に想定より販売が低下しており、余剰材が出るとみており、その余剰材などの評価減です。これらは現状の経営環境を踏まえ将来リスクを慎重に判断している最中ですが、当期末に向け発生するリスクがあるため通期予想に織り込みました。残りの約1億円は人員整理などによるもので、いずれも来期以降に持ち越さないよう期末に処理をする予定です。


Q8:製造戦略の見直しを進める上で、今後も中国での減損のようなケースが出てくるのでしょうか?また今回の構造改革による効果を教えてください。

今のところ具体的なケースは想定していません。構造改革による効果については、海外工場の要員減などにより、全体として20~30億円程度のコスト削減につながるとみています。


Q9:今期、事業環境が悪化する中、コスト削減で利益を確保できなかったのでしょうか。

1Q時には、中国は今期中に回復するとみていたため、固定費の削減には手をつけませんでした。2Q時に長期戦を覚悟して削減を進めたため、コスト削減は限定的になりました。また今期はコロナ禍の間に抑制していた戦略投資を再開し、特にIT費用が増えています。期初にシステム開発をスタートし、途中で止めると逆に無駄が大きいため継続していますが、可能な限り抑制していきます。


Q10:スライドP7にある事業利益増減要因に沿って、来期の方向感を教えてください。

海外の労務費は継続して上昇していくと思いますが、調達やエネルギーコストなど、足元で大きなコストアップはなさそうです。ただし、海上運賃は少し上がる可能性があります。一時処理費用は発生せず、販管費の伸びを抑制します。また、部品・装置、その他の事業では、ゴルフの減益影響が改善されると思います。