ZG01 PROJECT

[画像] ZG01 PROJECT

没入感の高いサウンドと快適な環境で
かつてないゲーム体験を。
ヤマハのオーディオミキサー
「ZG01」が、
新たな風を巻き起こす。

ゲーム/配信用オーディオミキサー「ZG01」開発プロジェクト

ゲームの楽しみ方は大きく変わった。オンラインでボイスチャットしながらゲームを楽しむことが当たり前となり、多くの人々がゲーム動画配信を楽しんでいる。ゲームのオーディオハードウェアへの期待が高まり続ける中で、市場に新たな一石を投じたのがヤマハだ。「ZG01」。これまでの常識を変える製品の開発プロジェクトにフォーカスを当てる。

Project Member

甲賀 亮平
(開発リーダー/電気設計担当)

プロオーディオ事業部 MX開発部 電気グループ
2009年入社/工学部卒

臼井 篤志
(ソフトウェア開発担当)

プロオーディオ事業部 MX開発部 GUIソフトグループ
2009年入社/工学部卒

楠本 康之
(機構設計担当)

プロオーディオ事業部 MX開発部 機構グループ
2009年入社/基幹理工学研究科 修了

ゲーム市場に、新たな価値を。

その製品は、挑戦と創造の象徴。

ゲームをしながら、ボイスチャットや動画配信を快適に楽しめる製品をつくろう。ゲーム/配信用オーディオミキサー「ZG01」の開発は、ヤマハのアイデア公募制度「Value Amplifier」から始まった。社員一人ひとりのアイデアを募り、新規事業の創出を促す。イノベーションカンパニーであるヤマハを象徴する施策だと言える。開発リーダーを務めた甲賀は、プロジェクトの契機をこう語る。
「『Value Amplifier』はやりたいことを何でもできるという制度ではありません。事業化に向けての課題をクリアにして、数々の厳しい審査をくぐり抜ける。そうすることで初めて、アイデアをカタチにすることができます。企画者の熱い想いを受けて、製品化のミッションを担ったのが私たち、プロオーディオ事業部です。オーディオインターフェースのUSB/DSP設計を軸に、電子楽器の音声加工処理やAVレシーバーのHDMI技術も取り入れて、ゲーム市場に新たな価値を提供するための挑戦がスタートしました」

未知の世界。手探りの日々。

ヤマハだから実現できる高次元の音で、ゲームへの没入感を高める。ゲーム配信やボイスチャットの複雑な音声コントロールをこれ1台で完結し、ごちゃごちゃした配線や接続トラブルから解放する。「ZG01」の開発にあたって掲げられた目標は、「今はない価値」を実現することだ。しかし、それを実現する技術は持っていても、ユーザーも、市場も未知の領域。開発にあたっては試行錯誤の連続だったという。機構設計を担当した楠本は次のように話す。
「ヤマハが初めて出す分野の製品だったため、『ユーザーが何を求めているのか』を把握し、仕様を決めることには大きな苦労がありました。機能を実現するには、どのようにボタンや端子などを配置すればよいのか。本当に使いやすいユーザーインターフェースになっているか。もちろん、過度に発熱したり、怪我をしたりするリスクや、製造・組み立てに支障のない構造になっているかにも配慮しなければならない。社内に新設されたeスポーツチームと連携するなどして、新たな価値の創出に挑んでいきました」

あらゆる制限に立ち向かう。

「ZG01」の開発がスタートしたのは2020年。コロナ禍のまっただ中であった。ユーザーのニーズを満たすこと、技術的な課題をクリアするだけでなく、開発者同士で綿密なコミュニケーションを取っていくことも大きな困難であったようだ。ソフトウェアの開発を担当した臼井は、当時をこう振り返る。
「製品全体を制御するファームウェアを私たちのチームが、HDMI制御のファームウェアをマレーシアのAVレシーバーチームが担当することになりました。コロナ禍で出張に行けない状況であったため、共同開発にはかなり苦労した思い出があります。オンラインの会議では、トラブルの原因を突き止めようにも、話がかみ合わない。対策を立てようにも、方向性が定まらない。実際に顔をつきあわせてコミュニケーションを取ることのありがたみを感じたプロジェクトになりました」

神機。ゲーマーも唸る。

2022年6月1日、数多の困難を乗り越えて、「ZG01」は発売を開始した。SNSやネットメディアには、同製品に関するコメントが相次ぎ、中には「神機!」という手放しの評価も見られるほど。ネット上の好反応にメンバーたちは一様に手応えを感じている。
「機構設計の担当者としては、『カッコいい』というシンプルな褒め言葉がいちばん嬉しかったですね。『ZG01』は、黒いボディに水色のライトをあしらった落ち着いたデザインを採用していますが、この水色を出すために特殊なフィルムを使っているんです。材料調達で散々悩まされましたが、頑張った甲斐がありましたよ」(楠本)
「『ZG01』を紹介してくれている動画を見てみると、『こんな風に使うと便利だよ』という趣旨のものが目立っています。中には、開発陣が想定していなかったような方法もあって、私たちも驚かされているくらいです。こんなにも、盛り上がる製品を手がけたのは初めてのこと。『ZG01』を楽しみ尽くしてくださっているユーザーに心から感謝しています」(臼井)
「ヤマハが考えるゲーム向けオーディオミキサーのかたちをユーザーの皆さんが認めてくれている。それがいちばんの喜びですね。多数の機材を接続する必要がないので、デスクがこんなにきれいになったと画像をアップしてくれる人。システムの複雑さからくる遅延やトラブルがなくなったと喜んでくれる人。ユーザーの声の一つひとつが私たちの財産になっています。もちろん、ご批判の声も今後に活きる重要な指針です。一つひとつの声と期待に応える製品を開発・提供し続けることで、ゲーム市場におけるヤマハの存在感を高めていきたいですね」(甲賀)