電子楽器 ハードウェア開発

[画像] 早渕功紀の写真 1

音楽情報処理の研究の成果を
創造的な仕事に生かせると確信して、入社を志望しました。

早渕 功紀
楽器事業本部 電子楽器事業部 電子楽器開発部 電気グループ
2010年入社/システム情報工学研究科了

学生時代のこと

学生時代を振り返ると、「研究」と「仲間内の集まり」に集約されます。
まずは研究について。学生になってすぐは勉学よりも遊びに勤しんでいたのですが(笑)、人工知能研究室の鈴木健嗣先生に出会ってからは、昼夜を問わず研究に没頭しました。当時のテーマは「身体的音響メディア」。身体の動作と音の情報とをつなぐ直感的なヒューマンインターフェースの開発を通じて、人間の認知特性に関する知見を得る、というものです。一例としては、空間定位と音情報を組み合わせることで、情報の認識率が上昇するなどの成果が得られました(興味のある方は、Google Scholarで「Kouki Hayafuchi」と検索してみてください)。研究室は内部生が1/3で、外部生が1/3、留学生も1/3という環境で、多様なバックボーンを持つ人たちと楽しく研究していました。
もう一つの軸として、「Zeton」という仲間内の集まりがありました。そこでは日常の遊びはもちろんのこと、一緒に旅行へ行ったり、ちょっとしたショートフィルムを撮ったり、それぞれの誕生日のサプライズイベントを催すなどしていました。くだらないことを自分たちなりに考え、企画して、それにみんなで乗っかって楽しむという、ゆるくも面白い関係性が大好きでした。ありがたいことに、社会人になってからもなお研究室とZetonのつながりは続いており、研究室のBBQイベントに参加したり、Zetonメンバーで集まるなどしています。

入社動機と今の仕事

もともとギターやピアノといった楽器そのものが好きだったことと、ロボットなどの工学分野に興味があったので、楽器メーカー(特に電子楽器)への就職というのは漠然と想像していました。決定的だったのは、ヤマハの若手・中堅社員が参加する説明会で、九頭竜さん(現トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社CTO)とお話ししたことです。会話の中で「能動的な音楽聴取」というキーワードがたまたま一致し、「こんな面白い人がいるんだ!」とインパクトを受けたことを鮮明に覚えています。そうした社員の方々の魅力と、TENORI-ONやBODiBEATといった製品を通じて、「こういう商品を世に出せる会社であれば、自分がつくりたい世界を実現するのに最も適切な場所なのかも」と、強く感じたことが動機につながりました。また、研究でも音楽情報処理を扱っていたため、自然と「音・音楽に関することを仕事に」という発想はあったと思います。

[画像] 早渕功紀の写真 2

現在の仕事は、「日々の糧を得る仕事」と「明日の種を蒔く仕事」の2つにカテゴライズできます。「日々の糧」とは、すなわち電子楽器のハードウェア開発。世界各国で使われるポータブルキーボードに内蔵される電気回路を作る仕事をしています。私は開発の旗振り役で、数人のチームメンバーと共に約1年かけて新モデルの開発を行っています。商品開発はQuality、Cost、Delivery(QCD)のバランスを保つことが重要で、日程に沿った開発計画を厳守しつつも、新しい機能の搭載にチャレンジしたり、コストを改善する手法に取り組むなどしています。
一方の「明日の種を蒔く仕事」ですが、これはいわゆる社内起業家(イントラプレナー)のような活動を行い、世の中に新しいビジネスを作り出すことを目指しています。最近の例としては、富士通デザイン株式会社をはじめとする富士通グループとの協業で、音・音楽の未来のビジネスをつくるためのビジョン「Sound Intelligence」を作ったり(2018年1月に実施されたプロバスケットリーグ「Bリーグ」のオールスターゲームにおける、恵比寿でのライブビューイングはその成果の一例です)、ヤマハがスタートアップ企業と短期間での成長を目指す「ヤマハアクセラレータ」に参加して、株式会社スペイシーと新しいサービスを作ったりしました。
こうした活動では最初から決まったミッションはなく、ミッションを作り出すところから始まります。社外の人々とつながりながら、共通するビジョンを持って(または作り上げて)、ヤマハ単独では生まれない新たな価値を生み出し、社会に問うていくことに最大の面白さがあります。私自身、自分から手を挙げてアイデアを膨らませて活動をすることが好きなほうなので、こうした仕事にもとても面白さを感じています。
それから重要なのは、これら2つのカテゴリで得られた知見を相互にフィードバックさせていくことです。例えば開発チーム内で新規技術要素の開発にスタートアップの手法を盛り込んだり、新規事業において社内の既存資産をつなぐなど、枠にとらわれない仕事を心がけています。

働くモチベーションとヤマハで得られる成長

人との出会いやつながりが、ヤマハの持つメリットの一つであると感じています。例えば社内には、年齢問わず個性的で話していてワクワクするような、面白い人がたくさんいます。そうした人たちと日々の業務の中でお互いの考えをぶつけあったり、時には助けていただくことで、自分が思ってもみなかった方向に成長できる印象があります。また同時に、社外の方々と仕事をする際にもヤマハという会社のイメージが持つ「音楽」というフレームを通すことで、共通の認識を持ったり、親密度が高まるといった場面がたくさんあります。良くも悪くもビジネスライクになりすぎない空気感のようなものがこのフレームに存在していて、それによって「打算的でない」、「腹を割って話せる」とでも形容したくなるような良いつながりを社内外で生み出しているように思えます。(※あくまで個人の見解です)
また、年齢など関係なく自由にトライできる風潮ですので、「ヤマハは何をしてくれるか」よりも「自分がやりたいことがあって、それをするのにヤマハが一番適切だ」と感じる人にとっては、最もモチベーションが高まると思います。

[画像] 早渕功紀の写真 3

印象深いエピソード

2017年5月に開催された音楽フェスイベント「TAICOCLUB'17」にて、ヤマハブースを出展したことです。仮説検証と銘打って、ブースの企画から実行まで本当に自由に、好き勝手にやらせていただきました(笑)。そもそものきっかけはTAICOCLUBのオーガナイザーの方とお会いした際に、自分がやってみたいことをお話ししたところ、「じゃあやりましょう」と言っていただいたことでした。そこからその話を社内に持ち帰って、出展の許可から始まり費用の捻出、出展の企画立案、造作のデザイン、材料の発注、組立などを約2ヶ月で行いました。イベント前日には社用車に機材を積んで会場の長野まで山道をひた走り、当日は朝から会場設営と運営まで、諸々のタスクをこなしました。2日間のフェス開催中にほぼ休む間もなく(ステージを見ることもなく)クタクタになりましたが、デザイン研究所の方はじめ多くの部門の方々にご協力いただいたこともあり、多くの知見を得ることができました。詳細を今の時点でご紹介できないのが残念ですが、その時の成果は現在検討中の新規事業に生かされています。

[画像] オフタイムの写真

オフタイム

休日は2人の子どもたちと遊ぶことがほとんどです。一緒にレゴブロックで謎の建築物を作ったり、公園で走り回ったりしています。たまに同期を呼んで家で飲み会をしたり。