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読売新聞│配信日:2020年1月27日│配信テーマ:洋楽  

日本大好き 5年の軌跡 ベスト盤を出したアカペラ5人組 ペンタトニックス


 米国の5人組アカペラグループ、ペンタトニックスが「PTX 日本デビュー5周年記念 グレイテスト・ヒッツ」(ソニー)を出した。日本独自企画のベストで、23曲を収録した豪華盤。新曲として、Official髭男dismの「Pretender」もカバーしている。(清川仁)
 「アルバムには日本で披露した数々の曲が入っている。5年間、歩んできた軌跡を感じてもらいたい」。メンバーの一人、スコットは語る。彼らが2014年夏に出した初の日本企画盤は、オリコンチャートでいきなりトップ10入り。母国では12年にデビュー、フランス出身のエレクトロニック系のデュオ、ダフト・パンクの曲をカバーした動画がネット上で人気だったことが背景にあった。紅一点のカースティンは「来日時のファンの歓迎ぶりに感激して、泣いてしまった」と振り返る。
 Jポップを積極的にカバーしたのも、彼らが日本で成功した理由の一つだろう。Perfumeの作品は「ポリリズム」「Pick Me Up」など4曲を複雑に組み合わせてカバー。日本語のうまさは耳の良さに加えて、子どもの頃からアニメなどを通し日本文化に親しんでいたカースティンやミッチの功績によるものという。
 19年の大ヒット曲「Pretender」を早くもカバーした感度にも恐れ入る。ミッチは「美しくて切なく、複雑な構成の曲だ。欧米のポップソングはシンプルだけど、僕らは音楽オタクでもあるので、手が込んでいる日本の曲が大好き」と語る。
 洋楽曲の幅広さも魅力だ。「デスパシート」「シェイプ・オブ・ユー」など全米チャートをにぎわせた曲に、「ボヘミアン・ラプソディ」「アリー/スター誕生」などの映画関連の曲も豊富だ。ミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」の楽曲は、スコットが切望したという。
 今月末から2年半ぶりの来日ツアー。この間、17年にメンバー1人が脱退し、代わってマットが加入した。マットは別のアカペラグループにいた“即戦力”で、メンバーとの初顔合わせのリハーサルの段階で、ライブのみで披露された曲に至るまで完璧に覚えてきたという。マットは「斬新なアレンジで大活躍のグループだから気負って臨んだが、メンバーは意外なほど気楽な様子。逆に、大好きなことを存分に楽しんでいるから、独自の世界を確立できたんだろうなと思った」と話す。
 電子音をも声で再現し、機械のように正確に表現できる彼らだが、「技術に頼るのはやめた」と声をそろえる。ツアーでは、客も歌って参加できるコーナーも用意しているという。

読売新聞2020年1月16日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:清川仁

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