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読売新聞│配信日:2020年1月27日│配信テーマ:Jポップ  

LUNA SEA 結成30年 「V系」嫌いだけど誇り


 ◇週刊エンタメ
 ロックバンド、LUNA SEAが結成30年を迎え、新作、ツアーと活動を活発化させている。このバンドの30年は、ビジュアル系、あるいはV系と呼ばれるジャンルの歴史とほぼ重なる。今や世界でも聴かれるようになったビジュアル系について、ボーカルのRYUICHI、ギターのSUGIZOに語り合ってもらった。(鶴田裕介)
 「僕にとって差別用語。全く好きじゃないですね」。ビジュアル系という言葉への思いを尋ねると、SUGIZOは率直にこう答えた。
 1980年代後半から90年代にかけ、X(現X JAPAN)やLUNA SEAのように、髪を逆立て、派手なメイクで演奏するバンドが次々と登場。いつしか「ビジュアル系」「V系」と呼ばれるようになり、一大ブームを巻き起こした。
 SUGIZOがその言葉を好まないのは、音楽そのものをさす言葉ではないからだ。「僕はデビッド・ボウイやJAPANから影響を受けた。ロック的に物心ついた時、派手なファッションでメイクをするのは当たり前だったんです」。一方、RYUICHIは、中高時代のライブハウス通いを通じて、髪を立て、メイクをすることは戦うために必要な武装だ、と感じていたという。「音楽をやっていて一番良くないのは素が見えてしまうこと。張り詰めた糸のような緊張感を維持するために必要だったんじゃないかな。当時の僕には」と振り返る。
 ひと言にビジュアル系といっても、X JAPANはハードロックが源流にあり、LUNA SEAは美しいメロディーと緻密(ちみつ)な構築美、GLAYは親しみやすさと、音楽性は異なっていた。SUGIZOは「音楽よりも見た目のインパクトが先行して伝わってしまうことにジレンマを感じていた」と語る。97年、RYUICHIが「河村隆一」名義で、ほぼ“すっぴん”でソロ活動をしたのも「音楽で勝負したかった」からだ。
 今やビジュアル系も世間に定着し、楽器を弾かないゴールデンボンバーのような、新たな形態のバンドも生まれている。LUNA SEAは世界各国で公演を重ね、SUGIZOも所属するX JAPANは、米国の大型音楽フェスティバル「コーチェラ・フェスティバル」に出演、海外でも親しまれる。
 SUGIZOは「『ビジュアル系』は好きな言葉ではないが、音楽やファッション、メイク、ステージ(上の演出)と、いろんな表現方法をクロスオーバーさせて新しいあり方を創造したのは、誇らしい歴史。独自の配合で、地球上どこにもないスタイルを作ってきた」と自負する。RYUICHIは「30年前は『男の人なのにメイクして』と言われたのが、今の若い世代は髪の毛をセットしたり、眉毛を整えたりするのは当然のこと。『V系』が、普通になってきた気がするんですよ」と語る。
 今、LUNA SEAの音楽を言い表すには、どんな言葉がいいか。SUGIZOは少し考え込んだ後、「Jロック、というのはいい言い方ですね。日本を象徴するロックではありたいと思っています」と答えた。
 
 ◆プロデューサー迎えて新作
 先月発売したLUNA SEA通算10作目のアルバム「CROSS」では、U2などを手がけたスティーヴ・リリーホワイトを、初めて共同プロデューサーに迎えた。インディーズ時代からセルフプロデュースを貫いてきたバンドにとって、大きな転換点となった。
 新作は「機動戦士ガンダム40周年プロジェクト」記念テーマ曲「THE BEYOND」など11曲を収録。耳に残るメロディー、作り込まれた構築美は健在ながら、まるで組曲のように筋の通った音像が特徴だ。
 そもそも、新人時代に外部の“監督”が入らない環境自体、まれ。SUGIZOは「鼻っ柱が強い若造だったので、とにかく大人に触られたくなかった。売り上げのために、妥協するような操作をされるんじゃないかという不信感があった」。しかし30年も続けていると、いい意味でも悪い意味でも“方程式”ができてしまい、「新しい血が必要だったんです」。
 リリーホワイトはXTC、ローリング・ストーンズなどとも仕事をした大御所。作曲や録音はこれまで通り日本で行い、海外にいるリリーホワイトとデータをやりとりする形で制作を進めた。「これは入れてほしいとか、この曲はこんなアレンジにしたらどう、とか、いろんなアイデアを振ってくれる。絶対に否定しない姿勢を貫いてましたね」とRYUICHI。
 仕上げの過程で、リリーホワイトはイントロのピアノを最後に“移植”したり、コーラスをなくしたりと、大なたをふるったという。SUGIZOは「我々日本人はともすると、あるもの全てをよく聴かせようとバランスを取ろうとするが、スティーヴは必要ないものはバサバサ切っていく。故に、魅力が早く伝わるんです」。歌声はみずみずしく、焦点の合った音。RYUICHIは「見ている景色が違うんだろうな、と思いましたね」。
 
 〈LUNA SEA〉
 1989年、ボーカルのRYUICHI、ギターのSUGIZOとINORAN、ベースのJ、ドラムスの真矢で活動を開始。92年にメジャーデビューし、「ROSIER」「DESIRE」など数々のヒット曲を世に放った。2000年に「終幕」を発表し、解散。07年の一夜限りの復活公演を経て、10年に「REBOOT(再起動)」した。

読売新聞2020年1月18日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

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