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読売新聞│配信日:2020年1月27日│配信テーマ:Jポップ  その他  

2020年に20作目のアルバム「202020」 斉藤和義


 ◆“B面的な曲”悩まず作れた  
 シンガー・ソングライターの斉藤和義が29日、通算20枚目となる新作「202020」(ビクター)を発売する。2020年に20作目、20を「三つ並べりゃいいか」と直球の命名もさることながら、リハーサルスタジオで生まれたてほやほやの曲を“録(と)って出し”で収録し、ほどよい力加減が心地よい。(鶴田裕介)
 「シングルのB面の曲を作る気持ちで、アルバムを作れたらいいな、と考えていた」と斉藤。「A面はキャッチーにしなきゃとか、わかりやすくしなきゃとか、何となくそういう意識がある。一方でB面、カップリング曲は適当でいいか、と録ると、意外と評判がよかったり、長く歌える歌になったりする」
 リハーサルスタジオ(リハスタ)に簡易な録音機材を持ち込み、バンドのメンバーと演奏しながら曲を作り、録音していった。「プリプロ」と呼ばれる、正式な録音前の仮録音のつもりが、「録れてた音がすごくよかった」のだという。
 名ドラマ「傷だらけの天使」テーマ曲のカバー、即興劇のように物語が展開していく「シャーク」——。斉藤の言う、味のある“B面的な曲”が、いたるところに顔を見せる。
 奔放にギターを弾きまくるギターアルバムのようでもあり、野太いバンド演奏は1960年代、70年代のロックの名盤のようでもある。録音専門ではないリハスタで録ったため、ギター、ベース、ドラムスとバンドの音が重なり合ったことも奏功した。「いい感じに隙間が埋まってくれる。昔のロックもきっちり分けて録ってはいないけれど、いい音だった。エンジニアには嫌がられましたけど……」
 20作目にして「こんなに悩まず作れたアルバムは初めて」と明かす。「120%神経を注がなきゃと徹夜を続けたこともあった。でも60%、70%の力でも、できた曲を気に入っていればどちらでもいい。生みの苦しみも、あまり続くと疲れちゃう。これくらい楽しく作るのもいいかな」。最近は、奥田民生やトータス松本らとのバンド「カーリングシトーンズ」でも活動。気の知れた仲間同士、和気あいあいと制作する楽しさも、今作に影響を与えたようだ。
 2月から全国ツアーで50本以上のライブをこなす。「(スタッフに)たくさんやると言ったけれど、こんなにとは言ってない」と苦笑いしつつ、年間を通じて、ツアー中が一番体調がいいと明かす。「次の日ライブだと思うと飲み過ぎないし、時間になったら出かけなきゃいけないし、普段より規則正しくなる」。一般人にはまねのできない健康法だ。

読売新聞2020年1月23日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

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