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読売新聞│配信日:2020年1月27日│配信テーマ:Jポップ  その他  

[評]カーリングシトーンズ公演 雑談も魅力の一流どころ


 レベルの高すぎるオヤジバンド、という言い方は乱暴だろうか。奥田民生、トータス松本、寺岡呼人、斉藤和義、YO—KING、浜崎貴司の6人で結成。ビッグネーム同士のバンドと聞けば、ボブ・ディランやジョージ・ハリスンらのトラベリング・ウィルベリーズを思い出すが、もう少しゆるいイメージのようだ。
 この日、6人はグループサウンズのミリタリールックを思わせる衣装に身を包んで登場、デビュー曲にして代名詞的存在の「スベり知らずシラズ」からスタート。3人も4人も重なる分厚いギター、そしてサビで個性派たちが声を合わせる。ぜいたくな味わいだ。
 基本は、エイトビートの直球ロックンロール。ノリと勢い第一の姿勢は、どこか学園祭を思わせる。そのドタバタとしたノリが、全員が一流どころであることに由来する緊張感を緩和しているのだろうか。
 このバンドの魅力は音楽だけではない。むしろ音楽よりも……と暴言を吐いても、あまり怒られない気がする。つまり曲と曲の合間のトーク、雑談である。松本は「バンド名は『AB/CD』だったけれど、怒られるので変えた」と語り、浜崎は「中国語にきこえる日本語、中国弁」を披露。曲よりもトークの時間の方が長いかもしれず、「モグモグタイム」まであった。
 オリジナル曲で通してきたが、終盤、松本が「どうしても歌いたくなってしまった」と芝居がかった口調で訴え、“実家”ウルフルズの「ガッツだぜ!!」を熱唱。このメンツが「ガッツだぜ」と声を合わせるゴージャスさ。「涙はふかない」では全員が楽器を手放し、息の合った踊りを見せた。
 一般企業で言えば、全員が社長クラス。そんな一流どころが集まってバカ騒ぎするところを見ると、世の中捨てたもんじゃないな、と思う。押し入れでほこりをかぶったギターを取り出したくなったのは、私だけだろうか。(鶴田裕介)
 ——昨年12月23日、東京国際フォーラム。

読売新聞2020年1月23日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

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