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読売新聞│配信日:2019年8月12日│配信テーマ:

[イマ推しっ!]ショー「KEREN」 日本への憧れ 全部のせ


 大阪市の「COOL JAPAN PARK OSAKA」内の劇場で開催中のショー「KEREN」は、自国の伝統のみならず、世界中の文化を貪欲に吸収してきた“何でもあり”の日本を表現している。スタッフも和洋混在で、演出は「笑っていいとも!」や数々の舞台を手がけてきたベテラン、高平哲郎さんが担い、ブロードウェーで活躍する振付師、バーヨーク・リーさんも参加。奇抜なステージの狙いはいかに!?(清川仁)
 「クールジャパン、関西色、歌舞伎のケレン、タップ、殺陣、バーヨーク・リーさんの振り付け。全部詰め込むにはどういう形にするか考えた。ショーは足かせがいっぱいあった方が、実は作りやすい」。高平さんは語る。
 「KEREN」は訪日外国人を主たるターゲットにしたノンバーバル(非言語)の1時間10分のショー。歌舞伎の世界で奇抜な演出を指す言葉「ケレン(外連)」から名付られただけに、忍者やサムライ、寺社に妖怪、ネオン街といった日本文化とともに、ミュージカル風の演出やダンス、タップ、デジタル映像などを織り交ぜた。高平さんは「勝手な解釈だけど、それがクールジャパンだと思う。日本って何でも取り入れちゃう」。
 外国人が憧れる日本が満載されているともいえる。高平さんが「僕が思う一番美しい大阪」としてイメージしたのは、米映画「ブラック・レイン」で描かれた心斎橋などの風景。また、「エンターテインメントに携わるアメリカ人なら、みんな知っている」として北野武監督の映画「座頭市」のタップダンスシーンを挙げ、同場面を振り付けたHIDEBOHさんによる修行僧のタップも盛り込んだ。
 リーさんも「日本らしい場面もありつつ、ユニバーサルな視点で色々なものが入っていて素晴らしい」と語る。リーさんは1951年の「王様と私」で子役としてブロードウェーデビューし、「コーラスライン」にはオリジナルキャストとして出演。高平さんを始め、30年前から日本人との親交を持ち、ダンサーのレベルの飛躍的進歩に驚いているという。作品に携わり、「ケレンとは自由ですね。こういうものという定義や壁を打ち破るようなもの」と実感している。
 映像を手がけたのは、カナダの「モーメントファクトリー」。「想像以上の絵作りとアニメーションだった。スタッフには妖怪好きも劇画好きもいる」(高平さん)。約30人のキャストには、名作ミュージカル「ウィキッド」の出演を取りやめて参加したという、リーさんのアシスタントの姿も。スタッフ、キャストの海外勢が一座に刺激を与える一方、リーさんもKEREN終盤に登場するパチンコ玉を使った演出にヒントを得て、アトランタで上演した「南太平洋」で同様の試みを披露したという。
 2月下旬から半年間行われてきたショーは、今月25日まで。

読売新聞2019年8月 7日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:清川仁