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読売新聞│配信日:2019年6月3日│配信テーマ:その他  

[イマ推しっ!]ミス・サイゴン キム役4人 それぞれに縁


 来年5、6月に東京・日比谷の帝国劇場で上演されるミュージカル「ミス・サイゴン」のヒロイン、キム役の4人が発表された。高畑充希さん、昆夏美さん、大原櫻子さん、屋比久知奈(やびく・ともな)さんという多彩な顔ぶれ。エンジニア役の市村正親さんとともに、抱負を語った。(清川仁)
 1992年春、「ミス・サイゴン」が日本で初演された時、高畑さん、昆さんは0歳、大原さん、屋比久さんは生まれていなかった。初演から唯一、一貫して出演している市村さんは、「ビックリする。やってて良かった。新鮮なことと出会うのは俳優にとって血肉になる。変なところは見せられない」と話す。
 キム役の4人のうち、3人は初出演。「ミュージカルからは少し離れていたけど、ミュージカル愛はずっと心の中で燃えていた。ラストチャンスにチャレンジしたいと思った」と話すのは高畑さん。大好きな作品で、客席から何度も見ていたという。「キムという役はミュージカルに憧れている女の子にとって特別」と、オーディションでつかんだ大役に目を輝かす。一方、「でも、いざやるとドキドキ、どうしましょっていう感じ」と、おどけてみせた。
 歌手としてNHK紅白歌合戦の出場経験がある大原さんは、ミュージカル好きの両親の影響で、小学生の頃からミス・サイゴンの楽曲を聴いたり歌ったりしていたという。「1年半前、ブロードウェーで上演していたのを見て、さらに、初演でキムを演じたレア・サロンガさんに会うこともできた。『ずっと憧れていたので、いつかやりたいと思っています』とお伝えしたんです」。帰国後、オーディション話が舞い込み——。「受けられるだけでも奇跡だった。ご縁を大切にして頑張ります」
 そのサロンガさんに「似ていると言われたことがある」と話したのは、沖縄出身の屋比久さん(「似てるよね!」「似てるかも!」と一同が同意)。2016年に帝劇で行われた「集まれ!ミュージカルのど自慢」で最優秀賞を獲得した。その時歌ったのが劇中歌の「命をあげよう」だった。優勝を契機に、17年にはディズニー映画「モアナと伝説の海」の主演声優に抜てきされるなど活躍。「本当に人生が変わった曲。沖縄とベトナムは戦争の現場であることなど、通じるものがある。絶対やりたいと思って挑みました」
 昆さんは唯一、過去に2度、キム役を演じているが、大作に謙虚に向き合う姿勢を示した。「1回やっても2回目をやっても、今回も変わらず、声や体力が持つか不安なんです。何回やっても慣れることがない役はなかなかない。初めてやるお三方と同じ気持ちでドキドキしながらやることになる」
 物語は、ベトナム戦争末期のサイゴン(現ホーチミン市)が舞台。エンジニアが経営するキャバレーで働くベトナム人の少女キムと、米兵クリスとの愛と別離、2人の間に生まれた子供タムへの愛を描く。「レ・ミゼラブル」のスタッフチームの第2弾として送り出された作品で、実物大のヘリコプターが登場するなど破格の大作といえる。
 市村さんにとっても、劇団四季を退団後に初めて受けたオーディションで思い出深い作品。「その時の気持ちは今でも鮮明に残っている。厳しい作品だけど、みんなで作り上げていく。苦労しながら楽しんでほしい。そしてミス・サイゴンという世界を生きてほしい」と、4人にエールを送った。また、オリンピックイヤーに上演されることが多いため、「来年、東京でオリンピックをやって、ミス・サイゴンをやらないわけにはいかない。オリンピックのミュージカル部門強化隊長として頑張っていきたい」と、リップサービスも忘れなかった。

読売新聞2019年5月29日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:清川仁

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