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毎日新聞│配信日:2019年5月13日│配信テーマ:その他  

<Topics>鈴木良雄が半世紀総括するアルバム 美しい曲を目指して


 日本のモダンジャズベーシストの草分け、鈴木良雄が半世紀にわたるプロ生活を総括するアルバム「ビヨンド・ザ・フォレスト」(フレンズ・ミュージック)を自己のバンド「ベース・トーク」名義で発表、5月26日東京・白寿ホールで記念コンサートを開催する。

 鈴木は1946年生まれ。父がバイオリン製作者、母がピアノ教師、叔父が「鈴木メソード」創立者という音楽環境に育ち、幼少からピアノ、バイオリン、ギターなどを学ぶ。早稲田大学のモダンジャズ研究会ではピアノを担当し、卒業後、渡辺貞夫の勧めもあってベースに転向し、69年から渡辺のバンドで本格的プロ活動を開始。73年に渡米し、S・ゲッツ、A・ブレイキー、S・ロリンズらと共演しながら、自己のサウンドを構築していった。85年の帰国後は、いくつかのバンドを経て、現在、鈴木のオリジナルだけを演奏する結成18年目の「ベース・トーク」を中心に活動している。「チンさん」の愛称で親しまれ、理論と技術、精神性でたくさんのファンを集める。

 「僕は、どちらかというと作曲家意識が高くて、美しい曲を作り、それをどうやって美しく演奏するかを考え続けてきた」と鈴木。リズムやビート、アドリブの発想力や演奏力を重視するのがジャズかと思いきや、意外な姿勢である。その「美しさ」とは何か。「自然の摂理で展開するメロディー、高度なハーモニー、ソフィスティケートされたムード、それを組み立てる構成力」と説明。「新アルバムは、ピアノの野力奏一の高い編曲能力と井上信平、岡部洋一というベテラン演奏家のおかげで、曲の完成度が上がり、7年がかりで仕上がった」と大きな手応えを実感している。ゲストで読売日本交響楽団のソロコントラバス奏者でおいの石川滋も参加している。

 「ジャズは、ないものを作る開拓の音楽。信じた道を行くしかない。これからもやり続けるしかない」と今後のジャズ道を見据える。記念公演には石川も出演する。【川崎浩】

毎日新聞2019年4月30日東京夕刊(2版)掲載 執筆記者:川崎浩

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