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読売新聞│配信日:2019年4月29日│配信テーマ:その他  

[旬感]うねる数字 音と融合 クラフトワーク公演


 シンセサイザーなどの電子機材を使ったポップの先駆けで、「テクノの神」と言えるグループだ。彼らのステージは結成から約半世紀の今も刺激的。サウンドもビジュアルも常に更新されている。ここのところ、音と連動した3D映像を専用メガネで見せるコンサートを続けている。
 「NUMBERS」では数字の列がうねり、列車の走行音のようなサウンドを交えた「ヨーロッパ特急」では、白黒のシンプルな絵で列車や線路を表現する。明確なテーマを持った楽曲同様、映像もアイデアが鮮明で無駄がない。観客はその世界にすっと没入できる。
 中心人物のラルフ・ヒュッターは「昔から音楽と絵画、映像などを融合させることを意識してきた」と語る。「グループが結成されたデュッセルドルフはドイツ現代アートの中心地だった。アカデミックな電子音楽はすでにあったが、高速道路やロボットなど日常的なものを音楽的に表現してみたかった」
 人の声なども効果的に使われ、どこか温かみがある。「機械と人間の相互関係から曲ができる。決して機械一辺倒ではない」。ラルフはロシア構成主義や未来派の芸術作品からも影響を受けており、「それらに精神的な親しみを覚えた」と言う。音楽の背景にある思想性。それが彼らを特別な存在にしている。(桜井学)
  
 ◇クラフトワーク
 1974年のアルバム「アウトバーン」が全米チャート5位を記録し、世界的な人気を獲得。エレクトロニックミュージックの隆盛に大きく貢献した。グラミー賞も受賞している。今月行われた来日公演を記念して、「3‐D 12345678」(ワーナー)が発売された。CD単品と映像作品の2形態があり、代表曲の新しいバージョンが楽しめる。新作についても「考えているよ」(ラルフ)とのこと。

読売新聞2019年4月24日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:桜井学

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