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読売新聞│配信日:2018年12月31日│配信テーマ:洋楽  Jポップ  その他  

[回顧2018]音楽 ポピュラー 配信 ストリーミング時代へ


 ◆安室引退 米津躍進 
 2018年のポピュラー音楽では、9月の安室奈美恵の引退が大きな話題となる一方、米津玄師が大活躍。新たなスターが躍進した。音楽配信では「ストリーミング」サービスがダウンロード販売をしのぐ勢いを見せており、さまざまな変化を感じさせる1年だった。(桜井学、鶴田裕介)
 CDの売り上げに、インターネットの動画再生数やラジオでの放送回数などの要素も加味したビルボードジャパン年間総合ソング・チャートでは、シンガー・ソングライターの米津玄師の「Lemon」がトップだった。アルバム「BOOTLEG」も年間2位と強さを見せつけた。米津は1991年生まれ。動画サイトで楽曲を発表して注目された。叙情性を感じさせる曲で幅広い層から支持されており、カラオケ人気も高い。
 シングル年間2位のDA PUMPは久々の大ヒット。16年ぶりの「NHK紅白歌合戦」出場が決まった。「U.S.A.」は1980年代を思い出させる派手なダンスミュージックだ。
 CDの売り上げにダウンロード数などを加味した年間総合アルバム・チャートでは引退した安室奈美恵の作品が2年連続で1位に。9月に安室の故郷・沖縄で行われたラストライブは関心を集め、大勢のファンが会場周辺に集まった。
 ■サントラが人気 
 洋楽は映画関連作が強かった。アルバムの年間5位に食い込んだのは、ミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」のサントラ。「ディス・イズ・ミー」など高揚感のある曲が受けた。このほか英バンド、クイーンの世界を描いた「ボヘミアン・ラプソディ」のサントラもヒットした。
 一方、7月にはボブ・ディランがフジロック・フェスティバルに出演。ノーベル文学賞受賞後初の来日公演とあって話題を呼んだ。
 ■音楽ビデオ伸びる 
 日本レコード協会によると、10月末までのCDなどオーディオレコードの生産額は1286億円で前年同期比7%減。その中で、アナログレコードは生産額17億円、同26%増と全体に占める割合はわずかだが好調を保つ。DVD、ブルーレイなどの音楽ビデオの生産額は671億円で、同44%増。大幅な伸びは、安室の最後のコンサートツアーを収録した作品が、175万枚以上の記録的な売り上げ(オリコン調べ)になっているためだ。
 デジタル音楽配信では、データを端末に受信しながら再生する「ストリーミング」の1〜9月の累計売り上げは253億円で、同31%増。シングル、アルバムのダウンロードなどを合わせた音楽配信全体では478億円で、同12%増だった。年間では、ストリーミングの売り上げがダウンロードを上回る勢いだ。
 同協会によると、松任谷由実、Mr.Childrenといった邦楽の“大物”がストリーミングによる聴き放題サービスを解禁。「聴きたい音楽がないと敬遠していた層にも利用されるようになった」という。
 ■悲報 
 「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」「傷だらけのローラ」などのヒット曲で知られる歌手の西城秀樹が63歳で死去。米国の「ソウルの女王」ことアレサ・フランクリン、ベンチャーズで活躍したギタリストのノーキー・エドワーズ、シャンソンの名歌手だったシャルル・アズナブールらがこの世を去った。
 
 【記者が選ぶ年間ベスト】 
 迷うことなく、年間ベストアルバムは石橋英子の「The Dream My Bones Dream」。ジム・オルークとの共同プロデュース作。列車の走行音を思わせるビート、ノイズ的な音響を交えた複雑で詩的なサウンドが聴き手を心の旅にいざなう。それは自分の記憶をたどるようにノスタルジックであり、未知の世界に踏み出すように冒険的でもある。石橋のどこにも行き場がないような、ひそやかな歌声に癒やされ、胸が締めつけられ、シンパシーを覚える。
 ライブは、音楽フェス、サマーソニックでの米サックス奏者、カマシ・ワシントンが一番。真夏の夜、海辺のステージで聴いた音は、どこまでも開放的かつ解放的。躍動感に満ちていた。(桜)
 
 直球過ぎる気もするが、宇多田ヒカルの「初恋」が今年のベスト。ポピュラー音楽からアートの域に踏み込んだ感があり、後世に聴き継がれそうだ。ライブはサマーソニックで見たカマシ・ワシントン。脳天を割られるかのような強烈なグルーブに踊り狂った。
 勝手に選出する再発盤部門はビートルズの通称「ホワイト・アルバム」。音が広がり、深みが増した。名作なのに手の加え方がすさまじい。振り切らないといいものはできぬという教訓。敢闘賞は羊文学の「若者たちへ」。故人へのメッセージとも、バカンス中の友人への連絡とも取れる歌詞が面白い「天国」を繰り返し聴いた。配信でなくCDには“秘密”も隠され、気付いた時の驚きといったら。(鶴)
  
 【ビルボードジャパン年間チャート】
 ■総合ソング・チャート
 1 Lemon        米津玄師
 2 U.S.A.       DA PUMP
 3 ガラスを割れ!      欅坂46
 4 打上花火         DAOKO×米津玄師
 5 ドラえもん        星野源
 ■総合アルバム・チャート
 1 Finally      安室奈美恵
 2 BOOTLEG      米津玄師
 3 初恋           宇多田ヒカル
 4 海のOh,Yeah!!  サザンオールスターズ
 5 グレイテスト・ショーマン サウンドトラック
 (集計期間=2017年11月27日〜18年11月25日)

読売新聞2018年12月20日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:桜井学

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