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読売新聞│配信日:2018年11月5日│配信テーマ:洋楽  

「イマジン」今も世界に必要 オノ・ヨーコさん


ジョン・レノンが1971年にアルバム「イマジン」を発表して約半世紀。最近、この名作に関連するCDや書籍などが、次々と発表されている。なぜ今、「イマジン」なのか。妻のオノ・ヨーコさんにメールで尋ねた。(文化部 鶴田裕介)
 表題曲「イマジン」でレノンは「想像してごらん すべての人々が 平和な暮らしを送っていると」と歌う。可能性を想像できるなら、それは現実になるというメッセージで、今や世界中で歌われる。今月、同アルバムの音源を最新技術で再構成したCDを中心とする「イマジン:アルティメイト・コレクション」(ユニバーサル)が発売された。作品に関わった人々の証言や写真を集めた新刊『イマジン ジョン&ヨーコ』(ヤマハミュージックメディア)も出た。オノさんは「(当時)生まれていなかった人々にとって、この世界を体験する機会になる」と説明する。
 米音楽出版社協会は昨年、オノさんを「イマジン」の共作者に認定した。64年に出した著書『グレープフルーツ』で読者に「想像しなさい」と呼びかけていた。曲ができた時、レノンはオノさんに何と言ったのか。「私はいつもジョンのそばにいましたから、彼は私に歌についてどう考えるか、尋ねることはありませんでした。私はその場にいたのです」
 レノンは「いつの日か きみも仲間に加わって 世界はひとつに結ばれる」と歌う。だが、作品が世に出て47年たった今も、世界では紛争が絶えない。「世界は今、混乱していて、悲しいことに、私たちにはイマジンという歌がまだ必要なのです」
 インターネット上では“常識”から逸脱したと見なす言動を一斉に糾弾する「炎上」が多発。現代人はますます調和した世界から遠ざかっているようでもある。オノさんにアドバイスを求めると「運ぶことができるくらいのお米の袋を作って、山にでも行きなさい」との答えが返ってきた。様々な解釈が可能だが、新刊の版元は「息苦しさを逃れるには、必要最小限なものだけを持ち、シンプルかつ自然な生活を送ればよい、ということでは」とみる。
 今、レノンがいたら何を想像してごらん、と言うだろう。「ジョンは人々に、自分が想像したいものを想像してほしい、と望むと思います」。そして、21世紀を生きる読者に「平和は力。それでこそ美しい地球を創造できます」と強く呼びかけた。

読売新聞2018年10月25日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:桜井学

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