[ 画像 ] 今週の音楽記事から 音楽ジャーナリストの眼 毎週月曜更新

新聞記事

毎日新聞│配信日:2018年11月5日│配信テーマ:その他  

<演歌・歌謡ラボ>西尾夕紀/大石まどか=専門編集委員・川崎浩


 ◇西尾夕紀 自分と重なる覚悟

 ものまねの対象が自分よりうま過ぎるとまねはできない。つまり、ものまね上手は歌がうまい。西尾夕紀は、ものまね番組の常連どころかチャンピオンクラスである。演歌はもとよりポップス、歌謡曲、どんな質の声でも出せるのではないかと思うくらい、まねも歌もうまい。ここが悩ましいところである。どうしても「個性」探しに時間がかかってしまうのだ。

 デビュー25周年。ストレートに「歌姫」(コロムビア)という記念曲を歌う。「亡き父に勧められて入ったこの道も25年。この歌は、愛する人と故郷で別れて歌に生きるという覚悟の歌なので、自分と重ねてしまう」と感慨深げである。器用貧乏と言われがちな「歌のうまさ」を覚悟を持って「個性」に変えるのが、これからの西尾の大きな仕事である。

 ◇大石まどか 自分を客観的に

 西尾より1年先輩の大石まどかも、以前テレビ特番で優勝したほど、まねがうまい。つまり、悩みどころも西尾と同じで「何でも歌えてしまう」ところである。歌まね上手は、まず耳がいい。そして自由に声帯を操れる技術を持つ。が、聴き手は、まねの「歌」を聴いて、歌う「歌手」を聴かない。大石は、今、歌手に専念し、個性探しにまい進する。

 新曲は、前作「ストロベリームーン」同様、レーモンド松屋作詞作曲の「愛しの函館」(同)である。「イメージが強過ぎて意識的に避けてきた故郷・函館の歌ですが、松屋さんの勧めでチャレンジした。大変難しかったけど、その分、客観的に自分の歌を見られるようになった」と、進歩を実感したようだ。うまいと個性が出にくいとは皮肉だが、2人の個性が花開くのもそろそろであろう。

毎日新聞2018年11月 1日東京夕刊(1版)掲載 執筆記者:川崎浩

その他   のテーマを含む関連記事