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毎日新聞│配信日:2018年10月8日│配信テーマ:その他  

<POPSこぼれっ話>個性派女性サックス奏者


 秋風を感じると、情熱と哀愁の重なり合ったジャズサックスの音色が心にしみてくる。と、あたりを見渡すと、個性的な女性奏者が実に元気!! 異なるキャラクターの3人を紹介してみたい。

 最も正統的本格派が寺久保エレナ。この春「リトル・ガール・パワー」(キング)を初めて日本の仲間と発表した。曲はチャーリー・パーカーやホレス・シルバーなどのモダンスタンダードを中心にオリジナルやスティービー・ワンダーの曲を交えている。ピアノの片倉真由子、ベースの金森もとい、ドラムスの高橋信之介のリズムセクションは、寺久保同様、知識、技術、感性いずれも世界レベル。「伝統ジャズは実はクリエーティブ。まだまだ学びたいし極めたい」と力強く語る。

 赤と青のロングヘアに超ミニスカート姿と、寺久保と真逆のスタイルで耳目を集めるのがユッコ・ミラー。セカンドアルバム「サキソニック」(同)は、ダンサブルなビートを利かせたポップ色の強い作品で、アデル、ダーティ・ループス、ジャミロクワイなど洋楽ヒット曲に自作を加えたもの。本人は伝統スタイルが好きだが「若者の好きなトレンドに焦点を合わせてみました」と挑戦した。

 「私は過去のジャンルで分けられる場所にいない。新作もまったく新しいアプローチで臨んだ」と胸を張るのは、女性サックスの草分け・小林香織。デビュー13年で12枚目となる「ビー・マイセルフ!」(同)である。オープニングからエンディングまで、展覧会を歩いていくようにカラフルな作品が並んでいる。全曲オリジナルで、バックはすべてプログラミングという最先端スタイル。そこに小林のアルトやテナー、フルートが乗る。「生活になじむ“音魂”が宿る、今ベストだと思う作品集。活力と癒やしが同居した新しい世界観が出せた」と満足げ。22日名古屋▽23日大阪▽11月2日東京で記念ツアー。しかし、3人ともキングレコードというのは、業界の姿勢としていかがなもの?(川崎浩・専門編集委員)

毎日新聞2018年10月 1日東京夕刊(1版)掲載 執筆記者:川崎浩

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