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毎日新聞│配信日:2018年10月8日│配信テーマ:Jポップ  その他  

<らっこ・アーティスト>水樹奈々 自分を探し求める超戦士


 台風の影響などなければ、水樹奈々は、29日の今ごろ台湾の国立体育大学体育館で公演中だろうか。来月13日には中国・上海ヒマラヤセンター大観舞台でもソロコンサートを行う。「楽しみだけど、普段通りを心掛ける」と本人はいたって冷静。世界中に日本のアニメ文化が広がり、その最前線で「顔」として活動を続けているのが水樹である。「アニメ文化だけでなく、水樹さん自身が求められているの?」と、ファンにとってはあり得ない質問を本人にぶつけても「そうなんです。世界中のアニメファンは、声優個人の情報も日本並みに把握してるんです」と門外漢に丁寧に教えてくれる。そんな水樹が、「今年は特別だった」と振り返る。

 「1月に“絶対にやりたかった”日本武道館7デイズライブを開催できた。7組のゲストにも登場してもらった。私、7(なな)にこだわるんです」。確かにファンクラブの事務所も7階だ。

 「26日発売したばかりの37枚目のシングル『ワンダー・クエストEP』(キング)も『7』が付いているから特別なんです」。水樹のシングルは17枚目から「EP」が付いている。「拡張拡大する音楽という意味で『エクステンディッド・プレイ』を使った」と意欲を見せ、アニメやゲームの主題歌など「4曲すべてがAサイド!」と宣言する。「4曲には『クエスト=探求』という共通テーマがあるんです。『7』では必ずチャレンジすることにしているんですが、今回は特に、未知な方法に挑んだし、自分との闘いも試みた。『内なる冒険』って感じ」。ラップやラウドロックがあるかと思えば、盟友・宮野真守とのデュエットもある。

 こんな歌唱表現の話になると、居ずまいを正してどこを取っても、緻密で揺るぎない語り口になる。よろいを着て天空を飛び回り悪をこらしめる超人少女戦士のようである。

 「『17』は空がテーマだった。『27』は時空。どこか、まだまだがむしゃらに高みを目指していた。でも、30代後半になって後輩も育ち、彼らにどんな背中を見せられる先輩になれるか、自分を見つめ直す時期にきた感じがした」。これが「37」の隠しテーマである。そこで確信したのは「ボトムの強化の必要性!」と笑う。「すべてに基礎が大切ってことかな」

 実は10月24日にも38枚目シングル「ネバーサレンダー」が発売される。こちらも劇場版アニメ「魔法少女リリカルなのは」シリーズ主題歌など4曲入り。日々の声優の仕事を務め、全国ツアーをこなし、海外公演に出向き、そしてCDも。「制作には、一からコミットします。デモ曲200、300曲は聴きますよ。そこから物語を発想し詞を選んでいく」。つい、名前の前にウルトラを付けたくなる超人性ではないか。【川崎浩】

毎日新聞2018年9月29日東京夕刊(2版)掲載 執筆記者:川崎浩

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