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毎日新聞│配信日:2018年9月10日│配信テーマ:その他  

<POPSこぼれっ話>今も「熱い」クリエイション


 「熱い!」

 例年なら海風がさわやかな横浜・赤レンガ倉庫も、今年はライブハウス「モーションブルー」に到着する前に汗まみれである。だが、演奏が始まると、「暑い」を超えて「熱い」のなんの。世界で活躍したロックバンド「クリエイション」のリーダー・竹田和夫のデビュー50周年を記念する「クリエイション」名義のライブである。

 1970年代、絶頂だった「クリエイション」を、どれだけの人が思い出せるであろうか。だが、「クリエイション」は、「今の」バンドだった。「いつの時代でも、その時のかっこいい音楽をやり続けている」。竹田は、いきがるでもなく力むでもなく、泰然としてほほ笑んだ。

 竹田は68年にプロギタリストになる。75年、内田裕也のプロデュースでアルバム「クリエイション」でデビュー。その後「クリーム」のプロデューサー、フェリックス・パパラルディがアルバムを制作。全米デビューとともに全米ツアーを実施。その勢いで日本人アーティスト初の東京・日本武道館単独公演を果たす。海外ツアーで共演したアーティストは、キッス、フリートウッド・マック、サンタナなどキラ星がそろい、80年代になってもアジア圏での人気は絶大であった。「夢の彼方に」「スピニング・トー・ホールド」「ロンリー・ハート」などヒットもある。が、竹田は、84年に活動を休止、90年代になると本人も米国へ移り住む。「クリエイション」再開は2005年。

 「人が多い。息苦しい」。竹田は、日本の不自由さをそう表現した。「60年代末は自由と変化の時代だった。その最前線にいられたのはありがたかったね。何でも取り入れた『クリエイション』はジャンルがない。音楽のハイブリッドになっている。それこそがロックだと思うね」。ギターもボーカルも衰えがない。「好きなことやってきただけ。ただ、おれたちのロックが“のろし”として、若い連中に伝わればいいがね」。熱い煙は遠くへ届くに違いない。(川崎浩・専門編集委員)

毎日新聞2018年9月 3日東京夕刊(1版)掲載 執筆記者:川崎浩

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