[ 画像 ] 今週の音楽記事から 音楽ジャーナリストの眼 毎週月曜更新

新聞記事

読売新聞│配信日:2018年7月2日│配信テーマ:洋楽  

公演最終日のビートルズ 1966年武道館 貴重な37枚


 ◇週刊エンタメ
 まだあったのか! ビートルズが1966年に来日した時の写真が今年4月に大量に見つかり、ファンを驚かせた。撮影したのはジャズ写真家の阿部克自さん(2008年死去)。発見の経緯とその価値に迫った。(鶴田裕介)
 ビートルズは66年6月29日未明、羽田空港に降り立ち、30日から日本武道館で計5回、ライブを行った。ファンが熱狂した一方、「武道振興の施設でロックは不謹慎」との批判の声も上がり、社会現象となった。
 あれから52年。阿部さんの長男の昇さんが今年4月、父の暗室を整理していたところ、茶封筒に入ったネガなどを発見した。ネガ袋に「羽田到着」「武道館」などと父の筆跡で書かれ、自宅近くの写真館で現像されていたことから、父の撮影と分かった。
 写真は60点。羽田空港到着時、30日の初演、最終公演となった7月2日夜の部——の3場面が主に撮影されていた。来日時の様子に詳しいビートルズ日本史研究家の大村亨さんによると、1点を除き、ほとんどが未公開とみられる。とりわけ貴重なのは、2日夜の部の様子を収めた写真だ。
 ビートルズ来日を巡っては、写真家の浅井慎平さんらが撮影したことで知られるほか、公演を主催した読売新聞制作の特別サイト「THE BEATLES 日本公演50周年記念特集」でも写真などが公開されている。6月30日と7月1日の公演は映像もあり、テレビ放送されたり、ビデオ販売されたりした。
 ただ、大村さんによると、2日夜の部の最終公演は残っている写真が少なく、映像や録音も公式には明らかになっていないという。
 今回見つかった写真には、2日夜の部の写真が37点含まれていた。サングラスをかけたジョン・レノンのリラックスした表情をとらえているほか、ケーブルをほどくようなしぐさを見せるポール・マッカートニーが写る。大村さんは「最終公演は一番いい演奏だったと言われている。その様子を今に伝える貴重な資料だ」と評価する。
 謎も残る。6月30日の写真がステージ間近から撮影されているのに対し、7月2日は離れた席からの撮影とみられる。若干ピントが甘いものもあり、観客の影が写り込むなど苦労の跡もうかがえる。阿部さんがどのような立場で撮影したのかもはっきりしない。
 昇さんが父からビートルズを撮影したと聞かされたことはなかったといい、「僕が中学生の頃、ビートルズに夢中になっていたのを知っていたはず。何で言ってくれなかったのか」と不思議がる。それでも見つかった写真について「シャッターを切る回数が少なく、撮りたいと思った瞬間しか撮らなかったオヤジらしさを感じる」と話している。
     ◇
 写真はシンコーミュージックのムック「MUSIC LIFE ザ・ビートルズ日本公演1966 特別版」の付録に掲載されている。
 阿部さんの公式サイトは、http://abesun.com。

読売新聞2018年6月23日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

洋楽   のテーマを含む関連記事