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読売新聞│配信日:2018年6月4日│配信テーマ:その他  

薬師丸ひろ子 20年ぶりのオリジナル作 背丈に合った「今」の歌


 歌手で女優の薬師丸ひろ子が、20年ぶりとなるオリジナル作「エトワール」(ビクター)を出した。ピアノと弦楽器を軸にした落ち着いた伴奏で、バラードを中心に収録。50歳を過ぎた「今」の歌声を生き生きと伝えている。(鶴田裕介)
 「セーラー服と機関銃」「探偵物語」など数々のヒット曲を持つ薬師丸。ここ数年、映画音楽のカバー作品の発表やコンサートなど、活発な音楽活動を展開しており、満を持してのオリジナル作となった。
 自らプロデュースを手がけるなど、並々ならぬ力の入れようだ。兼松衆をはじめ、若い作り手を中心に楽曲提供を依頼した。
 自身も2曲で作詞。「50歳を過ぎても愛や恋を歌い、10代が聴いてもグッとくる歌を作れる方も多いけれど、自分では無理」と苦笑い。表題曲の「エトワール」はフランス語で星という意味。「砂の海原 星は瞬いて さすらう旅人 イズコ」と歌う。「映画でも、若い頃から自分の背丈に合った役を演じさせていただいてきた。自分の人生を旅するキャラバンにたとえ、荒野にひっそり咲く小さな花を見つけられないかな、という思いを書きました」
 ピアノや弦楽器を中心に、歌を前面に出す音作りは、散々迷った結果。「歌っていて、耳に帰ってくる自分の声がある。それを皆さんに聴いてほしいと思った」
 音楽活動から遠ざかった時期もあった。「私は自分で詞や曲を書いて歌う人間ではない。どなたかが声をかけてくださらないとチャンスがないんですね」。映画のプロデューサーに「久しぶりにコンサートをやろう」と言われたのを機に、ここ数年、活動を続ける。「意外と客足が減らない。継続的に頑張れば、歌う場所があるということを知ることができました」
 歌手と女優、自分の中での関係は。「芝居を演じるということは、技術の方がいて、共演者がいて、ハーモニーなわけですよね。歌うというのも、演奏者とのハーモニー。私の感覚でいえば同じ。ただ、演じるのは大所帯ですが、歌は狭いところでもできるし、意見も交わしやすい。自分のやりたい方向性は、音楽の方がすごく明確な気がします」
 20年ぶりに出したアルバム、「本当の意味でのオリジナル作になりました」。すでに次作の構想もある。「今回の作品があまりにもヒットしなかったら、自費出版でやります。家を売ってでも」と、冗談交じりに、しかし固い決意を語った。

読売新聞2018年5月31日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

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