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毎日新聞│配信日:2018年4月16日│配信テーマ:Jポップ  その他  

<大衆音楽月評>パンクアイドル 出現=専門編集委員・川崎浩


 チョー・ヨンピルをはじめとする韓国芸術団が3月31日に訪朝し、4月3日まで北朝鮮公演したニュースが大きく報じられた。ほかにアイドルグループの「レッドベルベット」や「少女時代」のソヒョンらが歌うテレビ映像を見たが、なかなかの露出度で、公式コメントではなく1500人の観客がどう反応したか知りたかったところである。「13年ぶりの韓国音楽団訪問」と報じられる中、では「2005年は誰?」と調べたら、当のヨンピルだった。

 では、これが、北朝鮮で初めての韓国ポピュラー公演かと言えば、まだ前があり、日本でもなじみのキム・ヨンジャが01年4月、韓国人として初の北朝鮮単独公演を行っている。

 ヨンジャは「分断前の大衆音楽を北朝鮮国民に聞かせてあげたい」と1990年代から当局に働きかけ、当時の金正日(キムジョンイル)朝鮮労働党総書記と金大中(キムデジュン)韓国大統領の首脳会談が実現したのち、許可された。日本のバンドを率いて約1週間、数カ所でコンサートを開いているが、最終の咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムフン)公演では金正日総書記が観覧。総書記のリクエストで「釜山港へ帰れ」「離別」などを日本語で歌ったという。終了後の会食でも総書記は「韓国の歌はいい。日本の影響を受けている」と語り、ヨンジャを「あなたの歌は観客と一緒に呼吸している」と称賛した、と同席したバンドリーダーが語っている。なかなかの“耳”であると思うだけでなく、よく情報が入っているな、と驚く。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長も、こんな父の影響を受けているのだろうか。

 今春最初の話題は、“楽器を持たないパンクバンド”という触れ込みの少女アイドルグループ「BiSH」の「ペイント・イット・ブラック」(エイベックス)がオリコン週間チャート(9日付)でシングル初登場1位を獲得したこと。同曲はアニメ「ブラッククローバー」のオープニングやCMに使われている。最近のアイドルグループに共通する「ダーク」イメージを前面に打ち出したグループで、5月22日には横浜アリーナ単独公演が決定している。

 また、米津玄師の「Lemon」(ソニー)が、オリコンのデジタルチャートで7週連続1位を獲得。累積ダウンロード数も80万を超えた。CDも8位で3週連続トップ10入りし、売り上げは25万枚を超えた。9日付ビルボードチャートでも「Lemon」は1位、「ペイント・イット・ブラック」が3位を獲得している。

 AKB系グループ以外から登場したBiSHの動向は今後も注目されよう。

毎日新聞2018年4月 9日東京夕刊(1版)掲載 執筆記者:川崎浩

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