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読売新聞│配信日:2018年1月8日│配信テーマ:Jポップ  

元日第3部 J—POP 平成の名盤30 後編


◎2018読売新聞 エンタメ 
 (11面に前編)
 3人の選者が決めた「J—POP平成の名盤30」。前編で触れた5作品以外を紹介する。
        ◇
 (マ=マーティ・フリードマン、柴=柴那典、石=石黒大貴)
 
 ◆オザケン、B’z 40代の青春 
 岡村靖幸「家庭教師」[1](1990年)「ポップでありながら異質な音楽。ひたすらとがっていて(似た音楽を志す)フォロワーが生まれない。マネできないのでしょう」(石)
  
 Mr.Children「Atomic Heart」[2](1994年)「『innocent world』『CROSS ROAD』などを収録。国民的バンドになっていく過程が刻まれている」(柴)
 
 小沢健二「LIFE」[3](1994年)「『フリッパーズ・ギター』時代から続く“渋谷系”の代表的な作品。最近活動を本格的に再開しており、小沢を1枚というならこれ」(石)
 
 SMAP「SMAP007 ゴールド・シンガー」[4](1995年)「この時期のSMAPは名盤を作ろうという意識がすごくあった。ベーシストのウィル・リーら一流の海外ミュージシャンも参加し、質が高い」(柴)
 
 スピッツ「ハチミツ」[5](1995年)「スピッツと聞いてイメージするジャケットといえばこれ。『ロビンソン』などを収録し、さわやかで甘酸っぱい感じが全部表れている」(石)
 
 B’z「LOOSE」[6](1995年)「今も第一線、超一線で活躍しており、1枚選ぶのは難しい。『ねがい』などヒット曲が入る本作を挙げた。みんなB’zでギターを始めた」(石)
 
 フィッシュマンズ「空中キャンプ」[7](1996年)「ダブ、レゲエとポップスを融合したことにより、ある種の文学性を持った音楽を作った。90年代後半以降のバンドに大きな影響を与えた」(柴)
  
 ウルフルズ「バンザイ」[8](1996年)「楽しい曲あり、泣かせる曲あり。ソウル、ファンク、ディスコをやってるロックバンド。そういう音楽をお茶の間に持ち込んだ」(石)
  
 ◆ゆず 平成のフォーク
 JUDY AND MARY「THE POWER SOURCE」[9](1997年)「ボーカルのYUKIが第一線で活躍し続けていることもあり、90年代のジュディマリのきらめきは色あせていない。ガールポップの金字塔」(柴) 
 
 ゆず「ゆず一家」[10](1998年)「昭和からあるフォークという音楽を、平成にゆずがずっと守ってきた。彼らにとって一番大事なものは原点。このアルバムがそれ」(柴)
 
 Hi—STANDARD「MAKING THE ROAD」[11](1999年)「メロコア(パンクロックのジャンル)がはやったのはこの作品あってこそ。以降、インディーズバンドが表舞台で活躍するようになった」(石)
 
 椎名林檎「無罪モラトリアム」[12](1999年)「当時の女性シンガーはプロデューサーの作った世界観で歌うのが一般的だった。椎名林檎の登場で、女性シンガーの表現の幅が広がった」(柴) 
  
 モーニング娘。「セカンド モーニング」[13](1999年)「多人数で、代替わりするアイドルという概念自体が発明で、AKB48などが続いた。モー娘。の登場で、J—POPの可能性が広がった」(柴)
  
 ◆aikoの詞 みんなに響いた
 aiko「桜の木の下」[14](2000年)「ヒット曲『花火』を収録。そんな気持ちを歌にしちゃうんだ、という歌詞をポップスに乗せて共感を呼んだ。ファンとの距離も近かった」(石)
   
 サザンオールスターズ「バラッド3」[15](2000年)「サザンは決して昭和でなく、平成のグループ。今も現役。だが1枚となると難しい。名曲『TSUNAMI』が入るこのベスト盤を選んだ」(柴)
  
 BUMP OF CHICKEN「jupiter」[16](2002年)「『天体観測』を収録し、知名度を高めた作品。このバンドに影響を受けた日本のアーティストは山ほどいる。何より音楽が古びていない」(柴)
   
 松浦亜弥「T・W・O」[17](2003年)「彼女のキャラクターがたっぷり出た作品。つんく♂のプロデュースの特徴は聴き手に伝わりやすい味を出すこと。後進にも影響を与えた」(マ)
  
 平原綾香「ODYSSEY」[18](2004年)「うまい歌手でありながら、1秒も叫ばない。声が楽器みたいに美しく、表現力がある。『明日』は静かな編曲で、奇跡の声が聴ける」(マ)
  
 安室奈美恵「Queen of Hip‐Pop」[19](2005年)「時代を象徴したという意味での『SWEET 19 BLUES』に対し、後世に残って聴かれる音楽的な質の高さを持つ作品」(石)
  
 マキシマム ザ ホルモン「ぶっ生き返す」[20](2007年)「かなりハードな音楽だけれど、センスがポップでオリジナル。似ているバンドがおらず、いつ聴いても裏切られることがない」(マ)
   
 ◆AKBに魅せられて 
 AKB48「ここにいたこと」[21](2011年)「『ヘビーローテーション』は邦楽の中で一番好き。かわいくて魔法がある特別な曲。『ポニーテールとシュシュ』もいい」(マ)
   
 ももいろクローバーZ「5TH DIMENSION」[22](2013年)「アイドル路線を踏襲しつつ、ちょっと外したサブカル路線なども切り開いていった。世間のアイドルを見る目をガラッと変えた作品」(石)
  
 BABYMETAL「METAL RESISTANCE」[23](2016年)「あまりにガチ(本気)のヘビーメタル過ぎて、だからこそインパクトがある。海外ではガチメタルじゃないとジョークだと思われる」(マ)
  
 いきものがかり「超いきものばかり」[24](2016年)「とっても日本的で、アメリカでいうカントリー。これを聴くと日本にいると実感する。曲も素晴らしい。ベスト盤だが外せない」(マ)
  
 米津玄師「BOOTLEG」[25](2017年)「ネット発のミュージシャン。若い人に人気で、店頭での反響もかなりある。10年後『あの頃、何聴いてた?』という会話でこの作品が挙がる気がする」(石)
   
 ◆マイ・ベスト 選んでみて 
 選定後、エレベーターに乗り込んだ選者の一人が「浜崎あゆみが入ってないよ〜」と叫んだ。扉は閉まってしまったが、その言葉がずっと耳に残っている。
 3人のプロが選んだ30枚。裏方としては胸を張れる結果だが、選者からすれば本音はもっとたくさん選びたかったことだろう。できれば自分も、相対性理論の「シフォン主義」やサニーデイ・サービスの「東京」を加えたいし、読者の皆さんからも「あれが入ってない!」との声があろう。
 人の数だけ名盤がある。この機会にご自身でも選んでみては?(鶴田裕介)

読売新聞2018年1月 1日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:鶴田裕介

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