[ 画像 ] 今週の音楽記事から 音楽ジャーナリストの眼 毎週月曜更新

新聞記事

読売新聞│配信日:2018年1月1日│配信テーマ:その他  

[イマ推しっ!]鍵盤男子 連弾のイメージ覆る曲


 未来型連弾デュオと名乗る「鍵盤男子」が話題を集めている。今年11月、アルバム「The future of piano」(ワーナー)で、メジャーデビュー。朝の情報番組で生演奏を披露すると、ネット検索の急上昇ワードの上位に躍り出た。ピアノ連弾のイメージを覆す新鮮でポップなサウンドは、まさに連弾の進化形と言えそうだ。(清川仁) 
 鍵盤男子は、大井健(たけし)さん、中村匡宏(くにひろ)さんの2人組。大井さんは幼少時からドイツやイギリスに渡り、現地で演奏活動もした俊才。ピアニストとしてソロアルバムも出しており、俳優の伊藤英明さん似のルックスも話題だ。中村さんはクラシックからポップスまで多彩に手がける作・編曲家。ピアノの腕前も一流だ。
 元々は、オペラユニット「レジェンド」の伴奏者として出会った2人。オーケストラの譜面をピアノで表現するため連弾で伴奏するようになり、それがファンの間で「あの伴奏が面白い」と評判になり、2人だけのコンサートをやるようになったという。大井さんは「10年の付き合いがあるから、即興演奏でもお互いの手の内を知り尽くしていて呼吸がピッタリ合う」と話す。
 優れた作曲家を擁するのは、このユニットの強み。音楽大学で作曲を学んだ中村さんが手がける楽曲は、目が覚めるようなピアノの豊かな響きをもたらす。「ピアノという倍音の少ない楽器の高音部も、オーケストラ曲を作る際の技術によって、芯のある響きになるようにしている。でも、アカデミックでロジカルに作っていることは知ってもらわなくてもいい。単純に聴いていい曲だな、気持ちいいなと思ってもらえばいい」と語る。
 「ボレロ」などクラシック曲のアレンジから、レディオヘッド、コールドプレイなどUKロックのカバー、ポップなオリジナル曲まで多彩な楽曲を打ち出す。「クラシックであるとか、そうではないとかは関係ない。クラシックは好きだけど、それにもまして『音楽』が好き」(中村さん)
 打ち込みのような緻密(ちみつ)な繰り返しフレーズなど、従来のピアノ曲にはない試みも新鮮だ。「実はそういうプレイが一番難しい」と大井さんは苦笑する。ネット上にアップする動画では、ボーカロイド曲の「千本桜」や「アンパンマンのマーチ」など親しみやすい曲も披露。驚くほどスタイリッシュに変化させる。
 さらにアルバムのタイトル曲の動画は、真上から映した鍵盤にプロジェクションマッピングを投影する斬新な手法を採っている。2人は「パフォーマンスも楽しんでほしい。まだまだピアノには未知の可能性がある」と意気込んでいる。

読売新聞2017年12月27日読売新聞記事(1版)掲載 執筆記者:清川仁

その他   のテーマを含む関連記事