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音楽ライター記事

ライター:山崎│配信日:2017年3月30日│配信テーマ:洋楽  

2017年、日本に吹く熱風 / サンタナ『ロータスの伝説 完全版』とジャパン・ツアー


これまで洋楽アーティスト達は数多くの伝説的ライヴ・アルバムを日本で録音してきた。

ディープ・パープル『ライヴ・イン・ジャパン』やチープ・トリック『at武道館』、ボブ・ディラン『武道館』、エリック・クラプトン『ジャスト・ワン・ナイト』、スコーピオンズ『蠍団爆発!トーキョー・テープス』などはロック史上に残るライヴ名盤として、世界中のファンに聴き継がれている。

そしてサンタナの『ロータスの伝説』もまた、日本で録音されたライヴ・アルバムの最高峰のひとつだ。

1973年7月3・4日、大阪厚生年金会館でのライヴを収めた本作。「ブラック・マジック・ウーマン」「僕のリズムを聞いとくれ」「君に捧げるサンバ」などの代表曲からインプロヴィゼーション性の高いナンバーの数々までを収めた本作では、当時の“ザ・ニュー・サンタナ・バンド”のありったけの情熱と興奮を注ぎ込んだ演奏を聴くことが出来る。

LP3枚組という、ポピュラー音楽では異例の大作となった『ロータスの伝説』だが、音楽そのものの素晴らしさに加えて本作を文字通り“伝説”たらしめたのは、横尾忠則の制作による22面体ジャケット・アートワークだった。

本作は当初2枚組アルバムになる予定で、ジャケットもシンプルな見開きになる筈だった。だが、アルバムが3枚組になったことが横尾のスイッチを押してしまったのか、22面ジャケットという前代未聞の作品となった。

筆者(山崎)の横尾への取材によると、このジャケットは「気がついたら22面になってしまった」そうで、「製造コストもかかるし、ギャラは2枚組分しか出せないと言われたけど、そんなのはいいから、やりたいようにやらせろ!」という意気込みの中、デザインされたものだという。

CD時代の到来により、1991年に初CD化された『ロータスの伝説』だったが、ライヴ前に行われた「瞑想」が収録されておらず、曲順を変更、22面ジャケットをブックレット形式にして封入するなど、オリジナルの再現度は決して高くないものだった。ただ当時は「あの『ロータスの伝説』をCDで聴ける!」というだけで嬉しかったものだ。

2006年にはサンタナ紙ジャケットCDコレクションの一環として、『ロータスの伝説』も紙ジャケ化されている。このときはオリジナルLPに準じてCD3枚仕様となり、CDサイズで22面ジャケットが復活。さらに同梱ブックレットに当時の関係者たちの談話を収録するなど、気合いが入りまくりの逸品だった。

この2006年紙ジャケCDはファンの間で“決定盤”とされ、持っていなければ死んでしまうほどの必携アイテムだった。

だが2017年、それすらも超える『ロータスの伝説 完全版』が発売されることになったのだ。

『完全版』の目玉はまず、オリジナル盤からカットされていた未発表トラック7曲(トータル36分)が44年の月日を経て遂に初収録されたことだ。ファロア・サンダースの「ザ・クリエイター・ハズ・ア・マスター・プラン」やオリエンタルなメロディのヴォーカル・ナンバー「ジャパン」、「コンガ・ソロ」などはカルロス・サンタナのギターのフィーチュア度がきわめて低く、そのせいでオリジナル盤からカットされたと思われるが、当日のライヴにより近い構成になったという点で、2017年のロック界において最も重要な発見のひとつといって過言ではない。

さらに音声は2017年DSDリマスターのCDとSACD 2ch、そしてオリジナル盤LPで採用されたクアドラフォニック(4チャンネル)音声を収録したハイブリッド盤となっている。

それに加えて22面ジャケットを今回は7インチ・サイズで復刻。アナログ盤シングルと同サイズの迫力で手にすることが出来る。

2006年版に同梱されたブックレットに、さらにカルロス・サンタナからのメッセージも収録されるなど、『完全版』の看板に偽りナシ!だ。

なお『ロータスの伝説 完全版』発売を記念して2017年4月8日(土)に都内某所で音源の一部を世界最速視聴できるスペシャル・イベントが開催されるが、ここでは幻のドキュメンタリー映像『1973 サンタナの軌跡』も上映される。初来日時のサンタナを追ったこの秘蔵フィルムはライヴ映像やオフステージ・ショットの数々が収録されており、これまで一度だけ上映会が行われたもの。今回の『完全版』にぜひDVDとして収録していただきたかったが、いろいろ権利が難しいらしく、これから10年後ぐらいに発表されるかも知れない(?)『ロータスの伝説 “超”完全版』に期待したいところだが……。

2017年4月、サンタナは『TRANSMOGRIFY TOUR 2017』と銘打って、日本武道館を含むジャパン・ツアーを行う。69歳という年齢にも拘わらず濃厚なギター・プレイは、“枯れる”ことを知らない艶気に満ちている。

ドイツ軍人のルドル・フォン・シュトロハイム少佐によるとサンタナは“メキシコに吹く熱風”という意味だそうだが、44年前と現在のサンタナを味わうことが出来る2017年の春、日本にもサンタナの熱風が吹き荒れるのだ。



ロータスの伝説 完全版 -HYBRID 4.0-【完全生産限定盤】
(ソニーレコーズ インターナショナル/SICP-10116)
■3CD(SACD/CDのHYBRID盤)
■未発表音源7曲追加収録
■2017年リマスター
■来日記念盤

【完全生産限定盤】
■22面体ジャケット(7インチ紙ジャケ)
https://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?associate=SMO&cd=SICP000010116


<公演情報>

『SANTANA TRANSMOGRIFY TOUR 2017』
日時:4月22日(土)17:00 open/17:30 start
会場:盛岡市民文化ホール

日時:4月24日(月)18:00 open/19:00 start
会場:大阪市中央体育館

日時:4月25日(火)18:15 open/19:00 start
会場:名古屋国際会議場 センチュリーホール

日時:4月27日(木)18:00 open/19:00 start
会場:日本武道館

お問い合せ先:ウドー音楽事務所 03-3402-5999
http://udo.jp/concert/Santana



『ロータスの伝説 完全版』リリース記念&来日公演直前スペシャル

日時:2017年4月8日(土)12:00~/14:30~/17:00~
 ※各回とも上映会・試聴会で約2時間を予定
会場:都内某所(詳細は当選された方にのみお知らせ)

受付期間:2017年3月23日(木)11:00 ~ 2017年3月30日(木)12:00
当選発表:2017年3月31日(金)
 ※当選連絡メールをもって発表

http://udo.jp/concert/Santana/articles

2017年3月30日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載 執筆記者:山崎智之

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