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非登録ライター│配信日:2017年3月21日│配信テーマ:洋楽  その他  

世界的ベーシスト、ネイザン・イーストの公開リハーサルで見た、演奏が練り直され新たな響きが生まれる瞬間


(取材・文/飯島健一)


 卓越したプレイで数多のミュージシャンに信頼され、音楽ファンも魅了するベーシストのネイザン・イースト。今年1月に2ndソロアルバム『Reverence(レヴェランス)』を発表して、2月に来日。ビルボードライブ東京での公演前夜に開催された今回のスペシャル・イベントでは、貴重な公開リハーサルやトークセッションを繰り広げた。

 会場には、最新作『Reverence』のハイレゾ音源(※)が入手できるヤマハの音楽配信サービス“mysound”の招待を含む、ごく限られた数のファンが集まり、レアな一夜が始まるのを楽しみにしていた。そんなファンの前に登場したネイザン・イーストは、日本語で「コンバンハ~」と挨拶をしたかと思うと、すぐに「Thank you very much,Good night!」と帰るふりをして、まずは客席の笑いを誘って、和やかな雰囲気に。

 公開リハーサルは、マイケル・トンプソン(G)のブルージーなフレーズを合図にジャムセッションでスタート。ジェームズ・イースト(B)とスティーヴ・フェローン(Dr)が繰り出すどっしりしたリズムに、ケイレブ・ジェイムス(Key)とジャック・リー(G)が幻想的な響きで奥行きを与え、ノリヒト・スミトモ(Key)がウィンドシンセサイザーで奏でるブルースハープの響きが、情熱的な雰囲気を作り上げていく。そこにネイザンも躍動的なベースで加わり、ベースラインと同じフレーズを口ずさんで、演奏に命を与える。肩慣らしというレベルを超えた濃密な演奏に、客席からは熱烈な歓声があがりつづけた。

 2曲目からはアルバム『Reverence』の収録曲を披露。都会的な音色が心地よい「Lifecycle」では、ネイザンのステップを踏むような軽快なベースプレイとメロディアスなヴォーカルで、会場は爽やかな空気で満たされていく。そして全楽器が力強い音を鳴らして演奏を終えたところで、ネイザンは、最後のパートに入る前のリズムをダッ、ダッ、ダッと溜めるように鳴らすことで、エンディングを引き立てるよう、メンバーに声をかける。目の前で演奏が練り直され、新たな響きが生まれるさまに、音楽の自由さ、無限の可能性を感じた。

「Elevenate」ではメロウな雰囲気に身を任せるように、ネイザンは世界各国の国旗がプリントされたフレットの上で、指を滑らかに躍らせる。一転、アース・ウインド&ファイアーのカバー「Serpentine Fire」ではファンキーな演奏が繰り出され、ネイザンもグルーヴィーなベースラインと情熱的なヴォーカルで、楽曲にエネルギーを与える。スティーヴィー・ワンダーのカバー「Higher Ground」でも、ワイルドなベースが奏でられ、会場はライヴ本番さながらの盛り上がりを見せた。

 最後は、ネイザンの1stアルバム『Nathan East』から「101 EASTBOUND」を披露。アルバムと同じく、ボサノヴァとフュージョンを融合させたドラマチックなアレンジで演奏しながら、ライヴならではのダイナミックな響きがドラマ性をさらに引き立て、観客に新たな感動を与えてくれた。いつまでも続く拍手と歓声に、ネイザンも満面の笑顔を浮かべ、「Thank you so much,Tokyo!」という言葉で、公開リハーサルは幕を閉じた。

 後半のトークセッションは、最新作『Reverence』の話題を中心に進行。“畏敬の念”という意味のタイトルの理由を、「音楽の先人に対する敬愛を示したかった。あと去年、アメリカの大統領選挙やいろんな事件があって、いまこの世界に一番必要なのは、相手を敬愛する気持ちではないかと思って付けたんだ」と話す。さらに「日本は敬愛を象徴する国だと思う」とも語っていたのだが、アルバム・ジャケットでネイザンがとっている合掌のポーズ、あれは我々日本人にも馴染みのある畏敬の作法であり、ネイザンはじつは日本をイメージしてくれていたのかもしれない、などとふと考えてしまった。

 イベントの最後は、来場者とのフォトセッション。本番と変わらぬエネルギッシュなリハーサルを繰り広げ、トークも披露したあとだというのに、ファンのひとりひとりと握手を交わし、身を寄せながら笑顔で撮影に応じるネイザンの姿から、音楽や人間すべてに“敬愛”を持っている人なのだ、とつくづく実感したのだった。

※ NATHAN EAST セカンドソロアルバム『Reverence』ハイレゾ配信
   http://ymh.jp/reverence



「NATHAN EAST VIP ファンミーティング」

日時:2017年2月22日(水)
会場:東京・ヤマハ銀座スタジオ

2017年3月21日音楽ジャーナリスト&ライターの眼(1版)掲載

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