2023年3月期 決算説明会 質疑応答

Q1:中国の前期第4四半期の状況と、今後の見方について教えてください。

景気は回復してきており、店頭の客足も戻ってきていますが、ピアノの市中在庫が重く、ヤマハからの出荷ベースでの本格的な回復は下期を想定しています。また、足元の消費は旅行や外食等に回っている面があり、Eコマースも少し軟調気味です。
今期は、前期比116%の予想ですが、前年のマイナスを鑑みると回復途上という見方で、市中在庫含め今期中に正常化し、来期以降は従前の成長モードに戻ると考えています。ピアノ市場に加え電子ピアノの需要も伸びていて、中国にはまだ成長余地があるとみています。


Q2:欧米の状況、今期予想についてコメントをお願いします。

欧州は、前期に苦戦したエントリーモデルの回復や、日本製のピアノなど、需要が堅調な中高級価格帯の供給改善を見込んでおり、ギターも成長できると見ています。北米は、前期、管楽器が大幅に伸長しましたが、今期も管楽器の好調継続に加え、低価格帯の需要が回復基調にあり、エントリーモデルの電子楽器やギターの市中在庫が適正化するのに伴い、好調を持続できると考えています。半導体調達難の解消により音響機器も供給が回復し、いずれの地域も成長を見込んでいます。


Q3:前期の販管費が、前回見込みに対して20億円ほど増えた背景を教えてください。

前回見込みに織り込んでいなかった費用として、コルドバ社の買収費用が5億円程度、賞与の月数増加や有給休暇取得率の上昇による引当て増等が7億円程、また内陸輸送費等の増加が数億円ありました。コルドバ社の買収費用は一過性のものです。


Q4:前期と今期の事業利益増減について、価格適正化を含む要因分析イメージを教えてください。

前期は、コスト上昇分80億円を増収・増産、モデルミックス、価格適正化の87億円でオフセットしていますが、実質売上は横ばいでしたので、価格適正化でカバーしたという状況です。今期は、増収・増産、モデルミックス、価格適正化153億円のうち、増収による増益がおおよそ100億円程度、それ以外が主に価格適正化で、これによりコスト上昇分を相殺します。海上運賃のプラスと販管費のマイナスがオフセットになり、増収効果の100億円が残るというのが大まかな見方です。


Q5:最近はコストが上がる中で値上げもしやすかったと思いますが、この先、価格適正化は、どのように進められるのでしょうか?

今後も市場の趨勢を注視しながら、商品やサービスの提供価値を高め、お客様に価値を感じていただくことで、価格適正化を継続していきたいと考えています。


Q6:23年3月期の事業利益率10.2%から、中計目標の14%に至る道筋を教えてください。

前期は、楽器がピアノとギターの減産による工場稼働損の拡大、音響機器も半導体調達難により、事業利益率が大幅に悪化しました。今後は楽器の中高級品や、半導体調達難の解消で音響機器の供給が正常化することにより、売上成長を回復基調に乗せることで、事業利益率を改善できると考えています。また、部品・装置その他の事業の事業利益率が想定以上に向上しており、全社の利益率の引き上げに貢献しています。


Q7:工場の稼働について、前年との比較で今期は改善と見てよいでしょうか?

工場稼働による損益影響は、月々の計画と実際の差が重要で、仮に年間生産高が同じでも、期中で増減産を繰り返すと稼働損が出てしまいます。今期は、ピアノの減産が続きますが、当初から生産計画を調整しており、損益の良化に寄与します。


Q8:今期、営業キャッシュフローが1,000億円以上改善する計画ですが、背景と内訳を教えてください。

前期は、在庫増に加え、前々期に売却した政策保有株式の法人所得税の納付によりキャッシュフローが大きく圧迫されました。また、前受金での取引が大半である中国の売上が減り、他の地域の売上が増えたことで売掛金が増加し、営業キャッシュフローが悪化しました。今期は、これらの要素が正常化するとともに、在庫の削減によりキャッシュフローを改善します。


Q9:今回、音響機器事業の開示を、個人向けと法人向けに変更した狙いを教えてください。

音響機器セグメントは、個人向けと法人向けで、ニーズや販路など、事業が大きく異なっており、組織も含めて市場軸に括り直すことで、商品開発や販売面のシナジーが出せると考えています。事業再編に伴い、開示も2つの括りで行ってまいります。