2023年3月期第3四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:中国のゼロコロナ政策及び解除後の混乱などの影響について教えてください。

ゼロコロナ政策の延長及び解除後の混乱は、想定をかなり上回りました。現在、特約店は全て営業再開し、客足も戻りつつあります。今後、需要回復が期待できますが、この混乱で市場在庫が重くなっており、セルインの正常化は来期第1四半期、あるいはもう少し長く影響が残るかもしれません。当社も在庫を抱えていて、生産が正常に戻るのは、さらに時間を要するとみています。


Q2:欧米の市況と今後の見通し、ディーラー在庫状況を教えてください。

欧州では、エントリーモデルの軟調が低価格アコースティックピアノや、中級デジタルピアノの下位機種などにも波及しています。北米もエントリーモデルは軟調です。先述の波及は、欧州以外の地域にも同様の傾向が広がっていく可能性もありますが、現時点では、中高級品は堅調に推移しています。回復はマクロ経済状況次第です。欧米とも、デジタルピアノのエントリーモデルやギターは、ディーラーも我々も一定の在庫を抱えています。


Q3:12月末の受注残の水準をアップデートしてください。

通常の受注残に追加で積み上がっている受注残は、9月末から70億円ほど減り、約300億円で、内容はピアノ、管楽器、PA機器が多いです。現在、商品によって供給が追い付いていないものと、逆に在庫が過剰になっているものが混在している状況です。地域別では北米が大きいです。


Q4:第4四半期に楽器事業の利益率が悪化する予想ですが、背景を教えてください。

要因が二つあり、一つは利益率の高い中国のピアノが減るため。もう一つは為替影響で、ドルは売上収益にかなり影響しますが、事業利益への影響は限定的なので、対ドルで円安になると、売上げが増える一方、利益にはあまり影響がなく、利益率が下がる要因になります。


Q5:部品・装置・その他の事業の事業利益は上方修正ですが、状況を教えてください。

電子デバイスの半導体調達難の影響は、徐々に解消し、車載ブランドオーディオ含め堅調に推移しています。自動車用内装部品は顧客企業様の動向次第ですが、自動車産業の部品不足は徐々に改善していくとみています。FA機器は、基盤検査装置がスマートフォンの需要動向に左右されます。事業利益については、不透明感から少し慎重に見ていましたが、第3四半期累計で一定の利益が実績として計上できましたので、通期見込みを上方修正しました。


Q6:半導体調達難による年間の売上マイナス影響額をアップデートしてください。

第2四半期時点での通期見通し290億円から、主にPA機器と電子デバイスで改善し、260億円の見通しとなっています。


Q7:国別の生産の状況を教えてください。

中国では、ピアノを中心に生産が落ちています。販売の回復に伴い生産も正常化していきますが、少し時間がかかると思います。国内の工場は受注残を抱えていて、ピアノと管楽器を中心に、生産が追い付かない状況が当面続きそうです。インドネシアは、ピアノやギターが軟調で、今後、市況の戻りに合わせて生産を調整していきます。インドの工場は、インド市場に加え、それ以外の新興国も好調で、増産体制をとっています。


Q8:事業利益増減要因の増収・増産、モデルミックス、価格適正化について、前期との比較、前回予想との比較で、それぞれどの要素の影響が大きかったのか教えてください。

前年との比較では価格適正化、前回予想との比較では減収が大きな要素です。


Q9:海上運賃が低下しているようですが、今後の見方を教えてください。

海上運賃は、コロナ前に約35億円程度でしたが、前期に約100億円になり、今期は110億円程度とみています。現在、来期に向けて交渉中で、来期は相当額下がるとみています。


Q10:事業利益700億円という中計の目標値を、現時点ではどのように捉えていますか。

海上運賃の高騰や、半導体調達難など、ここ2-3年で起きたマイナス要因が解消していく要素もあり、中計で掲げた利益目標について、現時点で修正が必要という見方はしていません。


Q11:中計で、電子楽器とギターの成長を掲げましたが、改めてこの目線に変更ないでしょうか。

電子楽器とギターが、中長期の成長ドライバーになるという見方に変わりはありません。インド、ASEAN、中南米などの新興国で、電子楽器の需要が拡大し、中国でも、欧米や日本と同様、いずれアコースティックピアノから電子楽器への移行が起こる可能性があるとみています。ギターは、楽器の中で市場規模が最も大きく、需要も伸びていますが、我々のシェアは10%程度で、成長余地が大きいと考えています。


Q12:米国コルドバ社の買収発表がありましたが、このM&Aの狙いを教えてください。

「コルドバ」はクラシックギターやウクレレが中心で、「ギルド」ブランド含め、非常に特徴のあるギターメーカーです。買収の目的は3つあり、1つは商品ポートフォリオ、顧客カバレッジを拡大すること。2つ目は同社の知見、設計思想や製法を活用し、ヤマハギターとの相乗効果によりギタービジネスを加速すること。3つ目に、高い技術を持つアメリカの工場を活用することです。Made in U.S.A.により、ヤマハ、LINE 6などのブランドと合わせて事業を拡大していきます。利益率も高く、収益貢献も比較的早く出てくると考えています。