2023年3月期第2四半期 決算説明会 質疑応答

Q1:需要の動向について教えてください。

中国では、ロックダウン影響の回復に時間がかかっています。エントリーモデルの軟調は、欧州から始まり、北米、日本でも同様の傾向がみられます。しかし全ての市場で、中高級品の需要堅調が続いていて、特にアメリカでは管楽器の需要が旺盛です。またPA機器は、ライブ等で設備投資が回復しています。部品・装置その他の事業は、上期に電子デバイスが若干苦戦しましたが、下期はアミューズメントや車載関連の部品が好調に推移するとみています。ゴルフも、韓国の需要が非常に強く、前年に対して大幅なプラスを想定しています。


Q2:中国のロックダウンによる売上影響は、どの程度の金額を見込んでいるのでしょうか?

もともと通期で50億円ほどとみていた影響額を、90億円程度に拡大しました。主にアコースティックピアノの見通しを下げました。


Q3:中国は、ロックダウンに加え、景気減速や不動産市況の悪化など、マクロ要因で需要が弱いのでは?

ロックダウンによってお客様が販売店に足を運べない状況で、それによる販売減が大きいとみています。EC販売比率が高いギターは成長が続いていて、楽器に対するニーズは衰えておらず、今のところマクロ経済の影響で大幅に需要が鈍化しているとは見ていません。


Q4:北米の管楽器は、教育機関向け財政支援もあり好調ですが、その継続性はいかがでしょうか。また管楽器以外のアコースティック楽器の動きも教えてください。

アメリカの財政支援は、コロナで滞った学校教育を正常化させる2年にわたるプログラムで、景気が悪化したら抑制されるという性格のものではないと理解しています。また、ピアノは、依然引き合いが強く、注残も多くあります。ギターも、中高級品の需要が高く、アメリカの楽器市場は、管楽器以外も順調に推移していくとみています。


Q5:日本の楽器販売が弱い印象ですが、下期に持ち直すにはどんな施策が必要でしょうか。

上期はコロナの再拡大で来店客が減っていましたが、直近は徐々に回復が見られます。年末商戦に向けてイベント等、様々な施策を打ち、消費喚起を図りたいと考えています。


Q6: ICT機器が海外で伸び始めたようですが、海外販売比率はどれくらいでしょうか。また売れ始めた要因を教えてください。

ICT機器のうち、ネットワーク機器の売上は日本中心ですが、会議システム(UC)においては海外比率が5割程度に伸びています。企業の会議室にインストールする商品が、特にアメリカで大きく成長してきました。需要が拡大している中で他社の供給が滞っていることも要因と捉えています。


Q7:9月末の受注残の金額と、受注残が多い品目を教えてください。

通常の受注残に追加で積み上がっている受注残は、9月末で約370億円でした。6月末から50億円ほど減っています。最も多いのはピアノで、電子部品を要するハイブリッドピアノの引き合いも非常に強く、需要を満たせていません。管楽器、デジタルピアノも中高級品を中心に注残があり、それ以外もほぼ全てのカテゴリーで受注残が残っています。


Q8:上期のコストアップと価格適正化の状況はいかがでしょうか?また、足元で海上運賃や、一部の部品価格も下がっているようですが、コストダウンはいつ頃になりそうでしょうか?

コストアップに見合う価格適正化を進めています。海上運賃は沈静化がみられますが、長期契約により直ぐにはコストダウンは見込めません。部材価格は高止まりしていて、コストダウンにはもう少し時間がかかると想定しています。今期は現状の見立てで、来期については今後の推移を見ながら計画していきたいと考えております。


Q9:半導体調達難について、3ヶ月前と比較して変化があれば教えてください。

楽器は改善が進んでいます。音響機器でも、半導体のスポット品手配が進んでおり、PA機器でデジタルミキサーの販売を若干改善できそうです。ただし、トータル20億円程度の改善で、今期いっぱい影響が続く見通しに変わりはありません。


Q10:7-9月期に大きく在庫が増えた背景を教えてください。

当社の事業構造として、毎年7-9月は年末需要に備えるため在庫が増えます。加えて、原材料を戦略的に保有するという要素もありますが、半導体調達難に伴う他の部品の生産未投入分で、仕掛・部品材料が増えています。また、物流は改善傾向にありますが、まだ輸送リードタイムが通常より長くかかるルートもあり、輸送途上のイン・トランジット在庫が増えています。


Q11:在庫増について、為替の影響とそれ以外の要素について教えてください。

上期末の棚卸資産1,565億円は、昨年9月末との比較で530億円ほど増えていますが、内訳は為替で約200億円、仕掛・部品材料等、工場の在庫で約130億円、イン・トランジット在庫で約100億円、販売現法のオン・ハンド在庫で約100億円です。


Q12:円安基調が定着してきている中で、生産地の戦略に変化があれば教えてください。

当社の事業は海外販売比率が高く、輸入はそれほど大きくないので、直近の傾向だけで早急に生産地を変えるような判断は必要ないと考えております。


Q13:今期の設備投資について、どんなところを中心に投資するのか教えてください。

中国工場やインドネシア新工場の能力増強などに加え、日本の本社と横浜のオフィスビル建設を予定しております。