2020年3月期 決算説明会 質疑応答

Q1:新型コロナの影響は地域別、事業別に足元どのような状況でしょうか。

足元4月の売上は全社で前年比7割程度です。5月、第1四半期売上共に同程度に推移、その後徐々に回復してゆくものとみています。地域別では、前期第4四半期に中国、日本での影響が大きくマイナス幅も大きかったですが、次第に回復してきています。3月中旬から影響受けた欧米は足元回復してきています。新興国は今後本格的に影響が出始めると考えています。商品別では、デジタルピアノ中心に値頃感のある普及価格帯の電子楽器が好調、ギターも足元前年並み販売が維持できており、Eコマースが寄与しています。また、自宅で楽しめる音楽制作ソフトや商品、AV機器のサウンドバーの需要が伸びています。


Q2:今期の通期予想を出さなかった背景と理由を教えてください。

新型コロナ影響による需要予測が難しいことに加え、コスト削減、投資案件について再考中のため、精査に少し時間がかかっています。


Q3:ポストコロナ後新規ビジネスとして期待の持てるものは何か出てきていますか。

SYNCROOMに代表されるようにヤマハは固有のユニークな技術を多々有しており、それらを駆使し新しいプラットフォームのようなものができないかとプロジェクトを加速させています。ポストコロナの新しい世界になった時、新しい事業展開を加速できるよう、今はお客様に使っていただいたり、実証実験を行い、一気に展開できるようギアを入れ替えています。


Q4:生産、在庫の今後の見通しについて商品別に教えてください。

第4四半期に減産するもコロナ影響による売上減で期末在庫は若干増加しています。また、売上が不透明なため、売れ筋を見極めて生産する方針です。ステイホームにより需要が旺盛な製品、具体的にはEコマース向けの電子楽器、ギター、音楽制作関連商品、会議システム等は着実に需要が見込めるため、先行して見込み生産を行います。
全般的には、生産遅れより需要状況に焦点が移っており、工場稼働と在庫には細心の注意を払いながらコントロールを行います。工場稼働という点では、ラマダン明け休暇後のインドネシア工場の稼働をいかにスムーズに戻すかが、一つのポイントになります。


Q5:中国の足元の売上状況や回復見込みについて商品別に教えてください。

中国は2月が最も厳しくボトム、3月から4月は徐々に回復してきており、足元では約7割程度の回復となっています。今期前半は調整が続く可能性はありますが、その後は回復基調に戻ってくるとみています。売上比重の大きなピアノは、前期第4四半期は5割まで落ち込んだものの、徐々に回復してきています。Eコマース向け電子楽器、ギターの販売は堅調に推移しています。


Q6:ギターがグローバルに好調ですが総括してご説明をお願いします。

ギター販売は、全地域で前年を上回りました。特にヤマハブランドのギターは二桁成長と好調です。地域別では特に日本は前年比+20%以上が継続しており、欧州も二桁の高い成長です。ここ数年取り組んできた商品戦略に加え、デジタルマーケティングやEコマースへの取組みが奏功しています。


Q7:前期からの管楽器販売網見直しの進捗について状況はいかがでしょうか。

前期で販売網見直しの大部分は完了しました。前期第4四半期のコロナ影響により店舗が閉まっていたこともあり、見直し効果は現在難しいですが、今後出てくるものと期待しています。


Q8:楽器・音響等の音楽関連ビジネスは、足元コロナ影響でプロ市場、アマチュア市場、それぞれどのような影響が出ているのでしょうか。

個人需要とプロ需要ではコロナによる影響の出方が異なります。個人需要であるホームオーディオは、ステイホームで需要旺盛な製品もありプラスとマイナスがありますが、プロ需要はライブ、バンド、コンサート、設備納入と主な市場領域でマイナス影響が出ています。今後の進捗見通しはコロナ感染の収束状況に連動します。一方で、プロ需要でも業務用ユースとしてSYNCROOMの問合せが多く来ており、音楽の伝え方、在り方を変えてゆくかもしれないと積極的に対応しています。


Q9:レシーバーの市場変化とAV機器の売上の見通しについて教えてください。

現行中期経営計画でレシーバーの市場縮退は織り込んでおり、コネクテッドオーディオ、サウンドバー、ヘッドフォン・イヤホンを伸ばし、計画通りポートフォリオの転換を進めています。サウンドバーはステイホームによる需要増、独自技術を搭載したワイヤレスイヤホンは日本での先行導入で高評価をいただき今後の手応えを十分に感じています。


Q10:コロナ影響でEコマース販売比率が商品別・地域別に変化してきていると思われますがその変化について教えてください。

中国が最もEコマースの比率が高く、平時では電子楽器、ギター、AV機器で約4割です。コロナ状況下ではEコマース比率はかなり高まっています。その他の地域でも、中国の比率に近づきつつあると認識しています。米国ではEコマース大手取引先でコロナ影響により、必需品を優先する動きで3月はEコマースも不調でしたが、足元の比率は高くなってきています。


Q11:コロナ影響下、労務費上昇の見通しについて教えてください。

中国、インドネシアの労務費上昇は、ここ数年一定の水準で上昇を続けてきました。今期も労務費上昇はある一定の想定をしているものの、生産調整もあり金額影響は、例年のレベルには及ばないと想定しています。


Q12:その他費用の今期の発生見込み状況について教えてください。

事業利益と営業利益の間にある日本基準の特別損失にあたる、その他費用には、前期、固定資産の減損33億円と操業停止損14億円を計上しました。今期は、減損に関しては現時点では不明ですが、操業停止損は今期も各国工場、国内店舗教室が一定期間停止していますので、同じようなレベルで発生する可能性はあります。