2013年3月期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 今期、償却費と研究開発費で固定費が31億円増える計画ですが、この増加分はスライド17利益増減分析グラフのどの部分に含まれていますか?

A1 : 償却費と研究開発費の増加については「実質増収増産」に含めています。


Q2 : 売上高の対前期増加「実質増売」127億円に対して、利益増加は「実質増収増産」がグロスでは60億円くらいあるということでしょうか?

A2 : 「実質増収増産」の31億円にはマイナス要素としての償却費、研究開発費の増加の他にプラス要素としての年金費用の減少なども含めており、単純に60億円の利益増加ということではありません。


Q3 : 「実質販管費増」の▲30億円は具体的にはどういうものでしょうか?

A3 : 基本的に販売促進のための費用が中心となります。
中期計画で発表した販売体制強化(3年間で300人増)等に伴う成長投資費用が中心ですが、同時に売り上げ増に伴う変動費の増加なども見込んでいます。


Q4 : この費用は中期計画で定めた水準から変化しないと考えてよいでしょうか?

A4 : 成長を実現するために、基本的には中期計画で定めた水準で執行するつもりです。しかし、状況が大きく変われば対応を検討することになる場合もあります。


Q5 : (スライド32, 34)楽器事業の利益がQ2・Q3に集中していること、半導体事業の利益が全四半期ゼロという計画の考え方を教えてください。

A5 : 楽器の利益は、前期のQ1と比べ今期のQ1は下がっています。前期のQ1は生産高が多かったことによる利益創出がありましたが、今期のQ1は、一部管楽器の生産調整が残ることもあり、その生産レベルの差を利益水準に反映しています。 Q2、Q3で利益が多いのは当社の季節性に基づくものです。年末の需要期に向けて生産及び販売活動が拡大していきますので、こうした利益の出方になります。
今期は、過去2期のように、生産に大きな想定外の変動がない正常な状態で生産・販売が行われるということを前提にしております。

半導体の四半期毎の利益は、実際にはゼロではなく、数千万円程度の営業損益がありますが、四捨五入でゼロになったということです。とにかく黒字化を目指す前提の計画であり、顧客への販売のタイミングにより四半期毎に多少ズレが生じる可能性はあります。


Q6 : 半導体は売上高が仮に横ばいでも損益はゼロ近くで着地できるような事業構造になったのでしょうか?
売り上げ変動時の影響はどの程度見たら良いのでしょうか?

A6 : 黒字化の要因として、構造改革効果+11億円を見込んでおり、その他は増売による増益を見込んでいます。
そのため売上高が横ばいでは黒字化は難しいと思います。但し、その場合であっても生産の外部委託化による粗利改善や、要員調整などにより固定費が下がっているため、これまでのような大きな赤字にはならないと考えています。


Q7 : 次期社長に中田さんを選んだ理由と、中田さんの中期計画への関与についてお聞きかせください。

A7 : 中田については、能力、知見に優れており、ヤマハという会社及び仕事に対して誠実であることが最大の理由です。彼は、商品企画、営業、研究開発、事業部長など幅広い職種を経験しており、メーカーの本分である「物づくり」に知見があります。これからますます競争や変化が激しくなるメーカーの経営を舵取りする人物として最適であると判断しました。
中期計画については、策定の初期段階から上席執行役員に参画をしてもらいました。そのため、現経営陣と中田の間で、中期計画に対する認識にズレはありませんし、彼もこの計画達成にコミットしているとご理解いただいて結構です。


Q8 : 前期は円高局面で価格転嫁しましたが、今期は値下げの対応があるのでしょうか?

A8 : 市場・商品毎に状況が違いますが、これまでも為替変動をダイレクトに市場価格に反映させるようなことはあまりしていません。海外生産比率の高い電子楽器などは円対ユーロというよりも、むしろドル対ユーロの為替状況により対応をしています。

また、特に電子楽器は、単純に販売価格の値下げをした場合、流通在庫や新商品との価格整合が問題となるため、慎重に対応する必要があります。とはいえ、特に欧州は市場の状況が厳しいため、一部の商品で価格調整するものもあるかもしれませんが、基本的には、販売店への支援を含めたセルアウトのバックアップを中心とした対応をしていきます。


Q9 : 在庫は正常レベルに下がったのでしょうか?デジタルピアノの生産はQ1では正常化しているのでしょうか?

A9 : 在庫については、基本的にデジタルピアノを中心とした電子楽器が、適正な範囲内まで下がったと認識しています。ただし、為替影響があるものの、前期末の820億円という水準は適正値をまだ10~20億円ほど上回る規模だと認識しています。その主な要因が管楽器であり、Q1を中心に生産調整を継続して実施する予定です。


Q10 : 営業利益は上期に多いようですが、Q1とQ2の利益の出方はどうなるのでしょうか?

A10 : 主力の楽器事業の季節性からは、上期に利益が多いということになりますが、今期の楽器はQ1での一部生産調整等を考慮した計画としているので、期を通じては、上下期で比較的平均した利益レベルになっています。


Q11 : (スライド17)営業利益増減の考え方について、前期実績の経費削減は緊急避難的な対応がどの程度あったのでしょうか?
今期の経費発生への影響はどの程度あるのでしょうか?

A11 : 前期▲15億円の経費削減のうち、一部は緊急避難的なものも含まれています。ただ、殆どは通常のオペレーションを変更することなく、経費削減を進めることができたと考えています。前期に経費削減したものが、今期に全て後ろ倒しで発生する訳ではありません。


Q12 : アコースティック楽器は利益が出にくい構造になっていますが、商品別の利益は構造改革でどう変わっていくのでしょうか?

A12 : ピアノ事業は、これまで黒字化に取り組んできており、前期は売上高営業利益率1%の利益を出すことが出来ました。今期は改善効果を含め4%の利益を見込んでいます。
また管楽器は前期実績2%に対して今期3%の利益率を見込んでいます。管楽器の構造改革は工程の海外移管に時間が掛かっていることもありますが、アコースティック楽器全体として、中計期間中に更に高い水準をめざして行きます。


Q13 : 配当は15年3月期、16年3月期で、EPSが上がると配当性向30%の基準で増える方向と考えてよいでしょうか?

A13 : 基本的には利益が計画通り増えれば連結配当性向30%以上を目指すと申し上げており、そういう意味では株主還元を増大することになると思います。状況を見ながら判断していきます。


Q14 : 為替前提が現状と乖離していますが、その前提の考え方と感応度及び予約の状況を教えてください。

A14 : 現在の水準と比べると乖離していますが、これは、中期計画の為替前提と合わせていることが理由の一つです。
また、当社はドルに比べユーロの感応度が高い損益の構造となっていますが、欧州市場はまだ不安定であると認識しており、前中期計画のレビューを踏まえ慎重に見ていきたいと考えたこともあります。
当社はユーロ、豪ドル、カナダドルの為替予約を行っていますが、例えばQ1のユーロは120円程のレベルで予約が取れています。この為替のレベルが続く場合、期の途中で為替前提を見直す可能性がありますが、現時点ではドル : 85円、ユーロ : 115円で進めていきます。
為替感応度は、営業利益ベースで1円の変化につき、ドル : 6千万円、ユーロ : 3.8億円の影響があります。


Q15 : (スライド10)PA機器のセグメントの入れ替えで売上、利益の入り繰りがあれば教えてください。

A15 : PA機器の売上高319億円に国内子会社が扱う設備音響機器の設置に関する売上高は含まれていません。前期の実績でのセグメント間の移動の売上高は、そうした売上を含めた額372億円となります。
利益は約17億円が音響機器に移動することになります。