2012年3月期 第2四半期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 楽器事業の四半期別売上高/営業利益が、3Q、4Qでプラスに転じる根拠を教えてください。

A1 : 震災影響からの回復による売上増を見込んでいるためです。


Q2 : 楽器事業が従来と異なり4Q利益を確保できる理由をお聞かせください。

A2 : 従来、4Qは発生遅れの経費がでたり、需要期でないことから売上・生産高が減る時期ですが、今期は震災影響からのリカバリーによる増産を計画していることと、経費抑制も継続していくことなどから4Qでの黒字を計画しています。


Q3 : 2Q累計でピアノ事業は堅調だったようですが損益の状況について教えてください。また中国等地域別の損益についても教えてください。

A3 : 2Q累計でピアノの商品別の営業利益率は2%で黒字を確保しました。1Qは+0億円であったので、引き続き改善傾向にあると考えています。
今後、通期で損益ゼロにするには、まだハードルがあります。インドネシア等海外工場の人員増による人件費負担増や材料費アップの懸念もあり、今期の赤字脱却までは断言できない状況です。
新興国は順調で、2Q累計の売上高営業利益率においても、中国・その他地域は欧米日などの市場に比べ利益率は高い水準にあります。


Q4 : AV・IT事業の2Q累計での営業利益上振れの要因を教えてください。また3Q以降の利益は減速傾向なのでしょうか?

A4 : 2Q累計で減収増益だったのは経費減による効果が大きい要因でした。しかしながら、下期は、カラオケ機器の対前年同期での減益や4Qでのオーディオ新製品の発売に向けた従来モデルのディスカウント販売などの要素もあり10ポイント近い利益率減を想定している為、上期ほどの利益は想定出来ないと考えています。


Q5 : 上期の震災影響額について教えてください。

A5 : 売上高で楽器▲75億円、全体▲101億円の影響、利益は▲39億、生産高は▲64億円の影響がありました。
下期は売上高で6億円、利益で4億円、生産高は24億円の挽回を想定しています。


Q6 : タイの洪水の影響としてどのようなリスクを想定しているのでしょうか?

A6 : 主に半導体やコンデンサーなどの電子部品の調達に影響が想定されます。AV製品への影響が特に懸念されるとともに、PA機器、ゴルフ用品、ハイブリッドピアノなど、広い範囲に影響が出る可能性もあります。
但し、震災の場合と異なり、調達できない部品は汎用品が中心なので、代替部品の調達などでいかに影響を減らせるかを検討しているところです。


Q7 : 円高に対する施策についてお聞かせください。

A7 : 急激且つ大幅な円高水準であり、値上げを検討せざるを得ない状況と認識しています。すでに今年欧州では8月に管楽器で3%程度、北米は1月に管楽器で3%程度、10月からピアノで3~5%の値上げを実施しています。来年初頭には欧米で再度3%程度の値上げを検討しています。


Q8 : 楽器事業の下期予想を上方修正した要因を教えてください。

A8 : 下期の営業利益は対前回予想で、為替▲8億円、材料費アップ▲3億円、販管費削減▲1億円の減益要因はあるものの、実質増収による+21億円で、計9億円の増益を見込み、55億円から64億円に見直しました。
デジタル楽器の生産が下期に後ろ倒しになっている影響が大きく、通期での実質増収に伴う増益は16億円を見込んでいます。
9月に生産高は増えていますが、売り上げに結びつくのは下期からと想定しています。


Q9 : 下期のピアノは減速、弦・打楽器は回復傾向と見てよいのでしょうか?

A9 : ピアノは中国で順調に2桁成長を継続していますが、欧米、特に北米に先行き不透明感があります。
弦・打楽器は、ギターの塗装問題が解消し、エレクトリックアコースティックギター中級品の供給が進むため、増収を見込んでいます。また普及品の電子ドラムでも、震災とは別の理由でパーツ調達に問題がありましたが、下期は順調に生産が進み、注残を解消できると想定しています。


Q10 : 下期施策の販売網整備や工場統合にかかる費用と効果について教えてください。

A10 : 中国・新興国市場での販売網整備には大きな経費は見込んでいません。鍵盤店、LM店(ギター・ドラムなどの販売を扱う楽器店)の開拓や店舗ディスプレイなどに経費はかかりますが、現地法人の経営計画の中で判断するレベルです。
管楽器の国内工場統合には今期5億円の経費を見込んでおり、投資額としては8億円を計画しています。統合後は、年間4.5億円の損益改善を期待していますが、人員削減などの要素もあり、来期は実質的には2.5億円程度の効果発生に留まるものと考えています。


Q11 : 半導体事業の赤字が定着しつつありますが、今後の事業展開をどう考えているのかお聞かせください。

A11 : 独自の価値を訴求できる商品開発に加え、今後は営業力をより高める必要があると認識しています。特に中国での販売体制を強化するなど、その他新興国市場も含め、当社半導体の優位性を海外市場で訴求していきます。また、従来よりも広い範囲の用途に向けた商品開発もしていきたいと考えています。
鹿児島セミコンの投資は抑制し、生産委託先を活用したファブライトな運営を継続していく予定です。


Q12 : 半導体の4Q売上高予想 75億円に下振れリスクはないのでしょうか?

A12 : 顧客との商談を通じて、アミューズメント市場の回復が見えてきています。家電など外部環境全体の影響もあり得ますが、大きく下振れすることはないと考えています。


Q13 : 欧州でウェブ通販の割合が増えているとのことですが、その影響についてお聞かせください。

A13 : 売上拡大に繋がるというメリットはあり得るものの、価格競争により販売店が疲弊するというリスクもあります。
メーカーとしてユーザーに対して訴求したいことがきちんと伝わるかがポイントだと考えています。
ドイツの優良販売店のようにウェブを有効活用しつつ、商品の価値もきちんと伝えてくれているケースもあれば、新品も中古品も同等に扱って販売しているようなケースもあり、影響についてはプラスマイナス両面があります。


Q14 : 地磁気センサーの売上目標を教えてください。

A14 : 今期50億円を目指していたが、販売単価の下落等もあり、26億円程度となる見通しで、当社目標を下方修正しました。


Q15 : 中国での今期の楽器売上高 193億円は堅めの数字と理解してよいでしょうか?

A15 : 中国工場の生産能力も考慮した上での、対前期22%増見通しであり、妥当な数字と考えています。


Q16 : 海外調達率はどの程度でしょうか?

A16 : 商品毎に異なる為、海外調達率という形では具体的な数値をお答え出来ませんが、海外生産比率は、楽器で53.6%、全体で48.9%の水準です。アコースティック楽器については、中期経営計画でもお知らせしているように、国内工場においては海外のヤマハ工場からの部品導入を積極的に進めるとともに、海外工場でも現地調達比率を拡大していく方向であり、収益改善の施策の一つと考えています。


Q17 : B/Sを見てもM&Aの好機と思えますが、M&Aについてお聞かせください。

A17 : 市場規模に比べて当社のプレゼンスが確保できていない商品領域、例えば、PA機器、エレキギター、ギターアンプなどで検討は継続して行っています。売上拡大に加え、事業全体のポジション強化のためにも議論を続けていく方針です。


Q18 : ROEが改善されてきていますが、将来的イメージをお聞かせください。

A18 : 3年後・5年後という区切りでの会社としての具体的目標設定はしていませんが、当面のターゲットとして6~7%、いずれは2桁を目指したいと考えています。できるだけ早急な改善に向けて、資本政策も含めた大きなテーマとして取り組んでいきます。