2010年11月26日 楽器事業説明会 質疑応答

Q1 : ピアノ事業の損益改善のためには、掛川工場の稼働率維持を最大のテーマと考えますが、国内での販売が減少する中で、どのように掛川工場の生産規模を維持するのか、具体的にお聞かせください。

A1 : 掛川工場では、国内向けのみならず、海外向けピアノも生産しています。
漸減傾向にある国内ピアノ市場を活性化するため、今回、小売価格で約40万円のインドネシア製ピアノを発売しましたが、更に今後、掛川工場では従来の日本製ピアノに比べ、2割程度コストダウンした日本製のアフォーダブルピアノの生産を計画し、販売価格も下げることにより、国内外での商品競争力を高めていきます。
中期的には、この商品で掛川工場総生産台数の50%強を見込み、最低20,000台の生産を維持していきます。


Q2 : 同様に2011年3月期の楽器事業の営業利益計画について、2010年3月期との比較で、増減益を要因ごとに教えてください。

A2 : 先般のショパンコンクールでも評価の高かったCFXをはじめとするヤマハの最高級ピアノは掛川工場でしか作れず、そのために、掛川工場の操業を維持することは、極めて重要だと考えています。
インドネシア、中国工場での製品品質も向上してきていて、部材については掛川工場に比べ、遜色のないものができてきています。
アフォーダブルピアノの開発にあたっては、海外のコストダウン部材を使用しながら、従来の日本製ピアノの品質を維持し、従来に比べ販売価格も抑えた商品がお客様に提供できると考えています。


Q3 : 3年後に、連結営業利益がゼロとなった時の、掛川工場の損益を教えてください。

A3 : 掛川工場単体では、まだ赤字が残る状況です。


Q4 : 管楽器の豊岡工場は、リーマンショック以後、プレミアム市場が冷え込む中で、どのように操業を維持するのですか?

A4 : 確かに、高級管楽器の販売は減っています。そのため、国内の生産工場を一元化することにし、埼玉工場で作っていた製品を豊岡工場に移管していきます。また、豊岡工場で生産していた普及品をインドネシアや中国へシフトし、コストダウンを図ることにより、事業収益の改善を進めます。
一連の生産移管で、豊岡工場の生産数は2007年3月期に比べれば大きく減少することになります。
なお、P27の2010年3月期の国内工場の生産が大きく落ち込んでいますが、在庫調整のための大幅な減産を実施したことによります。


Q5 : 海外の部材を使用することによる品質面の問題は無いのでしょうか?

A5 : 既に、インドネシア製ピアノを欧州に輸出したり、中国製ピアノを北米に輸出してきた実績があり、海外製の部材の品質についてはアップライト及び低価格帯グランドピアノについては、問題が無いと考えています。


Q6 : アフォーダブルピアノとインドネシア製ピアノのbシリーズの違いを教えてください。

A6 : bシリーズはメイド・イン・インドネシア。アフォーダブルピアノは、海外製部材を使用しますが、メイド・イン・ジャパンの製品です。まだ売価は決定していませんが、従来の日本製ピアノとbシリーズの間の価格帯を考えています。
日本市場では、アフォーダブルピアノ発売後も、最廉価商品として、bシリーズを残していきます。


Q7 : 新興国市場での商品や販路の話を伺いましたが、拡販の仕掛けとなるプロモーション、施策について、もう少し詳しく教えてください。

A7 : 新興国市場での拡販に当たっては、以前より様々な取り組みを行っています。
インドネシアでは、約30年前から、小学校中心にリコーダーの普及活動を進めていて、成果が出てきています。
また、アジアパシフィック地域の若者の音楽人口拡大のために、Asian Beatというロックフェスティバルを毎年実施していて、こうした活動を今後も強化していきたい考えています。
今後成長の期待できるインドなどでも、楽器演奏人口拡大のためのプロモーションを展開していきます。


Q8 : 中国の管楽器の売り上げにやや物足りなさを感じますが、状況をお聞かせください。

A8 : 中国では、小中学校では楽器を習うものの、大学受験を控えた高校生になると楽器を止めてしまうという傾向があります。
そのため、大学生、社会人に対して、もう一度楽器を始めてもらえるような施策を検討していきたいと考えています。また、アメリカでのマーチングのような需要が見込めないのも、売り上げが伸びにくい要因と考えています。


Q9 : P27の管楽器の生産数量の計画は生産能力の推移か、それとも販売の推移でしょうか?

A9 : 販売予想に基づいた生産数量の計画です。


Q10 : 管楽器の販売、損益が厳しくなっているのは、地域毎に要因があると思いますが、どのように、売り上げを回復させられるのでしょうか?

A10 : 欧州では、高級品の需要が減少し、中国メーカーのOEMモデルが市場進出し、地域によってはヤマハのシェアダウンに繋がっています。
北米での減少は、リーマンショック後の教育予算の削減が大きな要因。足元では少し緩和し始めており、今後の回復に期待したいと考えます。
中国は、今期は2万本弱の販売計画。中国メーカーを中心とする売れ筋価格帯に入るには、現在より3割程度のコストダウンが必要となり、中国メーカーに勝てるコスト競争力つけることがテーマとなります。
全世界での販売本数は前期は31万本、今期は33.5万本の見込みです。日本は前期比若干のマイナスとなりますが、北米は9.7万本を11万本に大幅アップ、欧州は8.1万本を9万本に、アジア・パシフィックは6.1万本を6.5万本にする計画で、日本を除いては販売拡大を見込んでいます。
2013/3期には、中国で3.7万本、アジア・パシフィックで7.6万本を計画しています。また、中国メーカーに対抗できるローコストモデルの投入が2013/3期より期待でき、北米は12万本、欧州は10万本を計画しています。


Q11 : コストダウンをすることにより、低価格品を販売し、中国メーカーに奪われた欧州でのシェアを巻き返すということでしょうか?

A11 : その通りです。シェア奪還という点では、欧州が一番のポイントになります。


Q12 : 中期計画では、毎回、ギター・ドラムを伸ばす計画となっていますが、非連続な成長を達成するための手段として、同業他社をベンチマークするとか、M&Aのシナリオ検討などは考えていますか?

A12 : ギターの今期の販売見通しは、85万本で、その中で、アコースティックギターの評価が高まっており、生産能力が追いついていない状況となっています。そのため、インドネシア工場、中国工場では、増産投資をしながら生産能力を高めていますが、一部工場では2直生産も検討しています。
M&Aについては、事業領域を強化する目的で今後も継続的に進めることに変わりはありませんが、現時点では具体的に検討している計画はありません。
また、ギターの世界ではブランド認知度を考慮して検討する必要があります。例えば他社のブランドを買っても、ギターの世界で、ヤマハブランドの認知度が今ひとつという状況では、連結することによる利益貢献はあっても、シナジー効果は期待できません。
M&Aで革新的な技術を買うということも他事業に比べると想定しにくい。


Q13 : ギター・ドラムの収益性は?専業メーカーも含めて儲かる状況にないのでしょうか?

A13 : アコースティックドラム市場は縮小していて、利益の確保は容易では無い。
また、ギター事業に関しても、他社も安定的に2桁の利益を出せる状況にはないと考えています。