2010年3月期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 2010年3月期の楽器事業の営業利益について、前期との増減益を要因ごとに教えてください。

A1 : 楽器の営業利益は、前期の192億円から51億円へ141億円減少しました。
2010年3月期では、為替損104億円、退職給付債務の利差損22億円、減収減産による利益減194億円で、合わせて320億円の減益となりました。
これに対し、材料費のコストダウン13億円、新規連結による増益2億円、前期に実施しました構造改革による利益改善14億円、値上げ効果73億円、販売管理費の減少77億円により利益の改善を図りましたが、減益幅を埋め切れず、このような大幅な減益となりました。


Q2 : 同様に2011年3月期の楽器事業の営業利益計画について、2010年3月期との比較で、増減益を要因ごとに教えてください。

A2 : 2011年3月期の楽器の営業利益は、2010年3月期の51億円から65億円へ14億円の増益計画としています。
円高による為替損10億円、材料価額の上昇13億円、海外輸送費の上昇12億円で、計35億円の減益影響が見込まれますが、これに対し、退職給付債務の利差益7億円、国内ピアノ工場統合効果4億円、増収増産による利益増18億円、販売管理費の削減20億円と合計49億円の増益を見込み、増益計画としています。


Q3 : 2010年3月期の売り上げ減少は、景気要因が主な要因でしょうか?それとも、一部には、73億円の値上げ実施による販売数量の減少といった影響もあるのでしょうか?
また、2011年3月期ではどう考えたらいいのでしょうか?

A3 : 2010年3月期の売り上げ減少の主要因は景気要因と考えています。
欧州で、競合との関係から、一部品番について、値上げ後の価格の再調整をしましたが、全体的には、値上げによる数量の減少は最小限に留めることができたと考えています。
2011年3月期では、中国等新興市場では、引き続き増収を見込んでおり、欧・米・日本の先進国市場は、一昨年レベルの販売までは戻らないものの、アメリカ市場を中心に景気回復の兆しも見え始めていて、増収計画としました。


Q4 : 2011年3月期で、電子部品が増収増益となっています。営業利益の改善は、増収による増益なのか、それとも、経費削減による増益なのかを教えてください。

A4 : 2011年3月期の売上高は、携帯電話用音源LSIは引き続き減少する見込みですが、その他の半導体は増収を見込んでいます。
コーデック、デジタルアンプ、 地磁気センサーなどで増収を見込んでいるほか、アミューズメント、車載用画像LSIで大幅な増収計画としています。
営業利益の改善は固定費を削減するというよりは、ヤマハならではの付加価値のとれる商品、顧客のニーズに沿った商品を開発することにより、売上粗利を改善し、増益を目指します。


Q5 : 決算短信の所在地別セグメント情報ですが、リビング事業の譲渡およびマグネシウム部品事業の撤退で、今後、日本の総資産はどの程度減るのでしょうか?
また、アジア、中国への生産シフトなどで、その他の地域の総資産の状況についても教えてください。

A5 : リビング事業を営む子会社株式の過半を譲渡したことより、既に2010年3月期で、総資産が168億円減額されています。一方、マグネシウム部品事業の撤退による総資産への影響は軽微です。今後、生産の海外移管などで、日本の資産は減少することになります。
そうした中で、一層の業務の効率化を進めて、日本でのROAを高めていきます。
また、アジアでは、生産移管のための設備投資などで、総資産額は増加しますが、アジアで生産した商品をアジアおよび全世界へ供給し、利益の拡大を図り、アジア地域でのROAの上昇にも努めていきます。


Q6 : P16の2011年3月期の営業利益増減要因にある海外物流費アップとは、どのようなコストで2011年3月期初から発生するコストなのでしょうか?

A6 : コンテナ船で、海外の販売会社に商品を送っているのですが、この費用について、年1回、船会社と価格交渉を行っています。この価格は原油価格も関係しますが、主に貨物の需給の関係で決定されるのです。2010年3月期では需要が落ち込み、相対的に安かったのですが、2011年3月期では原油価格の上昇と需要の急回復により、価格の上昇を招いています。
なお、値上げは年度初めからとなります。


Q7 : 国内ピアノ工場の統合時期は、当初の予定通りですか?移転後の浜松工場の跡地の利用計画についても教えてください。
また、管楽器工場一元化のスケジュールについても教えてください。

A7 : ピアノ工場については2010年8月での統合完了の予定に変更はありません。また、跡地の利用については現時点では未定です。
このピアノ工場の統合では年間8億円の合理化効果を見込んでいますが、2011年3月期は期の途中のため、半年分の4億円の効果を見込んでいます。
管楽器は、埼玉工場を閉鎖し、3年後に豊岡工場へ統合、一元化する予定です。そのために豊岡工場の部品生産工程を海外へシフトし、その後に埼玉工場の工程を移す計画としていますが、これらの移転作業をできるだけ早めることにより、統合前倒しを図っていきたいと考えています。また、併せて海外での材料調達拡大を進めています。
なお、管楽器での合理化効果は2012年3月期以後徐々に出てくるものと見ています。