2008年3月期 第3四半期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 楽器の第4四半期の営業利益予想を前回より下げている背景を教えてください。

A1 : 2つの理由から、第4四半期の営業利益を下げています。
年末の楽器販売が、アメリカ市場、日本市場ともに苦戦しました。そのため、年末で少し重くなった在庫対策のために、特別販売を実施することにより、4~5億円程度の減益要因となること、及び、市場を活性化させるため、販売促進費を前回の見込みに対し、10億円程度増加させることによります。


Q2 : 楽器を中心に、来期の市場動向をどう見ていますか?

A2 : アメリカ、日本市場では、全体的に厳しさが継続するものと見ています。
アメリカ市場は、ピアノ販売が住宅着工の煽りで厳しさを増している上に、サブプライムローン等の影響も12月あたりから広がってきていて、もうしばらくはこの状況が続くと見ています。
市場は二極化の様相で、特に低価格帯の商品が厳しさを増している一方、中高級品はまずまずの状況を維持しています。デジタルピアノを中心に、マーケットシェアの拡大を目指します。
日本市場は10月までは概ね順調でしたが、11月以降スローダウンしています。1月も同様の状況が継続し、今年前半までは、この傾向は続くと見ています。
一方、欧州市場は若干スローダウン懸念もありますが概ね順調に推移しています。
また、アジアその他市場もしばらくは好調が継続するものと見ています。


Q3 : 為替が1円変動した場合の利益への影響を教えてください。また、円高に振れた場合の対応策は?

A3 : 米ドルは輸入と輸出が均衡しており、営業利益では、ほぼ中立となりますが、ユーロは1円あたり約4.3億円の利益影響となります。
従って、現在の為替レートが継続すれば、来期については、減益要因となります。
そのために、付加価値の高い商品の拡販とコストダウンを実施することにより、今後も増益基調を維持したいと考えています。


Q4 : アメリカ市場が減速してきているとのことですが、現地通貨ベースで見た直近の状況を教えてください。

A4 : 楽器は、12月で、前年同期比92%、AV機器はほぼ前年同期並みの売上となっています。
楽器は、ピアノが住宅着工の影響を受けたことや、量販店でのポータブル・キーボード販売が苦戦していることによります。
1月は速報ベースで、楽器で対前年同期比約2%の減少、AV機器は約10%減少しています。


Q5 : 12月末現在でのヤマハ発動機のヤマハ株式の保有状況を教えてください。

A5 : 9月末現在で2.9%となっています。その後の保有状況につきましては承知していません。


Q6 : 楽器、AV機器とも、3月までには、在庫調整が終わると見ていいですか?第4四半期の販売はどう見ていますか?また、流通在庫については、どうですか?

A6 : 12月末では、売上減少もあり、想定よりも積み上がった状況となっていますが、現時点で、急激な生産調整は不要と考えています。春需要向けに必要な在庫量を確保しながら、バランスよく生産調整をしていきたいと思っています。
当然のことながら、不動在庫につきましては、3月末までには、一掃します。
第4四半期の販売は、全体としては前回予想並みの水準並みと見ています。北米は若干の減少、欧州では若干の増加、日本は減少、アジア・パシフィック地域は増加を見込んでいます。
流通在庫は、アメリカの楽器店が在庫保有に対し、従来以上に慎重になっています。
また、1月の全米楽器トレードショーの受注も、まずまずであったこともあり、流通在庫はそれほど重くはないと思っています。日本国内の楽器店在庫も適正レベルと思っています。


Q7 : 携帯電話用音源LSIが海外を中心に減少しているとのことですが、今後の見通しは?

A7 : 携帯電話用音源LSIの国内需要は前年並みとみていますが、海外では、韓国メーカーなどでソフト音源化が加速しています。今後もこの傾向に大きな変化はなく、そのため、CODECやデジタルアンプ、アミューズメント用LSI等の拡販を図っていきたいと考えています。


Q8 : シリコンマイクの開発が遅れているとのこですが、その理由を教えてください。

A8 : 最終段階の作り込み、耐久性を主とした信頼性の確認に少し時間を要したことで、出荷が遅れています。
耐久性テストについては既に基準をクリアしており、3月には量産立ち上げを予定しています。


Q9 : 在庫は日本及び米国で増えたということですか?商品ではどうですか?
また、在庫の増加要因は競争要因なのか、それとも需要の減退によるものですか?

A9 : 在庫の増加は、競争要因ではなく、需要予測の読み間違いによるものです。
楽器の販売は、11月までは順調な出荷となっていましたが、12月が期待外れの出荷となったことが、在庫増に繋がっています。
ピアノやポータブルキーボードがアメリカで増加しています。
アメリカのピアノ市況は前年比20%減で、当社はその中では踏みとどまっていると理解しています。
また、ポータブルキーボードは量販店需要が期待を下回ったことによります。
そのほか、楽器とは別に、AV機器も欧米で増加伸び悩み、在庫が重くなっています。


Q10 : 楽器は、来期も増益を目指しているようですが、M&A効果も含めた成長の方向性を教えてください。

A10 : M&A効果による増収効果よりも新商品の市場導入や東欧も含めた新興市場での成長で増収基調を維持していく予定です。


Q11 : 第3四半期の為替影響を除いた楽器売上高は前回予想に比べ11億円減少しているのに、営業利益が実質13億円の増益となっています。この要因を教えてください。

A11 : 利益率の高いデジタルピアノや管楽器中高級品が伸びたことに加え、コスト削減効果、経費削減効果等によります。


Q12 : 楽器セグメントの営業利益を前回の予想から5億円増益修正していますが、第3四半期は、上振れはあるものの、下期全体で考えると、予想通りと考えていいのでしょうか?

A12 : 第4四半期では、12月で積み上がった在庫削減のための費用が発生するとともに、来期に向けて、成長のための費用を戦略的に使います。
従って、全体的には第3四半期の上ぶれ分が第4四半期で相殺されることになります。


Q13 : 楽器事業では、この2年間で、年間80億円程度の利益改善が進んでいますが、コスト削減と現在の成長の継続だけで、来期も収益改善が可能なのでしょうか?
それとも、非連続的な施策を行う必要がありますか?

A13 : 今後も、生産方法の見直し、材料コストダウン、部品共通化等によるコスト削減効果や定年等による人件費の減少等の効果が出てくると考えています。
日本では、ピアノ拠点統合に伴う一時費用が当面、先行的に発生していて、統合効果が出て来るのは、2010年3月期以後となります。
そのほか、欧州での拠点再編に伴う効果や情報システムの統合による効果も今後見込まれます。
従って、当面は、非連続的な施策を行うことなく、収益の改善は可能と考えています。


Q14 : ピアノや弦打楽器の採算改善のための施策を教えてください。

A14 : 中期計画の発表のとおり、ピアノはアコースティックピアノとデジタルピアノを総合的に捉えたトータルピアノ戦略を進め、成長を目指します。
ギターは、エレクトリックアコースティックギターの拡大を目指しています。
そのためのピックアップを含めた音源技術の開発などを進めています。
ドラムは、新しい電子ドラムの開発を進めていて、来期以後成長につながると見ています。
そのほか、アーティストサービスのための拠点整備やコスト削減の施策も同時に進めています。