2007年3月期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 2008年3月期では、北米の楽器売上高が、大幅に増収となる予想となっていますが、現状を教えてください。

A1 : 2007年3月期のアメリカ市場の売上高は、期初の流通在庫が重かったことから、期前半で出荷がスローとなったことに加え、ピアノを中心に市況回復が遅れたことや電子ピアノも市場が低迷し、前期を下回る結果となりました。2008年3月期は、1月の全米楽器トレードショーでの受注がまずまずだったことやそこでの楽器販売店の今年の見通しも総じてポジティブであったこともあり、市況は好転すると見ています。また、足元の2~4月では、売上は回復してきています。


Q2 : 2008年3月期では、自動車用内装部品の減収を中心に、その他事業の売上高が対前期減収予想となっているにもかかわらず、増益を見込んでいるのは、どのような理由によるものですか?

A2 : 2007年3月期では、その他セグメント全体では対前期増収となりましたが、新車の自動車用内装部品の歩留まりが想定以上に悪化し、それが業績の足を引っ張ったことで、目標とした営業利益を達成できませんでした。2008年3月期は、自動車用内装部品の生産が平準化してくることによる売上の減少や、4月までは堅調に推移している携帯電話向けのMg部品も、今後はややスローになる見込みで、その他事業セグメント全体の売上高は減収を予想しています。一方、利益面では、自動車用内装部品を中心とする歩留まり改善.により、対前期増益を見込んでいます。


Q3 : 今回、事業のリストラがありましたが、事業再編についての基本的な考え方を教えてください。

A3 : 事業の存続撤退を判断するに当たっては、2つの判断基準を持っています。今回のリストラもこれに沿って、決定しました。
まず、2期連続して赤字になった場合は、事業存続するか否かをテーブルに載せて、検討します。次に、事業が中核事業かどうか、技術・技能のシナジー効果があるかどうかを検討します。
電子金属事業は、事業開始当時は、ピアノのメタルフレームやヤマハ発動機向けのエンジンのシリンダー製造など手掛け、他事業との技術的シナジーがありましたが、現状では状況が異なってきています。また、今後リードレスに入り、リードフレーム事業が伸び悩む一方、自動車用コネクター市場の伸びが見込まれる中で、その事業に強いDOWA(株)と一緒に事業展開をした方が、今後の事業発展に繋がるということから、今回の決断に至りました。


Q4 : リゾート事業で、6施設の内、2施設を残した理由を教えてください。

A4 : 残した2施設のうち、「つま恋」は、コンサート会場としての機能や音楽施設(レッスン、研修機能)の機能も有していることで、楽器、音楽事業とのシナジーもあり、継続して運営するメリットがあると考えています。また、「葛城ゴルフ倶楽部・北の丸」については高評価を得ている地元の施設であり、継続保有することとしました。


Q5 : 3月末の在庫水準は適正と考えていますか?

A5 : AV商品は、4、5月販売用に、楽器はアメリカ工場の閉鎖に伴う前倒し生産を実施し、若干、在庫が積み上がりましたが、全体的には、ほぼ想定通りの水準となっています。


Q6 : 2008年3月期では、実効税率が高くなっていますが、その理由を教えてください。

A6 : レクリェーション事業の譲渡によりヤマハ単独において税務上の繰越欠損金が発生しますが、繰越欠損金の発生により一部税額控除が出来なくなることや棚卸資産の在庫未実現利益に対する税効果34億円が計上できないこと等によります。


Q7 : 2009年3月期の実効税率は通常ベースに戻りますか?

A7 : 繰越欠損金があり、現時点では、2010年3月期までの3年間は、影響が残ると考えています。


Q8 : シリコンマイクやデジタルアンプのサンプル出荷後の進捗状況を教えてください。

A8 : デジタルアンプは、携帯電話、薄型TV用途などに需要が広がり、増収基調となっています。また、シリコンマイクは多くの主要顧客でご採用にむけた技術評価をいただいているところです。性能、信頼性の確認作業などを積極的に進めていただいています。


Q9 : リゾート事業の4施設売却後に利益がどうなるかを教えてください。

A9 : 2008年3月期は4施設移管に関わるコストやスタッフ部門の管理コストもあり、引き続き赤字が残りますが、残した2施設での損益は軌道に乗りはじめており、2009年3月期以後で、利益を計上できるようにしていきたいと思っています。


Q10 : 2008年3月期では、楽器事業で20億円の増益を見込んでいますが、その中には、為替益も8億円発生するとのことですが、実質的な増益幅をどう見たらいいですか?

A10 : 減価償却制度の変更に伴い、2008年3月期では、減価償却費が23億円増加します。うち、楽器セグメントで11億円あり(楽器以外では、AV・IT 2億円、半導体7億円、リビング2億円、その他1億円)、為替要因を別にすれば、実質31億円の増益となります。


Q11 : 楽器のその他地域で、売上が伸びていますが、牽引している製品は何ですか?また、利益貢献に繋がっていますか?

A11 : 主として、ピアノ、ポータブルキーボード、PA機器、管楽器が伸びました。増収に伴い、利益増にも繋がっています。


Q12 : 4Qで、AV・IT事業の赤字幅が縮小した理由を教えてください。

A12 : 売上原価の低減に加え、売上構成の変化によります。今後も引続き、収益の改善に努めていきたいと思っています。


Q13 : 4Qで、その他の事業が増収にもかかわらず、減益となった理由を教えてください。

A13 : 自動車用内装部品の利益改善が想定通り進まなかったことと、金型設備の減価償却方法を変更したことによります。


Q14 : 楽器事業では、2008年3月期で、大幅な増収計画となっているわりに、利益が微増に留まる理由を教えてください。

A14 : もう少し、増益を期待したいところですが、先行投資としての販売管理費も積極的に使いたいと思っています。2008年3月期の計画では、売上総利益は対前期43億円の増益、販売管理費も23億円増加する予定です。


Q15 : 伊藤社長は、今回の異動で代表取締役を外れますが、先般発表の新中期経営計画につきましては、新社長が達成責任を持つという理解でよろしいでしょうか?

A15 : 今回の新中期経営計画は、現社長の伊藤が大きな枠組みを指示した上で、梅村を中心に、実質的には3常務(梅村、加藤、黒江)が作成し、まとめたものです。従って、新中期経営計画は新社長の梅村が一義的に責任を持ち、伊藤がそれをバックアップしていきます。世代交代を図りつつ、かつ経営は二頭政治にならないことが必要で、今回、代表権は新社長の梅村だけが持つこととしました。