2007年3月期第3四半期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 北米楽器市場の状況および来期の見通しを教えてください。

A1 : 3Qでは、ピアノ、ポータブルキーボードが苦戦しました。特に、住宅着工件数の減少影響もあり、ピアノ高額品が少し軟調になっています。米国輸入統計によれば、ピアノは前年比20%減少しており、ポータブルキーボードも全体的にスローになっているなど、総じて、不振の原因は市場要因と判断しています。ただ、1月に開催された米国での楽器トレードショーでの楽器販売ディーラーに聞いてみますと、2007年の米国楽器市場の見通しは底堅いとの見方が一般的で、住宅環境も持ち直すと見ており、来期は回復を期待しています。


Q2 : 電子機器・金属セグメントは4Qで営業赤字予想ですが、このことを踏まえて、来期の見方を教えてほしい。

A2 : 半導体については、4Qより0.18μのラインが一部稼動し始め、4Qでは、1年分の減価償却費4億円を計上することもあって、赤字の予想をしています。今後とも、携帯電話用音源LSIは、搭載率の低下や単価ダウンが継続することが予想されますが、デジタルアンプなど携帯電話用音源LSI以外の用途での売上を伸ばしていきたいと考えています。


Q3 : ヤマハ発動機株式の持分について、今後の対応を聞かせてほしい。

A3 : この件につきましては、今後の課題として、認識していますが、現時点までに決定したことはありません。


Q4 : 携帯電話用音源LSI以外の半導体ビジネスの状況は?

A4 : アミューズメント用LSIが前年比で伸びています。そのほか、デジタルアンプやシリコンマイク、車載用LSI等の開発や準備を進めています。ただ、現在のところ、これらが、携帯電話用音源LSIの落ち込みをカーバーするまでには至っておらず、少し時間はかかると思いますが、早い時点で成果に結び付けられるようにしたいと考えています。


Q5 : 3Qでの楽器セグメントでの営業利益の増減要因は?

A5 : 楽器セグメントの営業利益は、前回予想との比較では、為替要因と期ずれによる販売管理費の減少もあり、増益となっています。前年同期との比較でも、銅材料等の値上がりなどコストアップ要因はありますが、為替差益、売上構成の変化、コスト削減効果、また、設備音響機器の利益改善もあり増益となっています。


Q6 : 3Q末在庫高についての評価をお聞きしたい。できれば、製品別のコメントもほしい。

A6 : 3Q末での楽器の完成品在庫は434億円で、為替要因を除いた実質ベースでは、前回予想に対し24億円の増加となっていますが、ほぼ適正レベルと見ています。また、対前年同期では、実質23億円の減少となっています。一方、AV製品在庫は、少し重くなっておりますが、4Qでは適正レベルにもっていけると考えております。
仕掛品、材料在庫は増加しており、期末までに適正レベルへ近づけていきたいと考えています。


Q7 : 来期のAV・IT事業と半導体事業の利益についてコメントしてほしい。

A7 : 両事業とも、収益改善には少し時間がかかると考えています。今後、中期的にきちんと利益が出せるようなビジネスモデルを組み立てたいと思っています。


Q8 : 3年前にスタートした中期経営計画について、達成できたこと、できなかったこと、課題として残ったことなどを総括してほしい。

A8 : 楽器の売上が伸びなかったことが計画未達の最大の原因と考えています。設備音響機器ビジネスの成長や中国市場での成長、工場での生産性向上等は予定通りに進展しました。また、拠点の再編も、国内ピアノ工場の統合や海外生産拠点の統廃合も進めており、次回の中期計画では、成果を数値として出せるようにしたいと考えています。


Q9 : 中期計画の3年間で成長が目標に届かなかった原因は、主として市場要因とのことですが、ヤマハの楽器事業の体質は強くなっているといっていいのですか?

A9 : 中期計画が未達となった要因は市場要因が大きいのですが、弦打楽器については、必ずしもそればかりとは言い切れず、市場が伸びている中で、当社の商品力、コスト競争力がついてきていないのが反省材料になっています。商品別には、ピアノの利益率は、業界でみてもそれほど悪くありません。今後、拠点統合等の生産合理化での成果も出てくると見ています。管楽器はかなり競争力を持つようになっており、当面、中国での生産力増強に努めます。電子楽器の利益率は高い方で、音源や鍵盤が強みとなっています。特に電子ピアノはヤマハの差別化要素となっているピアノ外装の強みを更に活かし、製品開発を進めていきます。設備音響機器分野では、デジタルミキサーは強いものの、出力系のアンプ・スピーカーが弱く、今後、強化していきたいと考えています。


Q10 : 営業外損益が前回予想に比べ、20億円改善している理由を教えてほしい。

A10 : 持分法損益の改善が5億円と自動車内装部品の完成品メーカーからの生産変更に伴う補償金収入8億円が主な内容です。


Q11 : 来期2007/8年期の利益見通しは?

A11 : 全体では増収増益を見込めると考えています。楽器は欧州、アジアは引続き堅調に推移し、北米も明るさが見え始めています。商品では、設備音響機器等での新製品の発売があり、来期も引続き増収基調を維持していきたいと考えています。またコストダウン施策の成果も徐々に出てくる見込みです。一方、半導体の業績回復はそれほど簡単ではないと見ています。同様に、AV・IT事業も業績回復にはやや時間が必要で、ホームシアターやHi-Fi市場での中高級商品のラインアップの強化、フラットTV市場への対応版の開発、カラオケ機器受注の挽回などを進めていきます。


Q12 : 赤字事業についての考え方を教えてください。

A12 : レクリエーション事業については、現在のところ、事業撤退までは考えてはいませんが、今後とも、施設ごとに見直しを進めていきます。赤字幅を縮小し、適切なキャッシュフローが出せるようにしていきたいと思っています。


Q13 : 現在の営業利益水準は、決して低いとは思いません。あまり利益にこだわりすぎると全体がおかしくなるような気もしますが、コメントをいただけますか?

A13 : 収益確保のためのリストラクチャリングや次の成長に向けての積極的な投資を進めます。 また、M&Aも考えたいと思っています。携帯電話用音源LSIに代わるものや、AV市場の急激な変化への対応など、課題を着実にクリアしていきたいと思っています。楽器につきましては、施策が着実に進展してきていると思いますが、更にスピードアップを上げて、モノづくりを強化するとともに、成長のための積極的な投資も進めていきたいと思っています。