2007年3月期中間期決算説明会 質疑応答

Q1 : 電子機器事業では、比較的収益性の高い商品が当初の予想に対し増収となったとの説明でしたが、比較的収益性の高い商品とは何でしょうか?

A1 : 単に、着信音の発音機能だけでなく、オーディオ機能等を付加した付加価値の高いLSIが好調に推移しました。特に日本市場では、このオーディオ機能を付加したLSIが好調です。


Q2 : 半導体の新デバイスとはどのようなものでしょうか?それは携帯電話用途ですか?

A2 : 現在既に生産している磁気センサーや、現在サンプル出荷の段階にあるシリコンマイク等に期待しています。用途はともに汎用性がありますが、現在のところでは、主に携帯電話向けを考えています。


Q3 : リビング事業での浴室は、何故急に、価格競争が激化してきたのですか?

A3 : 昨年くらいから価格競争が激化し、価格が下がってきています。


Q4 : 自動車用内装部品は、主力完成品メーカーのオーダー先送りで、大幅に減収となったとのことですが、このことについて、説明をしてください。

A4 : 期待していた高級自動車への出荷開始が当初の予想よりも、遅くなりました。下期10月からは、本格出荷となっています。


Q5 : アメリカ、イギリスと中国では、上期に比べて、下期で大きく伸長する計画となっていますが、楽器の海外市場の下期の見通しを聞かせてください。

A5 : アメリカは、先期末の意欲的な販売の影響で、流通在庫が重くなっていて、上期前半では苦戦しましたが、徐々に在庫の調整も進んできており、下期では反転が期待できると考えています。商品別には、管楽器、PA機器の伸びを期待しています。
中国市場では、新製品の投入と販売網の整備を進め、シェア、売上を伸ばしていきます。
イギリスも含めた欧州市場は、市場が回復してきており、管楽器を始め下期は一層の成長を見込んでいます。


Q6 : 上期末の在庫について、コメントをいただけますか?

A6 : 先期末で、若干利益を犠牲にしながら在庫処分をしたことで、上期末では、製品在庫の中身が良くなってきています。
また情報システムの仕組みも、この数年をかけて改善してきており、今後サプライチェーンがうまく機能してくると思っています。


Q7 : 楽器事業は、在庫が減少する等、第1四半期決算では、全体的に好印象の感触を持ったのですが、今回の決算では、売上高等の数字に、やや勢いを失っている感がします。このことも含めて、下期あるいは今後の意気込みをお聞かせください。

A7 : 楽器事業の状況は、感触としては、第1四半期の時と、それほど変わっていません。ただ、アメリカの住宅関連がスローになってきているため、アメリカ市場でのピアノの売上については心配しています。それ以外の地域、商品では、管楽器、PA機器等が堅調なことも含め、下期も引き続き、良くなってくると期待しています。
日本では、ピアノ販売が、1980年の年間30万台をピークに現在はその1/10の3万台になりましたが、ほぼ下げ止まり始めた感があります。高校生がジャズバンドを編成する映画がヒットして、アルトサックスがブームになったことや、最近では音楽大学の学生をテーマにしたテレビ番組が、高い視聴率を上げていること、また、先日の吉田拓郎とかぐや姫のつま恋コンサートが社会現象化するなど、日本国内でも売上が期待できる土壌ができつつあり、今後大いに期待しています。


Q8 : AV事業をコア事業とされていますが、このセグメントの売上高が停滞する中で、どのように、収益の改善が出来るのかを、お聞かせください。

A8 : 当社のAV・IT事業には、オーディオ、ルーターそして業務用通信カラオケの3つのビジネスユニットがありますが、ルーターと業務用カラオケがこの1年間の競争激化で収益がダウンしています。
今後は、ルーターと業務用カラオケの収益力強化は当然のこととして、オーディオ分野では、主力のホームシアターに加え、先ごろ商品発表しましたHi-Fiスピーカー等も強化していきます。


Q9 : 第2四半期の携帯電話用音源LSIの単価、数量は、第1四半期に比べて、どうでしたか?また、今後の見通しについてもお聞かせください。

A9 : 第2四半期の携帯電話用音源LSIの数量は、第1四半期と、ほぼ横ばい。平均単価はやや上昇しています。第3四半期につきましては、低価格品の比率が増え平均単価は少し低下し、数量面でも若干減少すると見ています。第4四半期も第3四半期と同様の傾向です。


Q10 : 楽器事業の製造構造改革の進捗状況を教えてください。

A10 : 楽器事業の製造改革は、製造拠点の整理統合と、製造工程そのものの改革、合理化の両面で進めています。
前者では、既に発表しましたように、台湾の高雄のギター工場を来年1月末に生産終了し、中国杭州、インドネシアへ生産を移管します。また、国内では、浜松と掛川のピアノ工場を統合します。
後者の製造工程の改革・合理化はまだ改革の途中ですが、特にアコースティック楽器の分野では、人が持つ技能やノウハウから楽器の音や演奏性といった付加価値が生まれてくるため、これらの技能伝承も行いながら製造改革を進めています。
全体的には、楽器の製造構造改革は、アウトプットを出すには、少し時間がかかっていますが、ほぼ当初の予定通りに着実に進んでいると見ています。


Q11 : その後、ヤマハ発動機株式の保有方針について、何か進展がありましたか?

A11 : 鋭意議論を重ねて検討しているところであり、現時点では何も結論は出ていません。


Q12 : 上期では、収益性が高い半導体が増加したとのことですが、主に自社生産の半導体ですか?それとも、外部ファブで生産している半導体ですか?また、下期はどうなるのかを教えてください。

A12 : 携帯電話用音源LSIのうち、付加価値の高い半導体は、主に外部のファブ生産で、自社工場では、中級以下の携帯電話用音源LSIやアミューズメント向け半導体等を生産しています。下期では、全体的に低価格の半導体が増えそうです。


Q13 : Hi-Fi分野での今後の商品計画を教えてほしい。

A13 : 先ごろ、スピーカーを発表しました。今後も商品ラインナップを強化していきたいと考えています。


Q14 : 国内での電子ピアノ等では、家電のマス販売網が強くなってきていると感じますが、従来の楽器店中心の販売網では、機会損失はありませんか?また、販売網を見直す予定は?

A14 : 流通を一方にシフトするのは得策とは言えないと考えています。楽器店はヤマハ音楽教室を通じた音楽普及活動も合わせて展開しています。ヤマハ音楽教室は、グループレッスン、父兄同伴で、親子のコミュニケーションを通じて、人格形成、にも寄与していると自負しています。そのため、このようなヤマハ音楽教室を展開する楽器店と電子ピアノやギターのような社会性のある楽器とでは、両面の販売網をうまく活かしていくことが重要であると考えています。


Q15 : 携帯電話用音源LSIの韓国市場、日本市場の動向と足元のリスクについて、お聞かせください。

A15 : 日本市場では音質重視の戦略を進めています。海外向けは価格競争になり、同時発音数の少ない付加価値の少ないLSIを受注することもあり、非常に読みにくい市場です。今後、海外でも日本市場のように、音に関心が移ってくれば、ヤマハの強みが発揮できると思っています。


Q16 : 韓国、中国の楽器メーカーとの競合について教えてください。

A16 : 韓国には2大ピアノメーカーがありましたが、韓国市場が低迷していることもあり、かつての勢いは無い状況です。1社は現在、インドネシアを主力生産拠点に移しています。ヤマハは、4年前に韓国に現地法人を設立し、シェアが拡大してきています。 一方、中国市場が世界のピアノ販売の半数を占め、更に市場の成長が見込まれる中で、中国メーカーは、今後脅威になってくると考えています。ヤマハも中国での現地生産も進めており、競争力を高めていく努力を続けていきます。


Q17 : 来期の考え方について、お聞かせください。

A17 : 従来の「音楽」、「楽器」に「音」を追加して、成長を図っていきたいと考えています。縮小均衡ではなく、成長を強く意識して収益力の強化を目指します。