第3四半期 決算説明会 質疑応答

Q1 : 楽器事業は通期で、為替の影響を除くと売上高、営業利益とも対前期横這いの予想となっています。人件費等の固定費削減も計画されている中で、利益改善に繋がっていない理由を教えてください。

A1 : 一昨年に発表しました中期経営計画では、2004年3月期に対し、損益改善の半分を売上成長で達成し、残り半分を人件費や製造原価の低減等コストダウン、経費合理化で達成する計画となっています。このうち、コストダウン、経費合理化施策は若干スピードが遅れているものの、改善効果は少しずつ出始めていると思っていますが、売上成長が課題だと思っています。設備音響等の新規分野では着実に成長していますが、既存の楽器事業がやや低迷しており、特に前期と比較して電子楽器が伸び悩んでいます。地域別では、北米は比較的順調に推移していますが、国内が苦戦しています。


Q2 : 中期経営計画では、来期の楽器営業利益を300億円としていますが、現時点で、どう評価していますか。

A2 : 来期の営業利益300億円達成は非常に難しいと思っています。
特に、電子楽器の低迷が最大の課題と考えています。一方で、構造改革による収益改善につきましては、若干の遅れはありますが、是非達成したいと思っています。


Q3 : 楽器事業在庫が、製品別・地域別にどういう状況なのかを教えてください。

A3 : 製品別では、電子楽器、弦打楽器が、地域別には、全世界的に在庫が増加しています。売上の見誤りが主たる理由です。


Q4 : 第3四半期で、前回予想14億円の減収に対し19億円の減益となっていますが、減収幅の割りに、減益幅が大きい理由を教えてください。また、第4四半期で、前回予想に対し26億円悪化する理由について教えてください。

A4 : 第3四半期の売上高は為替の影響を考慮すると実質54億円の減収となります。利益は為替益がありますが、減収に加え、売上構成の変化で大幅な減益となっています。国内でのエレクトーン等の減少、アメリカでは、設備音響機器などは伸びましたが、電子楽器が苦戦し、またピアノの低価格化も進んでいて、全体的に粗利益が減少しています。
第4四半期につきましては、為替影響を除いた実質売上高は前回予想に対し5億円の減少となりますが、売上総利益は約30億円悪化する見込みです。不動在庫処分、減産、売上構成の変化等によります。


Q5 : AV・IT事業は当初の売上予想が強すぎて、下方修正し、結果として、前期並みになっていますが、売上高計画の見積もり方に問題があるのでは。また、この事業の再建策をどう考えていますか。

A5 : 年初に計画を策定した段階では、達成可能と見ていましたが、ホームシアターシステム商品の低価格化が想定以上に進み、計画未達となっています。「YSP」等、新コンセプトの商品を発売し好評を得ていますが、残念ながら全体の落ち込みを埋めるに至っていません。ITにつきましても、ルーターの競争が激化しています。付加価値をどう付けるかが今後の課題です。こうした中、1月に音、通信とネットワークを結びつけた新商品をスムーズに開発、販売するため、新しい組織をスタートさせました。


Q6 : 第4四半期を既に1ヶ月経過していますが、現時点で、計画との確度はどんな状況ですか。

A6 : 1月の販売は今回発表しました予想に対し、計画線上で推移しています。ただ、半導体事業につきましては、やや不透明な部分があることとAV・IT事業は、さらに一段、市場が冷え込む可能性も否定できません。


Q7 : レクリェーション事業は依然として赤字が続いていますが、今後抜本的な対策をとる予定はありますか。

A7 : レクリェーション事業は、当初の予定より悪くなっています。前期の減損会計実施により減少した減価償却費分のみが損益改善している状況です。施設ごとに見て、2期連続赤字の施設につきましては、今後抜本的な対策を図っていく方針です。


Q8 : 昨年11月にピアノ工場の掛川工場の集約を発表されましたが、予定通り進んでいますか。

A8 : 単なる工場スペースの集約ではなく、製造改革や技能伝承も意識しながら、4~5年かけて、段階的に進めていく計画となっていますが、現在のところは計画どおりに進んでいます。また、今後、ワールドワイドで拠点の見直しを行っていく予定です。


Q9 : 第4四半期で、ポジティブに見ているのは、どの事業ですか。

A9 : 楽器事業は計画通りと考えています。半導体事業は、上ブレもありうると思います。リビング事業は、来期に向けて先行的に広告宣伝費を増やしていますが、もう少し増益となる可能性もあると思っています。


Q10 : ROEも高く、全体的にはそれほど悪い業績ではないと思いますが、目標があまりにも高いような気がします。

A10 : かつて300億円の営業利益を上げた電子機器・金属事業の収益力が低下し、それを楽器事業で埋める計画を立てていますが、この考え方自体は、今でも変わりません。楽器事業の収益体質を抜本的に変えていけば、必ず収益力を強化することができると考えています。デジタル化、ネットワーク化が進み、音楽の楽しみ方が広がる中で、当社のチャンスは大きいと考えています。


Q11 : 電子楽器が悪かったのは、構造的な問題ですか。また、更に収益悪化のリスクに繋がるのかということについてお聞かせください。

A11 : エレクトーンは、ヤマハオリジナルの商品で、従来から教育需要に固執しすぎており、今回、新たなコンセプトも取り入れましたが、まだマーケットに浸透していない状況です。電子ピアノは、普及価格帯で、他社の商品が市場に浸透しています。当社として、この価格帯での新商品を早期に市場導入したいと思っています。ポータブルキーボードは伝統的に、当社の商品は強いのですが、ここに来て、他社の低価格帯の電子ピアノにマーケットシェアを奪われている状況です。商品体系を見直すことで、挽回を図っていきたいと考えています。