第三者意見

ヤマハグループは、CSRの諸課題への対応をグローバルに推進しています。今後の改善を図るため、ヤマハのCSRの取り組みおよびレポートについて冨田秀実様に第三者意見を頂戴しました。ご指摘いただいたご意見や課題を真摯に受け止め、今後もヤマハグループは、音・音楽を原点とする事業活動を通じて、持続可能な社会づくりに貢献してまいります。


[ 画像 ] 冨田 秀実の顔写真
GRI グローバル・サステナビリティ 標準化ボード(GSSB)
ロイド レジスター クオリティ アシュアランス リミテッド 事業開発部門長
冨田 秀実 様

ヤマハCSRレポート2016で開示されている内容について、私の専門的な見地から、特に重要と思われる項目に対して意見を述べます。今後の施策や情報開示の参考として、より高いレベルのCSRの実践に結び付けていただくことを期待します。

方針、マネジメントについて

ヤマハは、新たな中期経営計画「NEXT STAGE 12」の導入と同時に、CSRマネジメントの一環として戦略的CSRテーマを新たに設定しています。中期経営計画の一環として、経営レベルでESGにおける経営課題を明確にし、新たな方針を掲げてCSRの実践に踏み出したことは高く評価できます。今後のマネジメントについても、ガバナンスにおけるCSRの位置付け、経営レベルでのレビュー体制など、継続的な経営層の関与と確実な目標達成を期待します。

事業との関係性について

本CSRレポートでのISO 26000の中核主題に基づく開示は、明確で理にかなっています。ただし、現状の開示では、それぞれの課題に対する多様な取り組みの記載はあるものの、ヤマハの楽器、音響、電子部品など、性格の異なるビジネスと各課題との関連性がわかりません。各ビジネスのバリューチェーンの各段階で、具体的にどのような人権、環境などへのインパクトやステークホルダーの関心があるかを明確にすることで、ヤマハの事業におけるリスクの所在や取り組むべき課題とそれぞれの活動の意味がより明確になり、ステークホルダーの理解に資すると考えられます。

データ・情報の開示について

人事関連情報では、数値データの開示が特に充実しています。また、クレームや法令違反に関しても具体的に記載、もしくは、該当がないことを明確にしています。こうした国際的なガイドラインに準拠するような透明性の高い開示姿勢は高く評価できます。
一方、戦略的CSRテーマとして掲げられている気候変動を含めた環境関連データの開示に関しては、課題があります。例えば温室効果ガスについては、国際的な基準となっているGHGプロトコルに準拠し、比較可能な形で開示することが、投資家をはじめとするステークホルダーへの対応という観点からも必須と考えられます。

ダイバーシティ・ワークライフバランスについて

施策や開示も充実してきていますが、女性の雇用促進や長時間労働では、現状、必ずしも十分な成果に結びついているようには見えません。その原因がどこにあるかの分析、現状の施策のレビューを含めた対策を明確に説明することが期待されます。

持続可能な調達について

サプライチェーンにおけるCSRの遂行は、近年、国際的にも非常に重要な課題となっています。サプライヤーCSR行動基準を制定し、またその中に、楽器ビジネスにとって重要度が高いと考えられる木材調達の方針を盛り込んだことは、ヤマハのビジネスに鑑みて、極めて適切な取り組みと考えられます。今後の継続的な取り組みと数値情報を含めた進捗状況の開示を期待します。