人権の尊重

ヤマハグループは、「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、労働における基本的原則および権利に関するILO宣言、国連グローバル・コンパクトなど人権に関する国際的な規範の順守に努めています。「コンプライアンス行動規準」に基本的人権の尊重、差別の禁止、強制労働・児童労働の禁止などを定めるとともに、「ヤマハグループサステナビリティ方針」に、全ての人々の尊厳が守られる社会の実現に向けて人権尊重に取り組むことを明記しています。2018年には、ヤマハグループの人権尊重の考え方および責任について示した「ヤマハグループ人権方針」を制定し、方針に基づいた企業活動、人権教育や啓発に取り組んでいます。

ヤマハグループは、自らの企業活動による人権への影響に責任を持って対応するために、バリューチェーン全体を視野に、人権に関する国際的な規範やグローバル・コンパクトのセルフアセスメント項目に照らした点検、ステークホルダーや有識者との対話を通じて人権リスクの抽出・特定を行っています。2019年度はCRT日本委員会のステークホルダー・エンゲージメントプログラムに参加し、業界ごとに重要な人権課題の特定作業を実施しました。これらを通じ、原材料調達に関わる人権(違法伐採問題など)、サプライチェーンも含めた労働者の人権、お客さまの人権(製品・サービスの安全性確保、個人情報保護)、事業拠点の地域住民の人権などのテーマが抽出されています。2019年度はこれらの課題を中心に状況を点検し、グループの規程・ルールに人権視点で必要な要素の補完を行いました。今後は、これら規程・ルールの順守状況をモニターすることにより包括的な人権アセスメントを進めていきます。

相談・通報窓口の設置

各電話窓口やウェブサイトに設置したお問い合わせフォームよりご意見・通報を承るとともに、社内および社外双方に従業員(契約社員、アルバイト、派遣社員、委任・請負契約者を含む)が利用できるコンプライアンス相談・通報窓口を設置し、ハラスメントなど人権問題を含む相談・通報に対応しています。2019年度には性的マイノリティ(LGBT)に関する専用窓口を設置し、当事者が抱える困難な状況の改善・解消に向けた相談に対応しています。
さまざまな国・地域からの通報が受けられるよう、多言語対応のメール受付フォームを整備し、連絡先をコンプライアンス行動規準冊子ほか社内刊行物に掲載するなどして周知徹底を図っています。2020年3月には日本国内用の社外相談・通報窓口を増設するとともに、窓口の利用方法を記載したカードを従業員に配布し、あらためて周知徹底を図りました。
窓口への相談・通報に対しては、相談・通報者に加え、その行為者(加害者)のプライバシーも確保の上、公平かつ速やかに事実調査を実施し、問題が認められた場合は指導などの是正を行います。相談・通報者や被害者が強く秘匿を希望し事実調査が困難な場合でも、可能な限り職場環境の改善を図るなど、是正や再発防止の措置を講じています。

公正・公平な採用・雇用

採用・雇用にあたっては、ダイバーシティ&インクルージョン方針に基づき、いかなる差別も行わず、公正な選考による多様な人々への就労機会の提供に努めています。従業員の評価・処遇については、各人の職務遂行能力や仕事の責任・成果などに基づき、公正なルールに沿って決定します。なお、公正・公平な評価ができるよう、評価に携わる管理職層を対象とした評価者研修も実施しています。

労働者の権利の尊重

ヤマハグループは、国際条約や法令に基づき、従業員の結社の自由、組合への加入または非加入、団体交渉、平和的集会などへの参加の権利を尊重します。従業員が差別、報復、脅迫、またはハラスメントを恐れることなく経営陣と率直な意思疎通を図れる労使対話を確保し、労働協約その他の取り決めを守ります。

適正な給与および労働時間

従業員に対する給与額の設定にあたっては、各地域の最低賃金および生活賃金水準を維持することをグループ規程で定めています。また、労働時間や休日は法令で定められた基準を順守するとともに、長時間労働・過重労働の防止に向けて総労働時間の短縮に取り組んでいます。

ハラスメントの防止

ヤマハグループでは、人権侵害行為であるハラスメントの禁止を「コンプライアンス行動規準」に定め、グループ全従業員に配布するコンプライアンス行動規準冊子の中で詳しく解説しています。ヤマハ(株)ではハラスメントが懲戒および公示の対象になることを就業規則に明記し、人権侵害行為に対する厳格な対応を示しています。ハラスメントのない職場環境づくりを進めるために、コンプライアンス相談・通報窓口の整備・運用、研修やセミナーによる啓発を行っています。職務上の優位性を背景に行われるパワーハラスメントをはじめ、あらゆるハラスメント行為を防ぐため、社外相談・通報窓口の増設、コンプライアンス推進の専任部署の設置を行うとともに、役員および管理職を対象とした研修や、上司・部下間のコミュニケーション改善に向けた研修の拡充を進めています。

サプライチェーンにおいて人権尊重を徹底していくために、以下の取り組みを行っています。

  • サプライヤーの選定要件に人権などのCSR取り組みを設定
  • サプライヤーに対し、人権や労働慣行などについて定めた「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」の順守を要請(契約書に明記)。人権デューディリジェンスの一環として、同行動基準に基づく自己点検を要請(必要に応じ是正要請)

これらの取り組みについては「バリューチェーンにおける社会的責任の推進」のページをご覧ください。

ヤマハグループでは、「コンプライアンス行動規準」で、あらゆる形態の強制労働および就業の最低年齢に満たない児童を就労させることを禁止し、強制労働と児童労働を防止するために、社内規程に基づき定めた「労働と人権に関するガイドライン」に以下の項目を定めています。

  • 外国籍労働者の労働許可証の確認
  • 強制労働を招くような手数料を労働者が負担させられていないかの確認
  • 従業員に対するパスポートなどの身分証明書の引き渡し要求や使用制限の禁止
  • 休憩中や就業後の自由な移動やトイレなどの基本的なアクセスの不適切な制限の禁止
  • 適切な事前通達による自由退職の承認
  • 年齢を確認できる有効な身分証明書の写しなどの台帳管理
  • 18歳未満の若年労働者への健康と安全を危険にさらすような労働に従事させない等の配慮

また、「ヤマハサプライヤーCSR行動基準」にも強制労働と児童労働の禁止を定め、取引先に順守を要請しています。併せて、取引先に対してアンケート形式の自己点検を依頼し、回答をもとに必要に応じて改善対応を求めています。

ヤマハグループは、一人一人が「人権」を自分ごととして捉え、企業の人権尊重責任を実践するための人権教育を進めています。2019年度は「ヤマハ人権ガイドブック」(日・英2カ国語)を発行し、世界人権デーおよび日本の人権週間の時期にあわせ、国内グループ企業でガイドブックの読み合わせと業務上起こりうる人権侵害と防止策を考えるミーティングを実施し、400以上の職場からレポートが寄せられました。

[ 画像 ] ヤマハ人権ガイドブック(抜粋)
ヤマハ人権ガイドブック(抜粋)

また社内規定にもとづき定めた「労働と人権に関するガイドライン」にて、人権教育の実施とその内容について定め、国内外のグループ企業がそれぞれ主体性をもって人権教育に取り組むことを推進しています。
このほか、人権尊重への意識を高めるために以下の教育・啓発を継続しています。

  • イントラネットを使った企業を取り巻く人権課題に関する情報発信(ビジネスと人権に関する指導原則や紛争鉱物問題など)
  • 業務に関連した人権テーマの研修・勉強会(購買担当者向けのCSR調達セミナー、人事・マーケティング担当者参加によるLGBT/ダイバーシティ&インクルージョン勉強会)
  • 役員を含む全社規模セミナー(パワーハラスメント防止セミナー、ダイバーシティ&インクルージョンセミナー)