知的財産

知的財産

ヤマハグループは、自社・他者すべての知的財産が正当に保護・利用されることにより、技術革新や文化芸術の創造が促され、健全な社会の発展につながると考えています。この考えのもと、企業理念「感動を・ともに・創る」および経営ビジョン「なくてはならない個性輝く企業になる」の達成に向け、知的財産権を積極的に取得・活用することで自社の事業を保護すると同時に、他者の知的財産権を尊重する風土・体制づくりに努めています。

知的財産の保護への取り組み

事業活動の中で生まれる新しい技術アイデア、デザインや商品・サービスなどの重要な知的財産について積極的に権利を取得し、保護および活用を図っています。他者の知的財産権については、尊重することを基本とし、「コンプライアンス行動規準」にも知的財産権の保護を定め、順守しています。新製品開発時や知的財産権取得における事前調査においては、AIを活用したツールなどを導入し、精度向上による権利侵害の回避に努めています。

また、職務上発生した創作に関する権利(特許や意匠など)についての取扱規定および報奨制度などを整備するほか、自社および他者の保有する知的財産を適正に利用するための従業員教育も行っています。入社時の教育に加え、開発部門やマーケティング部門などへの配属や異動にあわせ、知的財産の管理全般や特許・著作権などの関連テーマに関する研修を実施するなど、従業員教育を強化しています。

特許

特許情報などの分析結果に基づいて中長期の事業を見据えた特許戦略を策定し、新しい価値の創造を支援するとともに、それらの価値を保護するための強い特許網構築を目指しています。各事業においては、他社との差別化、事業の優位性の獲得を主眼に特許を活用するとともに、第三者へのライセンス活動も適宜行っています。

さらに、国内外の保有権利全件について、毎年、現在の活用状況、将来の活用可能性などを含めた評価を行い、ヤマハならではの製品の開発や競争優位性の構築に資する知的財産を峻別、整理しています。こうした保有権利の件数や内容の適正化を進めることで、知的財産の合理的な活用を図っています。

2023年3月末におけるヤマハグループの特許および実用新案の合計保有件数は、国内で2,183件、海外では、米国、欧州、中国を中心に2,673件の合計4,856件です。

意匠

ヤマハグループでは、デザインを製品差別化の重要な要素の一つと捉え、意匠権を中心とした知的財産権による適切な保護・活用に努めています。特に、模倣品被害の多発する国・地域においては、意匠権の取得と権利行使を強化しています。また最近では、デザインもブランディングの重要な一要素として位置づけ、それに沿った意匠出願戦略を進めています。

2023年3月末におけるヤマハグループの意匠保有件数は、国内で535件、海外で1,087件の合計1,622件です。

著作権

ヤマハグループは、特許・意匠・商標の産業財産権に加え、音・音楽の分野を中心に多数の著作物を創作しています。特に、音楽関係の著作権などは重要な知的財産権であり、法的措置の実施を含めて適正な管理・活用に努めています。また、適法な著作物利用を図るための社内教育の仕組み作りにも取り組んでおり、2022年12月には、ヤマハグループ企業の主に知的財産管理責任者、担当者を対象に教育をテーマとしたセッションを実施しました。

ブランド

ブランドは、創業より築き上げてきた大切な資産であり、お客さまや社会に対する責任の証です。ヤマハグループは、ヤマハブランドに関する管理規程や全社的な管理組織であるブランド戦略委員会のもと、表示ルールなどの整備を進め、適正な使用によるブランド価値の維持・向上を図っています。また、ヤマハブランドについてほぼ全世界で商標権を取得しているほか、商品・サービス、技術などのサブブランドについても、適正に事前調査および権利取得を図っています。

模倣対策

ヤマハグループは、世界各地で拡大基調にある模倣品や知的財産の不正使用への対策を継続することで、消費者の経済的不利益排除と安全確保を図り、ヤマハブランドへの信頼を維持することを目指しています。特に中国において、訴訟提起や行政処分の申し立てをはじめ、近年はインターネットやソーシャルメディアによる模倣品販売への対策にも力を入れています。

従業員教育

ヤマハグループは、知的財産の適切な利用、管理の促進を目的とした従業員教育に取り組んでいます。

毎年、ヤマハグループ社内の知的財産担当者を対象とした著作権セミナーを開催するほか、部門・グループ企業向けにそれぞれ特化した勉強会も定期的に実施しています。また、国内外の全ヤマハグループ従業員を対象とした著作権や特許、商標などの基本的知識に関するテストを順次実施するなど、知的財産のリテラシー向上を図っています。