汚染の防止

ヤマハグループでは、事業活動における環境汚染を未然に防ぐため、2014年に環境設備の設置や管理・運用についてのグループ基準「ヤマハグループ環境設備基準」を整備しました。拠点ごとに定めたロードマップに沿って計画的に適合を進め、2021年度までに全拠点での基準適合を完了させる計画です。これにより「環境汚染事故ゼロ」の継続を目指します。

モニタリングと法規制対応

事業活動に伴う環境負荷の低減と法令順守を目的として、ヤマハグループでは、ヤマハ(株)環境部門と各事業所の管理部門が策定した年度計画に沿って、環境測定担当部門が各事業所の排ガス、排水、騒音、臭気などを定期的にモニタリングし、これらの管理状況の確認と順守評価を実施しています。
モニタリングにあたっては、法令基準値よりも厳しい自主管理基準値を設定しており、基準値の超過や異常が発見された場合は、ただちに応急処置を講ずるとともに是正措置を展開しています。
また、法令などの改正にも迅速に対応できるよう、体制を整備しています。最新情報をグループで収集し、ヤマハ(株)環境部門が情報を集約、チェックし、グループとしての対応を各事業所に周知する一方で、各事業所に管理部門・生産部門をメンバーとする「リスク低減ワーキンググループ」を設置し、施策を講じています。近年、環境法が頻繁に改正されている中国に関しては、順法体制を強化するため、現地法人と連携を密にするなど、国内外で取り組みを進めています。

[ 写真 ] 環境測定
環境測定

環境監査

ヤマハグループでは、環境事故や法令違反の未然防止を目的に、ISO 14001統合マネジメントシステムに基づく内部環境監査に加え、「ヤマハグループ環境設備基準」に則したヤマハ(株)環境部門による専門的知見からの環境監査を実施しています。監査スタッフはISO 14001に基づく内部環境監査員としての資格に加え、公害防止管理者、作業環境測定士など環境保全に関わる公的資格を取得しています。
各サイトの設備基準適合状況および環境リスクをグループ共通のチェックシートで点数化し、対応すべき事項と優先順位を明確化することで、効率的に改善を進め、さらなるリスク低減を図っています。
なお、監査の頻度はリスク度合いによって設定し、定期的に実施しています。2019年度は、国内4サイト、海外4サイトの環境監査を実施しました。

[ 図 ] チェックシート
[ グラフ ] 基準適合率92% リスク対応率94%
[ 写真 ] 環境部門の監査スタッフによる環境監査
環境部門の監査スタッフによる環境監査

緊急事態への備え

災害や事故などの緊急事態への備えとして、事業所からの有害物質や油分の漏えいによる環境汚染を未然に防ぐための仕組み整備、訓練に取り組んでいます。グループ統一の評価基準によるリスク抽出を行い、その結果浮かび上がった各事業所の緊急事態について、改善や手順を整備しています。また、万一事故が起こってしまった場合の応急措置の手順や設備・備品を整えるとともに「緊急事態対応訓練」を実施しています。

[ 写真 ] 緊急事態対応訓練
緊急事態対応訓練

ヤマハグループでは、事業所からの排出水によって水域および関連生息地に悪い影響を与えないよう、常に排出水の監視を行うとともに、排出先の水域の水質や生物への影響についての調査も定期的に実施しています。
過去、塩素系有機溶剤による土壌および地下水汚染が発生した2つのサイトについて浄化対策を実施してきました。地下水についてはすでにヤマハ(株)豊岡工場で浄化を完了、ヤマハ(株)本社事業所についても基準値近くまで回復し、現在も継続的に浄化を実施しています。 土壌汚染については、両サイトとも浄化を完了しています。

[ 写真 ] 本社事業所の地下水浄化装置
本社事業所の地下水浄化装置

また、国内全拠点において、高濃度PCBを含有するトランスやコンデンサーなどの大型機器廃棄物の適正な処分や蛍光灯安定器類などの小型高濃度PCB廃棄物の処分登録を完了したほか、低濃度PCBを含有する機器についても豊岡、天竜、磐田、葛城の4拠点で処分を完了しています。(株)ヤマハミュージックマニュファクチュアリング本社工場では、処理能力および耐震性向上を目的に2018年3月に廃水処理設備を更新しました。この設備は従来の2倍の廃水を処理することができ、震度6強~7の地震に耐えられるよう設計されています。

[ 写真 ] (株)ヤマハミュージックマニュファクチュアリング本社工場の廃水処理設備
(株)ヤマハミュージックマニュファクチュアリング本社工場の廃水処理設備

ヤマハグループでは、化学物質の使用による人や環境への悪影響を最小化するために、「ヤマハグループ化学物質使用基準」に沿って、PRTR※1法対象物質などの化学物質管理の徹底と生産工程や製品からの排出削減に取り組んでいます。国内グループにおいては、使用する化学物質含有材料の安全データシート(Safety Data Sheet/SDS)※2をデータベースで一元管理し、危険有害性や環境への影響の評価および必要に応じたリスク低減措置を行っています。
現在、ヤマハグループの生産工程から排出される化学物質は、製品の塗装・接着時に発生するVOC※3(揮発性有機化合物)が中心です。VOCの排出量については常にモニタリングし、代替化や処理施設導入による排出削減に努めています。(VOC排出量については、環境データのページに掲載しています。)
中国の各工場では、VOC処理施設を導入し、排出削減を進めています。また、インドネシアのヤマハ・ミュージック・マニュファクチュアリング・アジア(YMMA)では、使用済みシンナーの再利用に取り組み、2019年は排出量を約70%削減しました。

  • ※1 PRTR:Pollutant Release and Transfer Register (環境汚染物質排出・移動登録)の略。PRTR法は「特定化学物質の環境への排出量の把握などおよび管理の改善の促進に関する法律」の略称
  • ※2 労働安全衛生法,毒物劇物取締法,PRTR 法に基づく、化学物質や化学物質を含む製品に関する危険有害性や取扱上の注意事項等を記載したシート
  • ※3 VOC(揮発性有機化合物):塗料や接着剤に希釈剤などとして含まれ、光化学オキシダントや浮遊粒子状物質(SPM)の発生原因の一つと考えられている
[ 写真 ] 天津ヤマハのVOC処理施設
天津ヤマハのVOC処理施設
[ 写真 ] 杭州ヤマハのVOC処理施設
杭州ヤマハのVOC処理施設
[ 写真 ] 蕭山ヤマハのVOC処理施設
蕭山ヤマハのVOC処理施設

塗装工程における化学物質の排出削減

楽器や自動車用内装部品などに外観の美しさと耐久性を与える塗装工程において、塗料の使用量や有機溶剤の排出を抑え環境への影響を少なくする塗装法を研究、導入しています。これまでに静電塗装、粉体塗装、フローコーター塗装などを自社製品に合わせて用途開発し、生産に使用しています。
(株)ヤマハミュージックマニュファクチュアリングでは、ピアノの生産工程で、部品の塗料を有機溶剤含有のものから水性塗料に切り替えを進めています。水性塗料は作業環境の改善効果もあります。
また、ヤマハファインテック(株)では、型の内部で被膜を形成する「型内塗装」工法を開発、自動車用内装部品に採用しています。従来のスプレー塗装から型内塗装に切り替えることで、90%以上の塗着効率※4を得ることができ、塗料使用量と有機溶剤の大気排出量を削減するとともに、作業現場の換気稼動を大幅に削減、省エネルギーにも寄与しています。この工法によって2019年度は約51tのスチレンを削減しました。

  • ※4 塗着効率:塗料の使用量に対し、被膜として残留する割合
[ 図 ] 型内塗装(YMC:Yamaha Mold Coating)の工程
[ 図 ] スプレー塗装の工程

オゾン層の保護

ヤマハグループでは、オゾン層保護のためにフロン類の使用量削減に取り組み、特定フロン、代替フロンの使用を全廃しています。1993年度に生産工程で使用する特定フロン(CFC類)を全廃した後、金属材料の脱脂洗浄工程において特定フロンに比べてオゾン層破壊係数が小さい代替フロン(HCFC類)を洗浄剤として使用していましたが、地球温暖化への影響が大きいことから、2005年度までに全廃しています。

2019年度において、環境にかかわる法令違反や罰金、科料、訴訟はありませんでした。また、外部に影響を及ぼす事故や重大な苦情などもありませんでした。