顧客満足の向上

顧客体験の実現

ヤマハグループは理念体系「ヤマハフィロソフィー」の中で、お客さまの視点に立ち、期待を超える製品とサービスを生み出すことで、未来に向かって新たな感動と豊かな文化を創り続けることを宣言しています。特に、お客さまに約束し届けたいことを「顧客体験」として具体的に提示しています。

ヤマハグループで働く全ての従業員が、日々の業務が「顧客体験」の実現につながっていることを常に意識して事業活動に取り組んでいます。また、お客さまからの多様な要求にお応えするため、ユニバーサルデザインの導入、社会課題解決に向けた製品・サービスの提案、これらを通じたサステナビリティへの貢献を積極的に推進しています。

お客さま満足の向上

お客さま満足向上のための声の収集・活用

楽器・音響機器に関するアンケートを通じて寄せられたお客さまの声を、社内のウェブサイトで共有しているほか、国内外の販売会社を通じて世界中のお客さまが電話やメールでお寄せくださったお問合せ情報を収集し、各商品の企画や開発などに携わる部門に定期的にフィードバックしています。

また、ヤマハの製品・サービスのユーザーを中心に、さまざまなヤマハとの接点で顧客満足度調査も実施し、結果を活用しています。2023年3月期には、国内外のヤマハグループ全体でヤマハの会員サービスに登録いただいたお客さまに対して、グローバルでの顧客満足度アンケートを開始しました。

商品・サービスの提供後も、ヤマハの届けたい価値がきちんとお客さま一人一人に届いているか、満足いただけているのかを振り返り、よりよい顧客体験をお客さまとともに創るべく、お客さまの声を大切な財産として活用しています。

[画像] アンケートに寄せられた声を公開する社内ウェブサイト

アンケートに寄せられた声を公開する社内ウェブサイト

お客さまへの意識をさらに高めるためのマインド作り

顧客体験に対する興味・感度を育むヤマハ独自のトレーニングを毎年3,000名超の従業員に向けて行っています。具体的には、実際のお問合せ音声をもとに、お客さまがヤマハの製品・サービスを手にしてどのような体験をしたかったのか、どのような気持ちになったのかをグループで考察します。自由な意見交換を通して、一人では想像しえなかったお客さまの気持ちにも気付き、ヤマハ一丸となってできることを皆で考えることで、顧客体験を大切にする企業風土を目指しています。

この他にも国内生産職場向けに、毎月国内で生産される製品に関する世界中のお客さまの声を掲載したポスターを掲示しています。社内のウェブサイトでは、品質改善の事例とともに、その製品に対するお客さまの声も共有しています。ともに働く仲間がお客さまの声からどんなことに気付き、どのように対応したのかを知ることによって、品質への感度を高める機会になっています。

こうした活動により、各従業員がお客さま一人一人に真摯に向き合い、お客さまの視点に立って考え、行動する組織風土の醸成を図っています。

[画像] ヤマハ独自のトレーニングをテレワークでも参加できるようにオンラインで開催

ヤマハ独自のトレーニングをテレワークでも参加できるようにオンラインで開催

[画像] 品質改善の事例とお客さまの声を共有する社内ウェブサイト、国内生産職場に貼られたポスター

左:品質改善の事例とお客さまの声を共有する社内ウェブサイト
右:国内生産職場に貼られたポスター

お客さまへの応対・サポートの向上

お客さま応対・サポート体制

ヤマハグループは、お客さまへのアフターサービス体制を整え、お問い合わせやご要望に誠実に応対するよう努めています。

ヤマハ(株)では、アフターサービス管理部門を設け、ヤマハグループ全体に関するアフターサービスの方針決定やお客さま応対・サポートの品質をモニタリングしています。各生産会社では、サービスパーツを供給する部門を設け、サービスパーツの在庫、供給を行っています。また、各販売会社では、お客さまサポート部門を設けるなど体制を整備し、アフターサービスを提供しています。一方、国内の楽器・音響部門では、販売会社の(株)ヤマハミュージックジャパン内に「カスタマーサポート部」を設け、製品別の相談窓口を整備しています。海外では、各グループ企業のサービスセンター、ヤマハ認定サービス店、販売店、契約技術者を窓口としたアフターサービスネットワークを地域ごとに構築しています。これらのお客さまサポート部門では、お問い合わせに円滑に応対するため、電話やウェブサイト、SNSなどによる顧客サポートシステムを整備し、一部ではクラウドコンピューティングによる顧客管理システムを導入しています。

[図] お客さまサポート(アフターサービス)体制

お客さまサポート(アフターサービス)体制

[写真] (株)ヤマハミュージックジャパン

(株)ヤマハミュージックジャパン

[写真] ヤマハ・ミュージック・ヨーロッパ

ヤマハ・ミュージック・ヨーロッパ

アフターサービスマネジメントシステム

ヤマハグループでは、アフターサービスマネジメントシステムを構築し、「ONE YAMAHA」をスローガンにお客さまへの応対・サポートの継続的な品質向上に取り組んでいます。

毎年開催する「サービスマネジメント会議」でグループ方針を共有し、国内外の各販売会社やパーツセンターを持つ各生産会社がアフターサービスに関する目標と計画を立てます。各社は計画に沿って活動し、その進捗をヤマハ(株)の品質保証部門がモニタリングしていくことで、お客さま応対・サポートの継続的なレベル向上を図っています。

2022年3月期は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、Teamsによるオンラインでサービスマネジメント会議を開催しました。国内外26社のCS部門責任者らが参加し、社会環境の変化に応じたカスタマーサービス・サポート関連の取り組み状況を共有、資源循環型社会への貢献や、オンラインでのアフターサービス技術情報の提供など、今後ヤマハグループのCS部門全体で取り組むべき共通課題について討議しました。また、全世界のお客さまへ高品質で均質なアフターサービスを提供するために、グループ内で共有すべき考え方の基本を「グループアフターサービス規程」に定め、チェックシートによる運用状況のモニタリングを実施しています。

[写真] ヤマハグループアフターサービスマネジメントシステム

ヤマハグループアフターサービスマネジメントシステム

[写真] サービスマネジメント会議での討議の様子

サービスマネジメント会議での討議の様子

製品・サービスの充実

音楽教育事業

より多くの人が音楽を楽しみ、音楽の歓びを広くわかち合う―そんな豊かな社会づくりに貢献することを願い、ヤマハグループでは音楽教育事業を国内外で展開しています。1954年、東京・銀座で前身となる教室をスタートして以来、子どもたちの豊かな成長を目指した音楽教育に取り組み、独自の教育メソッド「ヤマハ音楽教育システム」を確立・発展させてきました。「すべての人がもっている音楽性を育み、自ら音楽をつくり、演奏し、楽しむことの出来る能力を育て、その音楽の歓びを広くわかちあう」の理念のもと、1歳から中学・高校生までの子どもの音楽教育を対象とした「ヤマハ音楽教室」、大人の音楽愛好家・趣味層を対象にした「ヤマハミュージックレッスン」など、それぞれの世代のニーズに応じたコースを提供しています。

世界40以上の国と地域に広がる「ヤマハ音楽教室」

「ヤマハ音楽教室」は、「総合音楽教育」「適期教育」「グループレッスン」の3つの特長を柱とした「創造性の育成」に力を入れたレッスンです。「きく」「うたう」「ひく」「よむ」「つくる」といった要素を総合的に盛り込んだ独自の教育メソッドにより、子どもたち自らが感じたことを音楽で思いのままに表現する力を身につけることを目指しています。

海外では、1964 年に初めてアメリカ・ロサンゼルスに開設され、現在、アジア・欧州・北米・中南米など40以上の国と地域で14 万人以上の生徒が音楽に触れる歓びを体験しています。日本で培ってきた音楽教育の理念とカリキュラムを基盤としながら、それぞれの地域の文化や国民性との融和を図りながら、各種コースを整備しています。

また、50年以上にわたり、ヤマハ音楽教室で学ぶ15歳以下の子どもたちが心に感じたことを曲にして自ら演奏する「ジュニアオリジナルコンサート」(JOC)も国内外で展開し、音楽という共通言語を通じて音楽教育の理念が世界に広がっています。

[写真] ヤマハ音楽教室

ヤマハ音楽教室

[写真] ヤマハ音楽教室(韓国)

ヤマハ音楽教室(韓国)

音楽教室の実施国(2022年3月現在)

[画像] 音楽教室の実施国

多様なニーズに対応した「ヤマハミュージックレッスン」

「ヤマハミュージックレッスン」は、音楽を楽しみながら楽器演奏技術の習得を目指す初心者はもちろん、一層の上達をめざす中上級レベルの方まで、無理なく楽しく演奏技術の習得・上達ができるレッスンです。幅広い年齢層の方を対象に、日本全国1,200会場で展開しています。バンド系、ボーカル・コーラス系教科からアンサンブル指向の管楽器・弦楽器教科、ソロ演奏指向の鍵盤楽器教科など幅広い教科を用意し、お客さまのさまざまなニーズに対応した豊富なコースのレッスン(2022年6月現在39コース)を提供しています。個人レッスンはもちろん、少人数のグループレッスンでは、音楽経験の違いを超えて学べるカリキュラムとオリジナルの教材で、仲間と一緒に音楽を楽しみながら楽器の演奏技術を上達できます。

このほか、ウエルネスプログラムとして、音楽の効果を生かした健康のためのプログラム「健康と音楽」「健康と歌」も展開しています。

[写真] ヤマハミュージックレッスン

ヤマハミュージックレッスン

[写真] 「健康と音楽」

「健康と音楽」

気軽に歌を楽しむ「青春ポップス」

“歌って踊れる”「青春ポップス」は、音楽経験がなくても気軽に歌を楽しむことを目的としたコースです。レパートリーはシニア層が青春時代に親しんだ1960~1980年代の歌謡曲やフォークソングを中心にラインナップ。楽譜を使わずオリジナル映像を見ながらハモリやステップをつけて同世代の仲間とともに歌を楽しむ内容で2017年から全国に展開しています。

[写真] 青春ポップス

青春ポップス

ユニバーサルデザインの推進

ヤマハグループは、誰もが音楽を楽しめる環境づくりを目指し、豊かなコミュニケーションや、多様な人々が快適に共生する社会の実現に向けてユニバーサルデザインを推進しています。製品の開発・設計担当者をはじめとする従業員へユニバーサルデザインに対する理解・意識を促す取り組みを進めるとともに、電子楽器などへの読み上げ機能搭載など、製品への実用化に向けての取り組みも進めています。

2016年度からは、浜松市が推進するユニバーサルデザイン(以下UD)による街づくりの一環プログラム「企業のUD出前講座」」に参画し、地元小学生に対してUD出前授業を実施しています。

音のユニバーサルデザイン化支援システム「SoundUD®

ヤマハ(株)は、音のユニバーサルデザイン化を支援するクラウド技術およびプラットフォーム「SoundUD」(Sound Universal Design)を開発し、提唱しています。当社が事務局を務める「SoundUD 推進コンソーシアム」(設立:2017年)では、言語や聴力への不安がない持続可能な社会づくりを実現することを目的に、360以上(2023年3月31日現在)もの会員企業・団体と一緒に「SoundUD」の普及に努め、日本発の新たなビジネスモデルやイノベーション創出を促進しています。これまで、音の聞き取りづらい高齢者や障がい者、日本語のわからない外国人の方々向けのソリューションとして「多言語アナウンスシステム」を展開、そのコンセプトや活動実績が認められ、これまで数多くの賞を受賞しています。

そのサービスの一つとして展開している、当社開発のリモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」は、自宅など離れた場所からでも、インタラクティブにスポーツ観戦を楽しめるようにサポートするアプリで、サッカーや野球、バスケットボールなど500以上のスポーツの試合で使用され、延べ1億回以上の応援を会場に届けてきました。2022年には、革新的な優れたサービスを表彰する「第4回 日本サービス大賞」(主催:公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会)において「優秀賞」を受賞しました。

また、スマートフォンで利用できる業務用インターホンサービス「スマホでインターホン」は、キーボード入力による文字でのやり取りや自動翻訳機能で多言語化にも対応するなど、ユニバーサルデザインに配慮した誰にでも使いやすく簡単に導入できるインターホンサービスとして、「IAUD国際デザイン賞2022」(主催:一般財団法人 国際ユニヴァーサルデザイン協議会(IAUD))において、インタラクションデザイン部門の金賞を受賞しました。

なお、「スマホでインターホン powered by SoundUD」と、当社と株式会社USENが共同で取り組む業務用アナウンスシステム「音と文字で伝わる『SoundUDの多言語アナウンスシステム』」は「2022年度グッドデザイン賞」(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)も受賞。中でも「SoundUD多言語アナウンスシステム」は、特に高い評価を得たデザインに与えられる「グッドデザイン・ベスト100」に選出されました。

[画像] スマホでインターホン powered by SoundUD

スマホでインターホン powered by SoundUD

[画像] 音と文字で伝わる「SoundUDの多言語アナウンスシステム」

音と文字で伝わる「SoundUDの多言語アナウンスシステム」

自動伴奏機能付きピアノ「だれでもピアノ®

ヤマハと国立大学法人東京藝術大学COI拠点が共同開発した「だれでもピアノ®」は、一本の指でメロディーを奏でると、伴奏とペダルが自動で追従して美しい音色が響き、誰でも華麗な演奏を体験できる自動伴奏機能付きのピアノです。

当社は2015年10月より、文部科学省と科学技術振興機構の事業である「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)の拠点の一つである「東京藝術大学COI 拠点」に参画し、技術面でサポートしてきました。手や足に障がいのある1人の高校生の「ショパンのノクターンを弾きたい」という夢を叶えるために、ヤマハの自動演奏ピアノ「Disklavier™(ディスクラビア)」と演奏追従技術を組み合わせて開発した同ピアノは、ディスクラビアを弾く右手(メロディパート)の演奏情報を瞬時にMIDIデータに変換し、自動演奏システムが楽曲情報と照合。演奏テンポに合わせて、左手パートの音を重ねるとともに、ディスクラビアに搭載されたペダル駆動システムを制御することで、演奏者の思い通りに完成された楽曲を奏でることができます。

今後、児童・生徒の音楽やSDGsの教育現場のほか、高齢者や障がい者の“ウェルビーイング”向上のため、持続的な幸福、生きがいづくりを支援する活用が期待されるなど、健康寿命延伸に向けた福祉・医療分野での研究を推進しています。

2021年には、社会課題を科学技術イノベーションによって解決する優れた取り組みに贈られる「STI for SDGs」アワード(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構)で文部科学大臣賞を受賞しました。

[写真] だれでもピアノ®

「だれでもピアノ®」 2019Ⓒ平館平

音技術による社会課題への取り組み

ICTを用いた音楽教育ソリューション「Smart Education System」
ウェブ会議システムを活用した遠隔授業

新しいワークプレイスの創出とテレワークソリューションの提案

新型コロナウイルス感染症により、働く場所や学ぶ環境にも変化が生まれ、オフィスワークとテレワークを融合させた「ハイブリッド型ワークスタイル」や、対面とオンラインで同一の授業を受講する「ハイフレックス型授業」と呼ばれるスタイルも広がっています。オフィスの会議室においても、会議参加者同士が適切な距離を保つための柔軟なレイアウト変更や、参加人数や目的に応じた会議室の効率的な運用、残響が多く遠隔会議に向かなかった会議室への快適な音空間の導入など、ニーズが多様化しています。

このように遠隔会議システムのニーズが高まる中、ヤマハでは、オフィスの「音環境」問題に着目し、これまで培ってきた技術や製品ノウハウをもとに、音漏れや周囲の音を気にすることなく会話や遠隔会議ができる、オフィス内の音空間を提案しています。

2021年に発売した遠隔会議用ワンストップサウンドソリューション「ADECIA」は、遠隔会議や授業を行う部屋に最適なマイクロフォンやスピーカーを一式揃って導入いただける音響システムです。会議室の柔軟なレイアウト変更や会議参加人数を考慮した効率的な会議運用を実現するシーリングアレイマイクロフォンなどで構成する「ADECIAシーリングソリューション」や、コンパクトかつより多人数の会議参加者に対応可能な有線方式のテーブルトップアレイマイクロフォンで構成する「ADECIAテーブルトップソリューション」、ワイヤレスマイクロフォンシステムをラインアップに加えたWithコロナ、アフターコロナ時代に最適な遠隔会議を実現する「ADECIAワイヤレスソリューション」など、順次ラインアップを拡充し、用途にあわせて今後さらに多様化する遠隔会議環境に柔軟に対応しています。

[画像] 遠隔会議用サウンドソリューション「ADECIA(アデシア)」

遠隔会議用サウンドソリューション「ADECIA(アデシア)」

「リスニングケア」搭載イヤホン・ヘッドホンと耳の健康に関する特設サイト

世界中のすべての方が生涯を通じて音楽に触れることのできる環境を守ることが、音・音楽に携わる企業の社会的使命と考え、「良い音を楽しむ」ことと「健康への配慮」が両立する新しい価値の創造を目指し、事業活動や製品開発を進めています。

2019年にWHO(世界保健機関)が発表したレポートでは、世界の若年層(12歳~35歳)の半数にあたる約11億人が難聴になるリスクを抱えており、何らかの対策を取らない限りその人数は増加し、難聴リスクが高まると警告しています。

このような社会的な問題を背景に、当社では、耳への負担を軽減する独自技術「リスニングケア」を搭載したイヤホン「TW-Eシリーズ」「EP-Eシリーズ」、ヘッドホン「YH-Lシリーズ」「YH-Eシリーズ」の発売や、耳の健康に配慮した音楽とリスニングの楽しみ方について発信するサイト「Thinking about Hearing Health」を通じて、人々の音・音楽を楽しめる時間が長く続くよう継続的な情報発信を行っています。

  • 音量に合わせて高音域と低音域を楽曲全体のバランスを保ちながら補正することで、小さな音量でも音楽の持つ情報量を損なわずに楽しめる当社独自の技術
[画像] 「Thinking about Hearing Health」サイト

「Thinking about Hearing Health」サイト

[画像] 完全ワイヤレスBluetoothイヤホン「TW-E5B」

完全ワイヤレスBluetoothイヤホン「TW-E5B」

音技術・新技術によるソリューション提案

ヤマハグループは、1900年に初めてピアノ製造に成功して以来、時代の変化とともに技術開発を進め、伝統的なアコースティック楽器はもとより、常に最新の電子技術を用いた楽器や技術開発に取り組んでいます。 “音を出す”製品づくりを通じて良い音を追求する一方、音空間の研究やその制御システムの開発など、“音を聴く”ための良い環境づくりにも努めています。また、製品開発の中で培ったセンサー技術などを生かしたソリューションを提案や、新しい環境下でヤマハが提案できるコンテンツを提供しています。

2021年には、国立大学法人東京大学先端科学技術研究センターと ヤマハなど企業9社とが共同で「先端アートデザイン社会連携研究部門」を設置。2030年に向けたSDGsをはじめ、あらゆる人を受容するインクルーシブな社会の構築、社会のデザインが極めて重要となる中、本研究部門では、世界を先導する企業、東大先端研の研究者、およびアートデザイン領域の第一線のプロフェッショナルが分野横断的な研究グループを組織し、多様な視点から生み出されるアイデアをスピーディーに社会実装していくとともに、これらの複雑化する社会の諸問題にバランスよく立ち向かえる未来の人材育成を目指していきます。

リモート合奏サービス「SYNCROOM」

「SYNCROOM(シンクルーム)」は、インターネット回線を介して、複数のユーザー同士(最大5拠点)でリモート合奏が楽しめるサービスです。一般的なリモート会議システムやIP電話は、通話や会議を想定して設計されており、一定の音声の遅れが生じることから、高いリアルタイム性が要求される合奏には適していません。そこで「SYNCROOM」は、当社独自の技術によってインターネット回線を介したオーディオデータの双方向送受信の遅れを極小化し、遠隔地間でも違和感のほとんど生じない快適なオンラインセッションが楽しめるサービスを実現しました。アプリケーションを端末にインストールし、アカウント登録を行うことで、無料で利用可能。現在、アカウント登録数は約20万人(2023年3月末)まで増加し、全国各地の多くのユーザーが「SYNCROOM」を通じて、離れていても繋がれる新しい音楽体験を楽しんでいます。

2022年4月には、ユーザーが、自己紹介コメントや好きな音楽ジャンル、興味のある楽器、自身のソーシャルメディアアカウントなどのプロフィールを公開できるプロフィール機能を追加。ユーザー検索やお気に入りユーザー登録の機能と併せて使用することで、気が合いそうなユーザーをより簡単に見つけられるようになるなど、ユーザー同士がつながりやすい仕組みを導入しました。

2021年には、「2020年日経優秀製品・サービス賞」で「最優秀賞」を受賞しました。

[画像] 「SYNCROOM」

「SYNCROOM」

次世代ライブビューイング「Distance Viewing」

アーティストの迫力あるライブパフォーマンスを忠実に記録し、ステージ上にバーチャル再現する次世代ライブビューイングシステム「Distance Viewing」は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、苦境にあるライブハウスの新たな動員源となるライブコンテンツを提供するため、当社が持つ楽器、音響機器、ネットワークに関する知見と技術を結集して開発されました。ライブ音声を完全再現し、大型スクリーンを用いたリアルな等身大映像と本番さながらの照明演出などで、そのパフォーマンスをステージ上によみがえらせます。

今後もヤマハグループは、ニューノーマル時代の新しい音楽のあり方を提案し、音や音楽に関する社会課題解決につながるソリューションを提案していきます。

公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2021年度グッドデザイン賞」を受賞。

[写真] 次世代ライブビューイング「Distance Viewing」

次世代ライブビューイング「Distance Viewing」

その他の製品事例

よりよい音環境づくり

製品 サステナビリティ面の特長 関連画像
スピーチプライバシーシステム「VSP-2 人の話し声を素材に合成した「情報マスキング音」により会話内容をカモフラージュする [写真] スピーチプライバシーシステム「VSP-2」
調音パネル 室内の音(響き)を調え、音響障害のないクリアで心地よい音響空間を実現する [写真] 調音パネル

調音パネルを導入した会議室

防音室「アビテックス」 遮音と音場(響き)を兼ね備えた空間を手軽に実現する [写真] 防音室「アビテックス」
ユニファイドコミュニケーションスピーカーフォン「YVC-200」 時間や場所にとらわれない快適な遠隔コミュニケーションを実現 [写真] ユニファイドコミュニケーションスピーカーフォン「YVC-200」
完全ワイヤレスBluetooth®イヤホン「TW-E5B、E3B」 音量に応じて音のバランスを最適化して、耳への負担も抑えるヤマハの独自技術「リスニングケア」 [写真] 完全ワイヤレスBluetooth®イヤホン「TW-E5B、E3B」
ノイズキャンセリングBluetooth®イヤホン「EP-E70A」 「リスニングケア」に加えて、高純度な音楽再生とノイズ除去を両立した「アドバンスドANC(アクティブ・ノイズ・キャンセリング)」、耳の形状や装着状態に合わせてリアルタイムに音を自動で最適化する「リスニングオプティマイザー」を搭載 [写真] ノイズキャンセリングBluetooth®イヤホン「EP-E70A」

センサー技術の応用提案

製品 サステナビリティ面の特長 関連画像
薄型変位センサー 肢体に装着するものと一体化させ、人の動作情報をリアルタイムにモニタリングする
[写真] 薄型変位センサー

使用例

水素漏れ検知機 高速応答・高感度・広ダイナミックレンジを実現し、さまざまな検査対象の形状や漏れ量に対応可能 [写真] 水素漏れ検知機

音技術の応用提案

製品 サステナビリティ面の特長 関連画像
サイレントブラス™ 場所や時間を選ばずに練習や演奏を可能にする [写真] サイレントブラス
トランスアコースティック™ピアノ 電子ピアノのように自由な音量調節が可能 [写真] トランスアコースティックピアノ
車載緊急通報システム用車載通話モジュール 緊急時の自動通報・ハンズフリー通話が可能 -

社外からの評価実績

「JCSI(日本版顧客満足度指数)調査」教育サービス業で7年連続第1位に選出

2022年度JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index:日本版顧客満足度指数)第3回調査<教育サービス>業において、ヤマハ(音楽教室、英語教室など)が7年連続第1位に選出されました。JCSI調査は日本最大級の顧客満足度調査であり、ヤマハは満足・不満足の原因となる指標「顧客期待:企業ブランドへの期待」「知覚品質:全体的な品質評価」「知覚価値:コスト・パフォーマンス」や、満足・不満足の結果となる指標「顧客満足」「推奨意向:口コミ」の5項目において、第1位と非常に高い評価をいただきました。

「日経コンピュータ顧客満足度調査 ネットワーク機器部門」で7年連続1位を獲得

株式会社日経BP「日経コンピュータ2022年9月1日号 顧客満足度調査2022-2023 ネットワーク機器部門」において、ヤマハは「信頼性」「運用性」の項目で高い評価をいただき、7年連続で第1位に選出されました。

当社では、お客さまに安心して使い続けていただくために、豊富な技術情報と長期的なファームウェアの無償提供、技術サポートを続けてきました。また、エンジニアが情報交換を行えるソーシャル・ネットワーキング・サービス「ヤマハネットワークエンジニア会(YNE)」を運営し、2021年6月には公式認定制度「ヤマハネットワーク技術者認定試験(YCNE)」を開始するなど、お客さまのスキルアップもサポートしています。加えて、ネットワーク製品サイトでは、さまざまな業界での導入事例も紹介しています。

18年連続でSOHOルーター国内シェアNo.1を獲得

IDC Japan株式会社が2022年6月に発表した「国内ネットワーク機器市場シェア(2021年)」の「SOHOルーター」セグメント(中小企業や個人事業主のオフィス、大企業・中堅企業の遠隔地の小規模オフィス・店舗などで利用)において、18年連続でシェアNo.1を獲得しました。

当社は、1995年にネットワーク機器の市場へ参入して以来、企業向けルーターを中心に、スイッチや無線LANアクセスポイントなどラインアップを拡充するとともに、お客さまのご期待・ご要望に沿った製品開発を進めることで、個人から法人まで幅広いお客さまに採用いただいています。サポート面では、製品の設定や運用方法を解説する「ヤマハネットワークウェビナー」を開催するなど、積極的に技術情報を発信しています。さらに、エンジニアが情報交換を行えるソーシャル・ネットワーキング・サービス「ヤマハネットワークエンジニア会(YNE)」の運営や「ヤマハネットワーク技術者認定試験(YCNE)」など、お客さまのスキルアップにつながる取り組みも行っています。

リモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」が「第4回 日本サービス大賞」において「優秀賞」を受賞

リモート応援システム「Remote Cheerer powered by SoundUD」が、革新的な優れたサービスを表彰する「第4回 日本サービス大賞」(主催:公益財団法人日本生産性本部 サービス産業生産性協議会)において「優秀賞」を受賞しました。「日本サービス大賞」は、国内のサービス提供事業者を対象に、サービスの高度化と産業の発展を先導する、きらりと光る新しい価値を提供しているサービスや、これまでになかった新しいやり方を実現しているサービスを表彰する制度です。

「Remote Cheerer powered by SoundUD」は、自宅などの遠隔地にいるスポーツファンがスマートフォンの操作で、競技場のスピーカーを通じて選手に声援を届けることができるサービスで、競技場で実況を聞けるサービスも開始しています。スポーツに関わるさまざまなステークホルダーの間での新たな価値共創を生み出している点などが評価され、今回の受賞に至りました。