地域コミュニティー発展への寄与

地域社会への責任

ヤマハグループは、社会の一員としての責任を自覚し、良き企業市民として社会の発展に貢献できるよう、地域社会との対話を図りながら、さまざまな活動を行っています。世界各地で音楽文化の普及・発展に向けた活動を続けるとともに、次世代育成や福祉など事業拠点を置く国・地域の発展に資する活動に取り組んでいます。

地域社会におけるコミュニケーション事例

ヤマハグループは、事業所を置く地域社会と日常的なコミュニケーションを図ることで、地域との良好な関係を保っています。各事業拠点では、周辺自治体との情報交換会を定期的に実施し、自治会の意見や要望を伺っています。

事業所・工場でのコミュニケーション例

  • 2022年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、一部の活動は実施見合わせ
[写真] 周辺自治会との情報交換会(本社事業所)

周辺自治会との情報交換会(本社事業所)

[写真] 夏まつり(天竜工場)

夏まつり(天竜工場)

[写真] 地域クリーン作戦(掛川工場)

地域クリーン作戦(掛川工場)

[写真] フードバンクへ災害時用備蓄食料の提供(豊岡工場)

フードバンクへ災害時用備蓄食料の提供(豊岡工場)

ピアノ工場の一般公開

ヤマハピアノの国内製造拠点である掛川工場では、楽器や音楽の魅力に触れていただくことを目的に、グランドピアノの製造工程を一般に公開しています。工場見学では、現代のテクノロジーと100年以上続く伝統技能による製造工程をご覧いただくだけでなく、貴重な楽器の展示やお試しいただける楽器も用意した併設のショールームの見学と併せて、ものづくりにおける環境保全活動についても紹介しています。プロ・アマチュア音楽家をはじめ、地元小学校の社会科見学の受け入れ、一般のお客さまなど個人・団体さまざまな方にご覧いただき、ヤマハのものづくりについて理解を深めていただいています。2023年3月期も、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、人数制限を設けながらの工場見学に加え、県内の小学校や全国のヤマハ特約楽器店を対象にリモート(オンライン)工場見学を実施しました。

[写真] グランドピアノ製造工程見学

グランドピアノ製造工程見学

[写真] ショールームでの展示公開

ショールームでの展示公開

企業ミュージアムの一般公開

2018年にオープンしたヤマハグループの製品・サービスの歴史を展示する企業ミュージアム「イノベーションロード」は、当社の創業時から現在に至るまでの製品・サービスやその開発の軌跡、未来に向けたビジョンを音や映像を使って紹介する体感型ミュージアムです。オープン以来、地域の方々をはじめ、個人や団体、お取引関連の皆さまなど非常に多くの皆さまにご来場いただいています。

ミュージアムの詳細情報は下記をご確認ください。

[写真] イノベーションロードの入り口

イノベーションロードの入り口

[写真] 展示エリア(ヒストリーウォーク)

展示エリア(ヒストリーウォーク)

「ヤマハレディースオープン葛城」開催を通じた地域貢献

ヤマハ(株)とヤマハ発動機(株)は、毎年、葛城ゴルフ倶楽部(静岡県袋井市)にて、女子プロゴルフトーナメント「ヤマハレディースオープン葛城」を共同開催しています。今大会は、4年ぶりに入場制限なしでの開催となり、公共交通機関での来場呼びかけ、ごみの分別回収など環境に配慮した大会運営の継続とともに、ヤマハゴルフクラブの試打会やヤマハ契約プロによる特別レッスンの実施など、ヤマハらしいギャラリーイベントで来場者をおもてなしました。4日間で延べ1,300人のボランティアスタッフの皆さん、そして近隣住民の方々、地元自治体のご協力のもと、約11,000人のお客さまに来場いただきました。

こうした地域の方々への感謝と協力関係の維持・今後の発展への願いをこめて、2008年の第1回大会から、大会を後援してくださる地元自治体(静岡県および5市町)へ寄付金の贈呈を行っています。これらの寄付は、スポーツ施設の整備や、ボランティア活動専用車の購入、文化・教育分野など、地域活性、社会福祉などの活動に役立てられています。

[写真] 優勝した穴井詩選手とボランティアスタッフの皆さん

優勝した穴井詩選手とボランティアスタッフの皆さん

音楽を通じた地域貢献

ヤマハグループは、国内外の各地域での音楽イベントの企画・開催などを通じて、音楽普及活動や地域への貢献、コミュニティーの活性化に寄与したいと考えています。楽器・音楽を楽しむ幅広い層の方々に音楽の楽しみ方を提案するだけでなく、ステップアップを目指すアマチュアミュージシャンへ発表の場を企画・提供しています。

音楽の街づくり事業「おとまち」

(株)ヤマハミュージックジャパン(以下、YMJ)では「音楽の街づくり“おとまち”」プロジェクトを展開しています。おとまちは、音楽が持つ「人と人をつなげる力」を使って、地域の活性化や企業と社会の共有価値の創造をお手伝いする事業です。自治体や企業、地域コミュニティーなどが抱えている課題を解決するため、音楽をツールにした市民参加型のプロジェクトやイベント、街づくりのためのプログラムを提案・支援します。ヤマハが目指すのは、持続可能な社会基盤となるコミュニティーを自立させることです。おとまちでは街づくりの初期段階を重点的に支援し、地域の方々が自由に参加して継続的に活動できる場や時のスキームの構築を通じて、新しいかたちの社会貢献型事業を推進しています。

2023年3月期、東京都豊島区の区制90周年を機に立ち上がった官民連携プロジェクト「としまミュージックサークル」の一環として地域コミュニティーリーダーの創出を目標に、ドラムサークルを活用した「としまドラムサークルファシリテーター育成講座」を企画制作。地域のために活躍する方たちが誕生しました。また、2021年2月にYMJと福井県は「福井県内の音楽を活用したまちづくり」を目指した3年間にわたる連携協定を締結しました。福井県下において、県・市町および各団体とともに多岐にわたる活動を推進し、まちなかなどにおける音楽活動者の発表機会の創出、身近な場所での鑑賞機会の提供など、福井県内の音楽普及活動を行っています。

[写真] ドラムサークル実習の様子(豊島区南池袋公園)

ドラムサークル実習の様子(豊島区南池袋公園)

[写真] 福井県内での音楽普及への取り組み

福井県内での音楽普及への取り組み

地域に根差したヤマハ吹奏楽団の活動

1961年に創部したヤマハ吹奏楽団は、ヤマハグループの従業員によって構成されたアマチュアバンドです。定期演奏会やポップスコンサート、ヤマハ野球部の野球応援、国内外の各種公演・コンクールへの出場といった定期活動のほか、浜松駅前での「プロムナードコンサート」出演など、地域に根差した活動にも積極的に取り組み、浜松市が推進する「音楽の都づくり」に協力しています。

[写真] プロムナードコンサート

プロムナードコンサート

「ハママツ・ジャズ・ウィーク」の開催

ヤマハ(株)は、浜松市などと共催で、毎年「ハママツ・ジャズ・ウィーク」を開催しています。浜松市が推進する音楽を中核にした都市づくり「音楽のまちづくり」事業の一つとして1992年にスタートし、30回目の節目となる2022年は、シニアの方の健康促進を目的として、初めて高齢者施設で出前ジャズコンサートを開催するなど新たな取り組みを展開したほか、長きにわたる音楽文化発展への貢献が評価され、第35回ミュージック・ペンクラブ音楽賞 ポピュラー部門で「イベント企画賞」を受賞しました。世代を問わず楽しめる「ジャズ」をテーマに官民一体となって企画運営するユニークな地域文化イベントとして、ジャズファンだけでなく多くの方々に親しまれています。国内外の超一流アーティストが登場するホールコンサート、街角で気軽にジャズを楽しめるストリートライブや地域のジャズクラブと連携したイベントに加えて、家族で楽しめるファミリーJAZZコンサートや評論家によるトークショーのほか、オンラインライブ配信により県内外へ浜松・ジャズの魅力を発信するなど、音楽ファンの拡大と音楽文化の普及に貢献する試みにも取り組んでいます。また、全国から優秀な学生ビッグバンドが集結する祭典や、地域の学生を対象としたビッグバンドワークショップの開催、浜松市内の小・中学校にプロ演奏者が出向く出前コンサートなど、子どもたちの感性と表現力を育むことを目的とした次世代育成企画なども展開しています。

[写真] 「ヤマハ ジャズ フェスティバル」

「ヤマハ ジャズ フェスティバル」

[写真] 学生ビッグバンドワークショップ

学生ビッグバンドワークショップ

[写真] 出前ジャズコンサート

出前ジャズコンサート

管弦楽器演奏コンテスト

ヤマハ楽器音響(中国)では、管弦楽器演奏を発表する機会の提供として、毎年演奏コンテストを各地で開催しています。2023年3月期は、趣味顧客層の管弦楽器演奏コンテストをソロ・アンサンブル・楽団の3部門で開催しました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、演奏は特約店店頭で動画を撮影し、オンラインでの人気投票とアーティストによる審査を実施、合計3,959名が参加しました。

[写真] 管弦楽器演奏コンテスト

管弦楽器演奏コンテスト

[写真] 管弦楽器演奏コンテスト

次世代育成への支援

若手音楽家、音楽家志望者などへの支援

ヤマハグループは、世界各国で開催されるピアノコンクールをはじめ、国内外における各音楽コンクールやクリニックなどにおいて、高い芸術性を追求する人々を楽器のサポートのみならず運営面などさまざまな側面から支援し、音楽文化の普及と発展に貢献しています。

若手音楽家や音楽家を志し学ぶ方々に対しては、国内外の各地域で奨学金制度を設けているほか、音楽教育機関と連携し、教育カリキュラムや指導者向けセミナーを提供するなどの支援を続けています。

「音楽の都 浜松」実現の一環として1995年から浜松市などと共催でスタートした「浜松国際管楽器アカデミー&フェスティヴァル」は、管楽器に特化した世界最大規模の音楽祭です。世界的に活躍する管楽器アーティストを迎え、演奏家を目指す若手音楽家育成のための「アカデミー」と、地域の一般市民の方々が気軽に管楽器の響きを楽しんでいただく「フェスティヴァル(コンサート)」を開催することで、地元浜松での音楽文化の交流と世界で活躍する音楽家輩出を主な目的にしています。

見学・実習、学習施設への協力

ヤマハグループは地域貢献活動の一環として、事業拠点を置く世界各地域の教育機関などからの要請を受けて、中高生の職場体験学習やインターンシップ、工場見学の受け入れや学習施設の展示協力に応じて、次世代を担う若者たちが将来働く意欲と目標を持つことに寄与しています。

中でも、浜松科学館の展示には開館時から協力。同館は、アクティブラーニングの観点を重視した子どもも大人もともに科学を楽しみながら学習できる体験型ミュージアムで、「音・光・力・宇宙」の4分野において、地域を代表する企業各社が自社技術や製品・サービスの展示を行っています。

ものづくり教室や出前授業の開催

ヤマハ(株)では、年間を通じて、地域の教育機関などと連携して、子ども向けのものづくり教室を開催しています。ダンボールやつまようじなどの身近な素材を使って一本弦のギターをつくる「手づくりギター教室」、ピアノの製造工程で出た端材から「親指ピアノ」と呼ばれるアフリカの民族楽器をつくる「親指ピアノづくり教室」、楽器に愛着を持ってもらえるよう常に持ち歩けるキーホルダーサイズに仕上げる「ミニ鳴子教室」などを実施し、子どもたちに楽器を通じたものづくり体験の場を提供しています。2016年度からは、浜松市が推進するユニバーサルデザイン(以下UD)による街づくりの一環プログラム「企業のUD出前講座」に参画し、地元自治体や教育機関からの要請に応じて、UDをテーマにしたヤマハの取り組みについて小・中学校で出前授業を行っています。2023年3月期は、地元浜松市の小学校2校で「ヤマハのユニバーサルデザイン」と題して、一本の指でメロディーを弾くと伴奏とペダルが自動演奏される「だれでもピアノ」について、障がい者から高齢者、そしてすべての人がピアノを弾くことができるということを題材に実際体験してもらいながらUDによるまちづくりの大切さについて講義を行いました。

今後もヤマハは、音楽の楽しさやUDについて広く子どもたちに伝える取り組みに協力していきます。

[写真] ヤマハの楽器やサービスをテーマとしたUD出前授業

ヤマハの楽器やサービスをテーマとしたUD出前授業

ピアノの端材を子どもたちの積み木へ有効利用

(株)ヤマハミュージックマニュファクチュアリングでは、地域の幼稚園や保育園、小学校、公共施設などに、ピアノの製造工程で出た木材の端材を積み木として提供しています。1998年頃から続くこの取り組みは、地域貢献と同時に廃棄物の有効利用に役立っています。

[写真] 端材を使って工作

端材を使って工作

[写真] 端材を使って工作

ヤマハ野球部による少年野球教室

ヤマハ野球部は、スポーツを通じた地域貢献・青少年育成支援として、静岡県西・中部地域の少年野球チームを対象に野球教室を開催しています。投球時の体重移動の技術、ステップの位置、内野・外野守備の基本姿勢、連携プレー、打撃時のボールの捉え方など、基本技術をヤマハ野球部員がお手本を示しながら指導するもので、健康で元気な子どもたちを育てるとともに、子どもたちの夢や成長を応援する目的で実施しています。また、ヤマハ野球部OB会を中心とした「ジュニア野球を指導する会」による「野球検診」も同時に実施し、故障を訴える子どもたちを対象にスポーツ専門医が検診を行うことで、子どもたちの怪我や故障防止の一助となるよう取り組んでいます。2016年度からは、浜松市が取り組む「トップアスリート連携事業※」にも協力し、地域の教育機関からの要請に応じて、さまざまなスポーツ教室を実施しています。2023年3月期は未就学児へのボール遊び教室や中学生への野球指導に加え、小学校で児童270名に対してスポーツ教室を開催するなど、活動の幅を広げています。

  • 2016年度から浜松市が取り組む事業で、地元のトップアスリートを各競技団体や学校に派遣してスポーツ教室を開催するもの。トップアスリートの技術や経験を指導することで、次世代のアスリートの発掘、スポーツ実施者などの増加につなげることが目的
[写真] 野球教室

野球教室

[写真] 野球検診

野球検診

学校音楽教育への支援

ヤマハグループでは国内外の各地域で、学校における音楽教育の支援活動を行っています。楽器のサポートをはじめ音楽教師への指導方法の講習、音楽に関する情報提供などを通じて、授業内容の充実に貢献するなど地域に根差した活動を展開しています。

楽器を演奏する機会を提供する「スクールプロジェクト」

ヤマハは、楽器演奏の楽しさをより多くの子どもに体験してもらうため、2015年より新興国を中心に公教育の中で器楽教育をサポートする「スクールプロジェクト」を展開しています。

器楽教育は、その教育的効果から世界中の学校で広く採用されていますが、中には、設備・指導者不足、指導カリキュラムなどの問題から音楽の授業に導入されていなかったり、質が十分ではなかったり、国によって状況はさまざまです。ヤマハでは、こうした世界中の子どもたちが公教育の中で質の高い器楽演奏体験の機会に等しく恵まれることを目指しています。

2023年3月期までに、7カ国(マレーシア、インドネシア、ベトナム、インド、ブラジル、UAE、エジプト)約6,200校で累計202万人の子どもたちに器楽演奏の機会を提供しています。

2021年11月から9校の小学生対象にリコーダーを使用した器楽教育を開始したエジプトでは、2022年11月から実施校を40校に拡大したほか、日本式音楽教育を取り入れた教材を新たに作成し、子どもたちの非認知能力の育成にも取り組んでいます。

さらに、2023年3月期は、エジプトでの「初等教育への日本型音楽教育導入事業」、ブラジルでの「初等教育への日本型器楽教育導入事業」、インドでの「初等教育への日本型器楽教育導入事業」が文部科学省による「令和4年度 EDU-Port ニッポン応援プロジェクト」に選ばれました。この選定を受け、成果や課題について文部科学省とも検証・共有しながら、各国にて日本型教育の海外展開を進めていきます。

なお、「EDU-Port ニッポン」の公募事業への採択は、2016年度、2018年度のベトナムでの事例、2020年度のエジプトでの事例に続くものです。

[ロゴ] EDU-Portニッポン
  • 日本政府(SDGs推進本部)が決定するSDGs実施指針やSDGsアクションプランの一層の進展を目的としてJICAが2020年7月に創設。JICAとともにSDGsの達成に取り組んでいる企業・団体をパートナーとして認定するもの
[写真] インドでの音楽授業の様子

インドでの音楽授業の様子

[写真] エジプトでの音楽授業の様子

エジプトでの音楽授業の様子

[ロゴ] School Project

中東・アフリカ地域における音楽教育プログラム

西洋音楽教育が浸透していない中東・アフリカ地域を営業管轄とする現地法人ヤマハ・ミュージック・ガルフ(以下、YMGF)では、現地事情に合わせた学校教育における音楽普及活動を展開しています。

中東・アフリカ地域では、文化の違いや指導者不足などから、音楽の授業を学校のカリキュラムに取り入れる国が非常に限られています。YMGFでは、器楽教育を通じて子どもたちの情操教育や成長を支援するため、2012年に学校音楽教育普及プロジェクトを始動。各国の教育関係者に日本の小学校の授業を視察してもらうなど、音楽教育の重要性を訴求するほか、現地指導者の育成など、現地代理店と協力して活動の展開を進めています。

2016年に南アフリカで1校目をスタートして以来、2023年3月期までに、南アフリカ、ナイジェリア、クウェート、UAE、ケニア、モロッコ、ウガンダの7カ国85校、延べ約10,000人にリコーダーの授業を実施するなど、活動の拡大を図っています。

[写真] 南アフリカでのリコーダーレッスン

南アフリカでのリコーダーレッスン

[写真] ナイジェリアでのリコーダーレッスン

ナイジェリアでのリコーダーレッスン

学校吹奏楽におけるバンドクリニックと指導者講習

ヤマハ楽器音響(中国)では、2010年から主要都市を中心とした学校の吹奏楽団を対象に、国内外の講師を派遣して演奏の指導を行うバンドクリニックを実施しています。2023年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により開催できませんでした。また、例年は一般の音楽教師の吹奏楽指導能力向上のために日本から講師を招き吹奏楽指導者講習会を開催していますが、今年はオンラインを活用して日本の指導者による講習会を実施し、全国約260名の指導者が参加するなど、指導者の育成にも貢献しています。

[写真] 指導者講習会の様子

指導者講習会の様子

学校でのバンドメンテナンスセミナー

韓国では、学校の放課後課外活動としてバンド(吹奏楽)やオーケストラなどの演奏活動が盛んです。しかし、とりわけ地方の学校では楽器のメンテナンスについて学ぶ機会が少ないため、せっかく良い楽器を保有しても楽器が傷み、うまく音が出ないケースがあります。

ヤマハ・ミュージック・コリアでは、こうした学校での演奏環境づくりを支援するため、2013年よりオーケストラのある学校へ訪問し、楽器のメンテナンスセミナーや無償修理を行う活動をしています。これまでに350校以上の学校を訪問し、子どもたちにメンテナンスをしっかりと行い楽器を大切にすることの重要性を伝えることで、学校での音楽活動支援と韓国の音楽文化発展に寄与しています。

[写真] メンテナンスセミナー

メンテナンスセミナー

[写真] 楽器メンテナンス

楽器メンテナンス

全国の高校軽音楽部を楽器・機材面でサポートする「K-ONB」

ヤマハミュージックジャパンは、「ヤマハK-ONB(ケイオンブ)」を立ち上げ、高校の部活動として全国的に盛んな「軽音楽部」を、楽器・機材面でサポートしています。

アニメやゲームの人気に伴い、部員数が急増。楽器や機材についての十分な知識がないまま悩む顧問や、楽器の調整・メンテナンス法がわからず困る生徒も多いです。そうした軽音楽部の活動をサポートすべく、延べ400校(2023年3月期実績)以上の高校や大会現場に直接訪問。各校によって異なる機材や環境に合わせた「部室の機材を使いこなす講習会」や、楽器の「技術講習会」、バンド演奏への「アドバイス」など、現場のニーズに応じて積極的に活動しています。また、TwitterやInstagramなどで高校生にリーチし、軽音学部で役立つ機材系のコンテンツを投稿するなど、リアル・WEBの両面でサポートしています。

[写真] 高校の軽音楽部を訪問し、楽器・機材の扱いやバンド演奏についてアドバイス

高校の軽音楽部を訪問し、楽器・機材の扱いやバンド演奏についてアドバイス

農民工学校への楽器寄贈

ヤマハ楽器音響(中国)では、中国における事業の発展と地域への感謝をこめて、2013年3月期から中国の生産現地法人4社や主要特約店とともに、中国各地の農民工学校などに楽器を寄贈しています。

多くの子どもたちに楽器に触れる機会を提供し、音楽や楽器の素晴らしさを伝え、豊かな感性を育んでもらうことを目的に継続しています。2023年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響により実施できませんでしたが、これまでの累計寄贈校は60校に達し、合計寄贈相当額は520万元となりました。

また同様に、シニア層向けには老年大学4校に対し電子キーボードを寄贈。楽器や音楽に接する機会を増やし、情緒の安定と心の育みのサポートをする取り組みとして実施しています。

[写真] 老年大学への楽器贈呈式
[写真] 老年大学への楽器贈呈式
[写真] 老年大学への楽器贈呈式

老年大学への楽器贈呈式

学校音楽教育支援サイト

ヤマハ(株)は、学校の音楽教師をはじめピアノやエレクトーン指導者など、音楽指導者をサポートする仕組みを整備しています。学校音楽教育支援サイト「Music pal」では、ヤマハ製品のご案内のほか、音楽史や楽典など音楽の基礎を学べるコンテンツや、楽器の成り立ちや仕組み、演奏方法、豆知識などさまざまな楽器の情報を掲載することで、興味のある楽器についてより知識を深め、音楽の授業や調べ学習にも役立つ内容となっています。その他、指導者向けにセミナー・講座のご案内や、動画や事例で指導方法を紹介するページ、中学・高校の吹部生に向けて部活動のお助け情報をお届けする吹奏楽のポータルサイト「吹部Navi」などを開設し、誰もが気軽に音楽を楽しめるためのサポートをしています。

日本吹奏楽指導者クリニック

(株)ヤマハミュージックジャパンは、全国の吹奏楽団体の指導者を対象とした講座やコンサートを実施する国内最大規模の総合研修会「日本吹奏楽指導者クリニック」に共催し、企画運営に携わっています。これは、日本における吹奏楽指導の質の向上や、吹奏楽文化の普及と発展を目的とした国内最大規模の総合研修会で、学校の音楽科教諭をはじめとする、すべての吹奏楽指導者を対象として1970年にスタートしたものです。国内外から著名な講師やバンドをゲストに招聘し、指導法や運営法などに関する講座やコンサートを開催するほか、新しい楽譜やソフトなど時代のニーズに合った情報を提供しながら、これからの吹奏楽活動のあり方や方向性を提案。日本の吹奏楽文化の向上に貢献しています。

[写真] 「日本吹奏楽指導者クリニック2022」のコンサート

「日本吹奏楽指導者クリニック2022」のコンサート

ICTを用いた音楽教育ソリューション「Smart Education System(SES)」

ヤマハ(株)は2014年より、学校の教育現場にICTを活用した音楽教育ソリューションを提案する「Smart Education System(SES)」を展開しています。長年培ってきた音楽に関する技術や音楽教育に関するノウハウを生かし、全国の小中学校の協力のもとに実証授業を重ねてデジタル音楽教材を開発し、高い評価を得ています。

主に小中学校を対象とした教材で、教材本体だけでなく学習指導要領を踏まえた授業の進め方や教える際の留意事項、また演奏に必要な基礎知識を学べる動画をまとめて提供するなど、現場の先生方が使いやすいような工夫をすることで、子どもたちの創造性や論理性を育むのと同時に、先生はより容易に効果的な指導が行えます。

コロナ渦で学校におけるICT環境の整備が加速し、1人1台の学習端末が整備される学校が急増したことにより、現在デジタル教材の需要が高まっています。教育現場で求められている「ウェブブラウザ上で動作するデジタル教材」を提供すべく「Smart Education System」でも、インストール型で提供していた既存のデジタル音楽教材(「ソプラノリコーダー授業」「けんばんハーモニカ授業」)をバージョンアップし、クラウドサービス型での提供を開始いたしました。また、デジタル教材の対応OSも拡大し、iPadでもご利用いただけるようになりました。

今後も「Smart Education System」を通じて、さまざまな社会環境、情勢の変化に素早く対応できるデジタル音楽教材の特性を生かし、クラウドサービスなども含め広く提供を勧めることで新しい時代の音楽教育をサポートする予定です。

[写真] ヤマハデジタル音楽教材「けんばんハーモニカ授業」

ヤマハデジタル音楽教材「けんばんハーモニカ授業」

[画像] 学校の新しい生活様式に配慮した音楽授業のアイディアを発信しています。

Web会議用マイクスピーカーを活用した遠隔授業

新型コロナウイルス感染症対策の一環として、オンライン授業・ハイブリッド授業といった新しい授業形式を各学校が模索する中、先生と生徒の高品質なオンラインコミュニケーションは新しい授業形式を実現するために必要不可欠な要素です。ヤマハは以前より、学校間での合同授業や姉妹校との交流授業、離島や過疎地での専門教師不足を補うための協働授業などに、ICTを活用した遠隔授業を音声面で支援してきました。ノイズや音声の途切れなどは授業内容の理解を妨げることになるだけに、クリアで安定した音声は絶対条件といえます。

ヤマハでは、Web会議用マイクスピーカーなどの音声コミュニケーション機器を活用した遠隔授業を、各県教育委員会や教育機関、他社と連携をしながら推進しています。ヤマハの高性能Web会議用マイクスピーカーを利用すれば、設置・設定も簡単に、手軽に1~2名の小規模から40名規模までの遠隔授業を実現でき、エコーやノイズのない最適音声でストレスのない授業が可能です。

[写真] 先生だけでなく、生徒の声や教室の雰囲気も伝えるオンライン授業

先生だけでなく、生徒の声や教室の雰囲気も伝えるオンライン授業(茨城県立並木中等教育学校)

[写真] 電子黒板とYVC-1000を活用した授業のライブ配信

電子黒板とYVC-1000を活用した授業のライブ配信(京都府立丹後緑風高等学校)

音楽普及活動によるコミュニティーの発展

ヤマハグループでは、音楽、楽器を通じた地域貢献や音楽普及活動により、青少年の健全育成や音楽教育文化の発展、さらには伝統音楽の継承などに寄与しています。

「AMIGO Project」による支援活動

中南米の多くの国で、犯罪や貧困、格差が深刻な社会問題となっています。こうした環境に育つ子どもたちが犯罪・非行・暴力に走ることなく健全な精神を育めるよう、国の政策として無償の音楽教育活動が進められ、各地で青少年育成のためのオーケストラやバンドが結成されています。ヤマハはこの活動に賛同し、多くの子どもたちが参加するこの活動を長年にわたり支援してきました。

2014年からは「AMIGO Project」をスタートさせ、子どもたちが自分で楽器をメンテナンスできるようにメンテナンスセミナーを開催してメンテナンス知識を普及するほか、技術者セミナーを通じて楽器の修理に対応できる技術者の育成を推進するなど、より良い環境で子どもたちが演奏を続けられるようにサポートしています。現在、メキシコ、エルサルバドル、コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国、コロンビア、ペルー、ブラジルの中南米8カ国でプロジェクトを展開しています。

[写真] 青少年育成オーケストラ・バンド団体

青少年育成オーケストラ・バンド団体(メキシコ)

[写真] 技術者セミナー

技術者セミナー

「ソプロノーボ」によるリコーダー音楽普及セミナー

ヤマハ・ムジカル・ド・ブラジル(YMDB)は、2005年にSopro Novo(ソプロノーボ:新しい息吹)活動を開始し、全国で音楽指導者を対象としたリコーダーを使った音楽普及セミナーを展開しています。このセミナーは、楽器・教本・指導メソッドをトータルで提供する音楽指導者のための指導法レッスンで、読譜に始まり、最終的にはアンサンブル演奏を楽しむまでの楽器演奏技術を習得でき、レッスン修了後には初心者に対する音楽指導を始めることができます。ブラジルでは、義務教育課程で音楽教育体制が整っていないため、音楽指導者を育成することは多くの子どもたちに「初めての音楽学習」を提供する重要な役割を担うことになります。これまで全国189都市、1,600回以上のセミナーを開催し、5,000人もの指導者を養成、これらの指導者に教わる子どもたちは61万人以上にのぼります。

2017年には、非営利団体Fundação Sopro Novo Yamahaを設立し、政府に直接音楽教育の導入を訴求するとともに、公立学校での指導者研修、音楽教育指導に向けてのリコーダーレッスンを拡大しています。

[画像] リコーダーのオンラインレッスン風景

リコーダーのオンラインレッスン風景

[画像] リコーダーのオンラインレッスン風景

ピアノをもっと身近に -誰でも自由に弾けるLovePiano®を展開中-

(株)ヤマハミュージックジャパンでは、2017年から、もっとピアノを身近に感じて、楽しんでいただくための活動「LovePiano」を進めています。これは「LovePiano」をテーマにペイントされたピアノを駅や空港、商業施設などのオープンスペースに設置いただき、誰でも自由に弾けるピアノとして多くの方に親しんでいただくためのプロジェクトです。これまで、全国120カ所以上で設置され、気軽に演奏できる機会を提供するとともに、場の賑わいやピアノを通じて人と人がつながる空間を創出しました。

2022年3月期にはヤマハ楽器音響(中国)でも開始しました。2022年2月、南京市のショッピングモールに上海芸術学院の学生がデザインをしたペイントピアノ4台をオープンスペースに設置したほか、ピアノ演奏ができない方も気軽に参加できる取り組みとして、自分の好きなピアノのデザインをオンライン上に投稿できるピアノ塗り絵イベントも行いました。

今後もこの「LovePiano」を通じて、ピアノを始める方や再開される方が増えることを願うとともに、地域の活性やコミュニティーの推進などの社会課題解決に取り組んでいきます。

[写真] 28thキネコ国際映画祭_玉川高島屋SC

28thキネコ国際映画祭_玉川高島屋SC

[写真] 星野リゾートとのコラボレーション「旅するLovePiano」

星野リゾートとのコラボレーション「旅するLovePiano」

伝統楽器の奏者の演奏を“真空パック”のように保存し、楽器の生音と映像でリアルに再現「Real Sound Viewing 馬頭琴演奏再現」

2022年10月27日から12月13日まで、ヤマハと浜松市楽器博物館は、共同展示「Real Sound Viewing 馬頭琴演奏再現」」を開催しました。これは、当社が“ライブの真空パック”をコンセプトに技術開発を進めている、アーティストの演奏を保存し再現するシステム「Real Sound Viewing(リアルサウンドビューイング)」を用いた展示で、昨年の筑前琵琶に関する展示に続いて2回目となります。

奏者が演奏した音をデジタル化し、そのデータを細かい振動に変換して楽器に伝えることで、楽器自体から音を響かせ、馬頭琴の自動演奏を実現します。これにより、モンゴルの伝統楽器である馬頭琴の演奏を、展示楽器から響く“生音”と、背景の大型画面に映し出す演奏者の等身大映像によってリアルに体感することができます。ヤマハでは、こうした取り組みを通して、民族楽器や民族音楽の魅力をより多くの方に知っていただくとともに、有形の文化財としての楽器だけでなく、奏でられる音楽そのものも後世に伝え残していくことを目指していきます。

社会貢献活動

従業員のボランティア活動の促進

ヤマハグループでは、従業員の積極的なボランティア活動への参画を推進しています。各種制度の整備とともに、イントラネットなどを通じて活動機会の情報を提供するほか、活動事例についての情報を発信しています。

従業員による自発的な慈善活動

ヤマハ・コーポレーション・オブ・アメリカは、従業員による自発的な慈善活動「ヤマハ・ケアーズ」を2003年に発足しました。寄付、募金、自社製品の提供などを通じて、従業員が暮らし、働く地域社会への貢献を目指しています。中でも、小児糖尿病の治療を研究する小児病院への寄付活動は毎年、従業員自らが南カリフォルニア・ハーフマラソンに参加して募金を呼びかけ、累計11万ドルを突破。小児糖尿病の治療を研究する数少ない施設である同病院を支援し続けています。

「ヤマハ・ケアーズ」の主な活動

  • 小児病院への寄付
  • 知的発達障害を持つ子どもたちに楽器演奏体験を提供する放課後スクール(United Sound社運営)への寄付・自社製品寄贈
  • アメリカがん協会などを支援する活動「Making Strides Walk」への参加
[ロゴ] UNITED SOUND
[写真] ハーフマラソンで集められた募金をCHOC(Children’s Hospital of Orange County)に寄付

ハーフマラソンで集められた募金をCHOC(Children’s Hospital of Orange County)に寄付

[写真] 各種団体に、募金活動や自社製品を寄付

各種団体に、募金活動や自社製品を寄付

フードバンクへの災害時用備蓄食料の協力

包装や印字ミス、傷がついてしまって売りに出せない食品、まだ安全であるにもかかわらず処分されてしまう食料などを企業や個人から寄贈を受け、必要としている団体や生活困窮者などに無償で提供するフードバンク活動。ヤマハグループはこの活動趣旨に賛同し、各事業所に備えている災害時用備蓄食料を、入れ替え前に各団体へ寄贈し、食品廃棄物の削減とともに貧困者へのサポートや環境問題への対策につなげています。

被災地支援の取り組み

ヤマハグループでは、国内および海外の生産工場など拠点を置く地域で発生した災害被災地に対して、復興支援活動を行っています。

また、災害発生時に災害救助法の適用地域で被災されたお客さまに対して、被災した当社製品に対する特別対応を実施するなど、被災地の復興を支援しています。

社外からの評価実績

ウクライナの人道支援に対し紺綬褒章を受章

2022年3月期に、ヤマハ(株)がウクライナへの人道支援として、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)*と国連児童基金(ユニセフ)を通じ30万米ドルを寄付したことに対し、紺綬褒章を受章しました。紺綬褒章は、公益のために私財を寄付した個人や法人、団体に授与されるもので、このたび両機関から当社に対する褒状の伝達が行われました。

当社グループは、一日も早くウクライナ情勢が解決し、平和が回復されることを祈念しています。

  • UNHCRへの寄付は、日本におけるUNHCRの公式支援窓口である国連UNHCR協会を通じて実施