管楽器の流れ可視化・シミュレーション技術

リコーダー内部の流れと共鳴を把握する

リコーダーの管内形状は息の流れ方や共鳴の特性に大きな影響を与えます。理想の吹奏感や音色を実現するため、PIV(※)と呼ばれる流れ場(空間全体の流体挙動)の計測や大規模流体シミュレーションを駆使し、リコーダーの設計開発をサポートしています。

※PIV(Particle Image Velocimetry)とは流体の計測手法の一つです。対象とする流れの中にトレーサー粒子と呼ばれる煙(直径数μm)をまき、高強度のレーザー(クラス4)を照射します。レーザーが照射され明るく光った粒子の動きを高速度カメラ(数万フレーム/秒)で撮影することで、流れ場を可視化・定量化することができます。

空気の流れを詳細に可視化計測

PIVを用いてこれまで直接見ることができなかったリコーダー管内の空気の流れを詳細に可視化計測し形状設計に生かしています。動画はPIVで得られたリコーダー吹鳴時のエッジ近傍の流れ場です。左側から流入してきたジェットがエッジを境にして上下に揺動している様子が可視化・定量化されています。

大規模流体シミュレーションで音波を含む流れを分析

スーパーコンピュータを用いた大規模な流体シミュレーションにより、音波を含む流体の挙動を詳細に分析し、理想の吹奏感と音色を実現できる形状を検討しています。動画はシミュレーションで得られたリコーダー最低音吹鳴時の圧力分布と速度分布です。管中央部が圧力変動の腹となっている様子やエッジ近傍でジェットが上下に揺動している様子が再現されています。

関連項目

技術搭載製品