Yamaha Design “Synapses” IFA

2018 / SHOW BOOTH


国際コンシューマー・エレクトロニクスショウへの出展ブース。

ジョウヒン上品 / Elegance

フラッグシップHiFi 5000シリーズを、ヤマハピアノの最高峰であるCFXとともに展示することでオーディオ・楽器問わずヤマハの製品が一貫したフィロソフィーのもとに生み出されているという独自性を表現。それらの背景には実際にヤマハの工場で撮影された「職人の手」のイメージを配置して、ヤマハの根幹である「音への深い知識と技術、そして情熱」を表現しました。

チョウワ調和 / Harmony

会場建屋の角地に位置するという立地条件を活かし、頭上には大きく斜めに横断する壁面を配置。静謐さとダイナミズムの調和というヤマハらしさが表現されています。この壁面はまた、建屋中央からの来場者の目を引き付けるという役割も果たし、メッセージ性と機能性両方の要求を高い次元で実現しています。

ショウジキ正直 / Honest

製品カテゴリーごとに展示方法を最適化。進化が著しいMusicCast®の製品群は実機を前に説明が可能な対面式、見えない音のビームを反射させるホームシアター製品ではガラス張りの個室で実体験する方式にしています。また、製品そのものの精度感や手触りが重要であるH-Fi製品群は、壁面展示と防音室でのリスニングの双方によって深い理解ができる環境を整えました。

ミナオス見直す / Reconstruction

日々の生活を豊かにするMusicCast®の価値訴求を行うため、「Yamaha in Your Life」というタイトルのもと、対応製品のあるライフスタイルを生き生きと再現して展示。2018年には製品同士の繋がり方を図解する壁面グラフィックを加えることで、イメージと客観的な情報の両面でよりわかりやすい展示に進化させています。

ヒキゴコチ弾き心地 / Inspiring

エレクトロニクスのショーで楽器の体験型展示をする新たな試みを実施。誰でも気軽に演奏できるようにオープンな雰囲気で構成し、はじめて楽器に触れる人々や子供達の笑顔や驚きの表情が印象的な空間となりました。


Masaharu Ono
Masaharu Ono
Designer
Yamaha Design Laboratory

Kunihiro Takei
Kunihiro Takei
Designer
Yamaha Design Laboratory

Kazuya Washio
Kazuya Washio
Designer
Yamaha Design Laboratory

Yoshinobu Terazaki
Yoshinobu Terazaki
Designer
Yamaha Design Laboratory

Kazuki Kashiwase
Kazuki Kashiwase
Designer
Yamaha Design Laboratory

Sena Otsuka
Sena Otsuka
Designer
Yamaha Design Laboratory

進化を続けるコミュニケーション・デザインの最前線。

IFAは、ドイツのベルリンで毎年開催されている世界最大規模の国際コンシューマー・エレクトロニクスショーです。ヤマハも以前から同見本市に出展していましたが、近年ブランドメッセージと商品デザインの一貫性が強く求められるようになった為、2010年からデザイン研究所がその開発に深くかかわるようになりました。
初年度は、楽器もオーディオも生産するというヤマハの独自性を表現したオブジェクトを製作・展示、これが来場者に対して我々のメッセージを伝えられていることを現地で把握、展示会とは単に製品を陳列する場ではなくブランドや提供する価値を伝える場でもあるべきということが改めて確認されました。これを受け、2011年からはブース全体の構造から検討する機会を得られ、コミュニケーションも製品の一部であるという考え方のもと、ショーブースは勿論、ブース中央で上映するメインムービーの構成からカタログや個々の説明プレートのデザインに至るまで、すべてにおいて最適なデザインを考え、組み立て直しました。特に製品のカテゴリーごとに適したコミュニケーションを図るというのは強く意識した部分です。
「製品ごとに価値のポイントがどこにあるのかを明確にし、それらが効果的に伝わるコミュニケーションを実現する」この考え方は、現在においても踏襲されています。 これまで、2011年、2014年、そして2017年に大規模なブースデザインの変更を行っていますが、いずれも新しい試みに挑んでいます。2017年の最大のトライは、立地条件を活かした導線設計です。ヤマハのブースは一号館の入場口から入ってすぐに、通路を両サイドから挟む立地にあります。初めに踏み入れてもらえる反面、目線の先には他社のブースが並んで見えてしまうので、足を止めることなく通り過ぎてしまう来場者が目立ちました。そこで、頭上に巨大な壁面を設置、その先端に来場者の目を引くオブジェクトの展示をすることによりヤマハブースの明快な顔(フロント)を表現しました。結果、多くの人々に我々のブースを認知し、足を踏み入れてもらうことに成功しました。また、来場者がどのように動いてブースを体験していくのか、3Dソフトを使ったウォークビュー動画を制作し、来場者の動きや視界に映る空間の広がりや光の入り方などリアルなシミュレーションも行っています。一般的には鳥瞰図などを用いることが多いですが、あくまで現実に来場者が見る視点から、私たちが意図するメッセージがどう伝わるのか、適切な動線設計となっているのかを確認することができました。
色調・素材に関しては2016年までBlack&Whiteという2色を基調としていたものに、2017年からナチュラルで明るい木の質感も加えました。2018年には実際に様々な楽器を展示し、来場者が演奏できるようにしましたが、これも大変好評で、各楽器に対して常に演奏する人がいる状態が続きました。製品の価値はもとより、ヤマハブランドそのものも浸透しているのを感じます。
年を重ねるごとに、メッセージは純化し、表現は進化しています。変化の速度が早いオーディオの世界では、コミュニケーションの方法も加速度的に進化し続けていきます。過剰に見える試みもあるかもしれませんが、挑戦し解決することで、それまで大胆に見えた表現も当たり前になっていきました。チーム全体が成長し、先に進んでいるのを感じられるのは、とても刺激的で楽しいことです。私たちにとってIFAとは、表現の実験をする場という側面もあります。今年もいくつか課題が見つかりましたし、挑戦したいことはまだいくつもあります。来年のIFAに向けて今から楽しみです。