Yamaha Design “Synapses”
INNOVATION ROAD
2018 / CORPORATE MUSEUM
「見て」「聴いて」「触れて」体感できる企業ミュージアム。
アタラシイ新しい / Revolutionary
社員が主体となってコンテンツづくりや設計に携わり、ゼロベースからミュージアムを構築しました。膨大な量の製品や情報を編集し、動線や展示空間を構成。楽器や音に触れながらヤマハのフィロソフィーやダイバーシティを体感できる空間をつくりあげました。
ヒクスガタ弾く姿 / Dual-View
管弦楽器は、楽器本来の生き生きとした姿で見ていただきたいという想いから、透明人間が演奏しているかのようなポジションで展示しました。実際の吹奏楽団そのものの配列を再現した展示は、そのすべての楽器を製造しているヤマハだからこそできる表現手法です。
チョウワ調和 / Harmony
ライフシーンエリアでは、様々な生活シーンでいつも共にあるヤマハを感じてもらうため、「インドア」「ガレージ」「アウトドア」の3つのエリアを配置。白で色を抑制した空間のポイントポイントに、人生を彩るプロダクトを添えました。
タノモシイ頼もしい / Professional
音の入口から出口まで音づくりに関わる様々な機器が一同に並ぶ音響展示エリアは、明るく開放的な楽器展示エリアとは対象的に、暗く密度感のあるプロフェッショナルな雰囲気の空間に。様々なスピーカーもライブ用から一般家庭用、店舗用、会議システムなどあらゆる用途別に一覧でき、広さと深さを感じていただけます。
イツマデモ何時までも / Timeless
50mに及ぶヒストリーウォークでは、創業から130余年の数々の製品を時系列に沿って展示。一覧性を保ちながら標本のような羅列の配置にせず、各製品の独立性と最適なスペースを確保し、壁を一つ一つ掘り込む形で展示しています。
- Daizo Sato
- Designer
- Yamaha Design Laboratory
- Risa Komuro
- Designer
- Yamaha Design Laboratory
- Jun Nishimura
- Planner
- Yamaha Marketing Division
- Seiichi Hashimoto
- Planner
- Yamaha Research and Development Division
ゼロからの出発。
社員の力で、ヤマハフィロソフィーの顧客体験を体現する場をつくる。
2016年1月、新開発棟の建築発表にあたり、これまでヤマハが生み出してきた製品を一同に集め、130余年の歴史やモノづくりのDNAを感じられるような施設を作るというプロジェクトが発足しました。
一般的には空間プロデュース会社などに一任する場合もありますが、ヤマハでは社内にプロジェクトチームを立ち上げ、様々な意見やアイデアを集め形に落とし込んでいきました。初期の活動では、若手メンバーたちが中心となって、展示するコンテンツの素案を出し合い、プロジェクトを引っ張ってくれました。
続いて、デザイナーを含むコアメンバーが「空間の構成」、「動線」、「体験価値」といった観点で整理・編集。「ヤマハフィロソフィーの顧客体験を体現する場」というコンセプトで、楽器や音に触れる楽しさや驚きを通じて、ヤマハのフィロソフィーを感じてもらえるように設計していきました。
例えばこの「楽器展示エリア」にある楽器の多くは実際に演奏することができます。まずは楽器に触れて演奏する楽しさを味わってほしいという想いから、一般には目にする機会も少ない貴重なものも含めて様々な楽器を展示しています。この楽器展示エリアに寄り添う「ものづくりウォーク」では、今触れた楽器が工場でどのようにつくられているのかを知ることができるという、体験と情報が一体となる動線になっています。
また、各エリアを仕切る壁の高さは1,350mmを基準値としています。視線を上げれば館内を見渡せ、楽器の多様性をひと目で感じることができ、視線を落とせば各エリアを集中してじっくり見ることができます。また、子供目線では迷路のように楽しめるでしょう。
多くの楽器を展示する一方で、音響機器もヤマハのダイバーシティのひとつです。ときに緊張感に包まれながらも集中して操作するファンクショナルなこの領域を、楽器演奏の領域と切り分けて見せるために「ヒストリーウォーク」の巨大な棚壁を間に設置しました。
もともと、ヤマハのダイバーシティを一覧展示するという構想は当初からありました。その一覧展示が棚壁という形で、しかも空間の仕分けに利用するという役割も担って実現できました。ヒストリーウォークを見ていくと、どの時代を切り取っても変わらないものづくりへの真摯な姿勢、楽器や音への徹底したこだわりといった、ヤマハのDNAを感じてもらえると思います。そして、このヒストリーウォークは単に歴史を振り返るためのものではなく、その先にある「イノベーション・ラボ」や「バーチャルステージ」といった未来へ繋がるコンテンツへの通過点でもあります。
イノベーションロードはこれまでの歴史を振り返る施設ではなく、これから未来へと続いていく道でもあるのです。その想いは名称だけではなくマークにも込められています。遠近法を使って奥行きを出し、人が集ってイノベーションを起こす道を表現しています。この道から、また新たなイノベーションが生まれ未来へと繋がっていく。そんな願いを込めてつくられたこの施設を、多くの人に、見て、聴いて、触れて、体感してもらえればと思います。